ロックンロール・サーカス

ローリング・ストーンズ
ロックンロール・サーカスとは、ローリング・ストーンズが1968年に製作した映像作品で、当初はテレビ番組として企画されていたものです。
コンセプトは「ロックンロールとサーカスの融合」ということで、サーカスのテント小屋を模したステージに、オープニングでは出演者は皆ピエロなどの仮装をして登場し、観客も全員明るい色のポンチョとフェルト帽を被っているという全員参加型のライブとなっています。
出演者はローリング・ストーンズの他にもジョン・レノン、エリック・クラプトン、ザ・フーといった多くのビッグネームが参加していたものの、30年近く公開されることがなかったため幻の映像としてロック・ファンの間でのみ知られる存在でした。
監督はマイケル・リンゼイ=ホッグで、ビートルズのドキュメンタリー映画「レット・イット・ビー」などで知られています。

ロックンロール・サーカス
ローリング・ストーンズ
さすがに脂が乗り切った時期のローリング・ストーンズ!と言いたいところですが、残念ながらそうでもありません。
ブライアン・ジョーンズの脱退直前ということもあり、彼は精彩を欠いており、言ってみれば「使いものにならない状態」。加えてローリング・ストーンズはトリだったのですが、撮影が押してしまい彼らの演奏が始まったのは深夜だったそうです。
当然、観客は疲れておりノリの悪いものとなってしまったようです。
このあたりが、結局長い間お蔵入りになっていた理由のようですね。
何にしても、こんなに近くでローリング・ストーンズが見られるんですからねぇ。ファンには堪えられないですね。
ローリング・ストーンズの収録曲は
1.ジャンピン・ジャック・フラッシュ
2.パラシュート・ウーマン
3.ノー・エクスペクテーションズ
4.無情の世界
5.悪魔を憐れむ歌
6.地の塩
「パラシュート・ウーマン」や「地の塩」など今となってはあまりライブではやらない貴重な曲を聴くことができます。
それに、何といっても動くブライアン・ジョーンズを観れるのが嬉しい限りです!
ジェスロ・タル
ミック・ジャガーのMCの後に、ロックンロール・サーカスで一番手で登場するのはジェスロ・タルです。
ジェスロ・タルといえば、ロックにフルートを持ち込んだ事で知られるイギリスを代表するバンドのひとつですね。
ここで演奏されるのはデビュー・アルバム「日曜日の印象」に収録されている「ジェフリーへささげし歌」。
ロックンロール・サーカスへの出演はデビュー・アルバムのリリース直後だったのですが、当時はギタリストのミック・エイブラハムズが脱退していたため、急遽ブラック・サバスのギタリストだったトニー・アイオミを引き抜くという大胆な対応をとっています。
そのトニー・アイオミはこの仕事のみですぐに脱退し、またブラック・サバスに復帰しました。
ところで、出演者の候補には、結成して間もないレッド・ツェッペリンがいたそうです。しかし、ギターの音がうるさいということで、代わりにジェスロ・タルが出演することになったのだとか。ちょっと笑えるエピソードですね。
ザ・フー
ロックンロール・サーカスが封印された理由については様々な憶測が飛び交いましたが、そのひとつにザ・フーのパフォーマンスが圧倒的すぎてローリング・ストーンズを食ってしまったためというものがありました。
ザ・フーは二組目に登場しますが、やはり素晴らしいパフォーマンスを見せてくれます。演奏曲目は「クイック・ワン」。
この曲は、短いパーツを集めて組曲のようにしたミニ・オペラ仕立てとなっています。当時のザ・フーは世界初のロック・オペラ・アルバムとなる「トミー」のレコーディングを控えており、ライブでは「トミー」に収録されることになる曲を頻繁に演奏して客の反応をみていたと言われています。
ロックンロール・サーカスで「クイック・ワン」を演奏したのも、「トミー」のひな型と言えるこの曲が受け入れられるかどうかを試していたようです。
いや、それにしても素晴らしいです。この演奏を観てローリング・ストーンズがおののいたかどうかは定かではありませんが、そうであったとしても不思議ではない素晴らしい演奏ですね。
ゲスト選考
ロックンロール・サーカスにはレッド・ツェッペリン以外にも様々なゲスト候補がいました。
結局出演しなかったものの、出演者として発表された者にトラフィックとドクター・ジョンがいます。また、正式なオファーは出されなかったもののポール・マッカートニーも候補者のひとりでした。
そんな中、ドクター・ジョンの代わりに出演することになったのが3番目に登場するタジ・マハールです。「エイント・ザット・ア・ロット・オブ・ラヴ」を聴くことができます。

タジ・マハール
さらにその後がマリアンヌ・フェイスフルです。「サムシング・ベター」が収められていますが、当日は「シスター・モーフィン」も歌ったのだとか。
この曲がローリング・ストーンズのアルバムに収められるのは1971年発表のアルバム「スティッキー・フィンガーズ」ですから、かなり早い時期に出来ていたのですね。
マリアンヌ・フェイスフルといえば、当時はミック・ジャガーの恋人です。司会を務めたチャーリー・ワッツが言っているように、ロックンロール・サーカスでのマリアンヌ・フェイスフルはとても美しい!
ザ・ダーティー・マック
ゲストの中で、というよりも、ある意味ロックンロール・サーカスのハイライトと呼べるのがザ・ダーティー・マックという一夜限りのバンドです。

ザ・ダーティー・マック
メンバーは、当時ビートルズのジョン・レノン(リード・ボーカル、リズム・ギター)にリード・ギターは当時クリームのエリック・クラプトン、ドラムスがジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスのミッチ・ミッチェル、そしてベースがなんとキース・リチャーズ(ローリング・ストーンズ)です。
この日だけのために結成されたバンドですが、まさにスーパーグループですね。しかも、演奏したのがビートルズの「ヤー・ブルース」。
それとオノ・ヨーコとのセッションによる「ホール・ロッタ・ヨーコ」の2曲です。
キース・リチャーズといえば、もちろんローリング・ストーンズのギタリストですが、このバンドに参加したがためにベースをプレイしたのだとか。
そして、ジョン・レノンがデビュー以降ビートルズ以外のメンバーと人前で演奏したのはこのバンドが初めてのことになるのだそうです。
まさに伝説と呼ぶに相応しいイベントですね。
この後はローリング・ストーンズが登場して大団円を迎えます。
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