森川美穂 5枚目のシングル『姫様ズーム・イン』
80年代後半には『学園祭の女王』として全国を駆け巡り、ラジオパーソナリティー、タレントとしても活躍した美人ボーカリスト・森川美穂。
抜群の歌唱力を誇り、本格的な歌手志望であったがルックスに恵まれ過ぎたためにアイドル歌手としてデビューさせられてしまった。
キャッチコピーは『多感世代のヴォーカルヒロイン』。
森川美穂がしぶしぶアイドルをやらされセールスも伸び悩んでいた頃に出したのが、この『姫様ズーム・イン』。
タイトルの『姫様』は「ひめさま」ではなく、「ひいさま」と読むとのこと。

『姫様ズーム・イン』森川美穂
不良少女ノリ×エロエロな歌詞でブレイクを狙った『姫様ズーム・イン』
同じレコード会社だった先輩アイドル・菊池桃子の妹分として打ち出されたこともあったが、森川は渡辺美里・小比類巻かほる・中村あゆみのような音楽性を希望していた。
気が強く、自分の意見をしっかり主張する森川を、事務所は中森明菜のような『不良少女』のイメージでヒットさせることを模索していたようである。
デビュー曲『教室』では、高校中退という新人アイドルらしからぬテーマを起用している。
セカンドシングルから4曲目のシングルまで全てドラマやCMのタイアップが続いたが、セールス的には成功せず、前作『サーフサイド・ブリーズ 〜真夏の風』のオリコン最高位は自己最低の70位であった。
そこで、危機感を感じたのか従来の『不良少女ノリ』に『エロ』の要素を組み込んだのが『姫様ズーム・イン』である。
ツンデレ過ぎ!ぶっ飛びまくりな歌詞
2番の歌詞でエスカレートするテンション
【解説】「姫はじめ」とは?
ご存知の方も多いと思うが、「姫はじめって何?」という方のために解説。
「秘め始め」→「姫はじめ」というのが語源であると言われており、夫婦やカップルが初めてエッチをする日である。
現在は一般的に、「姫はじめ」とは年が明けてから初めてエッチすることを指すことが多い。
なぜ、「ズーム・イン」なのか?
歌詞の流れや、「おまえとイザ…ズーム・イン」なんて使われると卑猥な連想をしてしまいがちである。
しかし、この『姫様ズーム・イン』はミノルタカメラ『AFテレ』のCMソングに起用されており、カメラをイメージさせる「ズーム・イン」をタイトルや歌詞に使ったというのが真相らしい。
アイドル時代の森川美穂が歌う貴重な『姫様ズーム・イン』動画
この『姫様ズーム・イン』が最後のアイドルソングとなった。
アイドルとして扱われることに抵抗があった森川美穂にとって、この『姫様ズーム・イン』は屈辱的な楽曲であったのかもしれない。
しかし、セールスは回復。
オリコン最高位は前作『サーフサイド・ブリーズ 〜真夏の風』の70位から、大幅に伸ばして36位。
自己最高順位を更新した。
そして、次作ではチャゲ&飛鳥の飛鳥涼から提供された『おんなになあれ』がヒット。
これを機にロックを基調としたアーティスト路線に転向した。
そのため、この『姫様ズーム・イン』は森川美穂にとって最後のアイドルソングだったと言える。
当時は歌うのが嫌だったかもしれない『姫様ズーム・イン』だが、サバサバした性格で有名な森川美穂らしく2010年に発売したデビュー25周年記念DVD「ガン見してんじゃねえ!!」にもきっちり収録してくれている。
「ガン見してんじゃねえ!!」のタイトルもまた森川美穂らしい…。