日本シリーズ史上最も劇的なホームランを放った仕事人・杉浦享。
黄金期の森・西武に野村・ヤクルトが初挑戦した1992年の第一戦。
白熱したゲームは3対3のまま延長12回に突入。
1死満塁の場面でバッターは既にこの年限りの引退を表明していた40歳の杉浦享。
日本シリーズ史上最も劇的なホームランと言われる仕事人の一振りを紹介。
杉浦享(すぎうら とおる)
一振りに賭けるそのいぶし銀の職人のような姿から、ヤクルトの選手別応援歌では「必殺シリーズ」のテーマ曲が若松と共に応援歌の前奏として使用された。
(若松は「必殺仕掛人」、杉浦には「必殺仕事人V」のテーマ)
このシーズンでの引退を表明していた杉浦享
池山隆寛、広沢克己ら若手の台頭により、1990年に野村克也の監督就任前後から左の代打の切り札として活躍。
しかし、1992年はケガにより18試合の出場にとどまり、またシーズン中に40歳に達していた年齢が引退を意識させた。
「もう一度優勝してから引退したい」が口癖だったが、この1992年にリーグ優勝を果たし14年ぶりの美酒も味わった。
これで悔いなくバットを置けると杉浦は既に現役引退を表明していた。
1992年10月17日、西武vsヤクルト 日本シリーズ第一戦は大接戦に。
西武の先発は渡辺久信、ヤクルトの先発・岡林洋一。
ヤクルトが中盤まで3-1でリードするも、西武が終盤の7回と9回に1点ずつ奪って延長戦に持ち込む。
西武は潮崎哲也から鹿取義隆という必勝リレーでつなぎ、一方のヤクルトはエース岡林が孤軍奮闘。
そして迎えた12回裏のヤクルトの攻撃。
秦真司がツーベースを打ち、続く笘篠は敬遠で一塁が埋まる。
すると野村監督は岡林の代打としてネクストバッターサークルに控えていた杉浦を下げて角富士夫を打席に送る。
その角はバントを失敗し1アウトになるが俊足、飯田哲也が内野安打で満塁に。
一死満塁のビックチャンスを迎えると、そこで野村克也監督が送った代打はシーズン打率.182。
不振を極め、引退を表明したかつての主砲・杉浦享であった。
杉浦享「代打サヨナラ満塁ホームラン」全球紹介
百戦錬磨のストッパー・鹿取義隆と、一振りに賭ける必殺仕事人・杉浦享。
ベテラン同士の見応えある対決を全球紹介。
【初球】141kmの外角ストレート
【2球目】136kmの内角ストレート
【3球目】真ん中に入ったストレートを…
まさか、杉浦のカッコいい「バット投げ」がこんな場面で見られるとは…
テレビの前で鳥肌が立ったのを覚えている。
【動画】杉浦享「代打サヨナラ満塁ホームラン」
杉浦享、試合後のヒーローインタビューコメント
ヒーローインタビューでの杉浦享