総会屋はかつて上場企業の総務部を震え上がらせる存在でした。

総会屋はかつて上場企業の総務部を震え上がらせる存在でした。

「総会屋」耳にしたことがあるかと思います。上場企業の株式を持ち株主総会の場を荒らして企業から金品をせしめる輩ですね、村上ファンドではありません。そんな総会屋、近年ではほとんどいなくなりましたが1990年代までは跋扈して上場企業の総務部を震え上がらせる存在でした。


総会屋とは

総会屋は株式会社の株式を若干数保有し、株主としての権利行使を濫用することで企業に不当な金品を要求してきます。伝統的に株主総会を荒らしたり逆に仕切ったりすることを行い、株主総会を担当する企業の総務部にとってはターゲットにされると頭の痛い存在でしたが、1981年と1997年の2度の商法改正で、その活動領域が制約されました。



2006年5月1日に施行された会社法では、株主の権利の行使に関する利益の供与(会社法第120条)として規制されています。

総会屋の歴史

「総会屋」が世間の注目を浴びたのは戦後の財閥解体後に起きた白木屋乗っ取り騒動東洋電機カラーテレビ事件などがありますが、お家騒動や乗っ取りなどの事件に介入して知恵を授けたり裏面工作をする黒幕として戦前からの「大物」として久保祐三郎、田島将光の名が上げられます。また、後には右翼の児玉誉士夫に師事する一派が台頭したとする説があるようです。



1960年代より小川薫や論談同友会など暴力的な広島グループが世間をにぎわせる一方、総会屋の用心棒として周辺にいた暴力団が次第にノウハウを吸収し、構成員や関係者を総会へ進出させた結果1970年代の最盛期には総会屋の大部分が暴力団関係者とされました。当時の総会屋は8,000人を超えていたともいいます。



この事態をうけて、法規制が整っていきました。

総会屋に対する法規制

1981年の商法改正では、少数株主を株主総会から締め出す案が立法化されます。そして株主の権利行使に関して会社の財産を支出した時点で刑事罰の対象とする点が注目されました。単位株導入利益供与禁止制度の新設がその柱です。



1982年10月1日に改正商法が施行されると、単位株制度は実際に多くの総会屋を株主総会から閉め出し、会社から総会屋への対策費などの支出も減少した一方、生き残りをかけた総会屋の活動も活発になります。1984年1月30日に行われたソニーの株主総会は12時間30分という記録的な長時間開催となり、「総会屋は死なず」という衝撃を世間に与えます。総会屋との水面下の交際(雑誌購読費や海の家提供名目)が続きえた企業(高島屋、味の素、松坂屋、三菱自動車工業、西武鉄道)も依然として残っていました。



そこで1997年の商法改正では、会社に利益を要求しただけで犯罪となる「利益供与要求罪」が新設されることとなりました。後には子会社による利益供与も禁じた改正商法が成立し、これを機に総会屋は一気に減少することとなります。



なお、この1997年には商法改正の契機ともなった巨額の総会屋利益供与事件がありました。

第一勧業銀行総会屋利益供与事件(1997年)

当時、就職活動中だった私はちょうどこの事件の最中に本社面接に赴き、入り口の報道陣に唖然としたことがあります。



この事件では頭取経験者の11人に及ぶ逮捕、宮崎邦次元会長の自殺、更には第一勧業銀行が1985年から1996年までに総会屋に提供した総額460億円にのぼる資金は、四大証券会社(山一證券・野村證券・日興証券・大和証券)を揺る資金元となって銀行・証券界と監督当局との腐りきった関係を、白日の下に晒した大蔵省接待汚職事件、遂には大蔵省解体と繋がります。

外国資本の参入、ネット証券の普及

2000年代に入ると外国資本が参入した証券界では証券取引の監査組織や監査法人が「法令遵守を上場企業に求める」という時代になっています。上場企業のコンプライアンスが強く求められるようになり、社外取締役などの仕組みも出来て一般株主も経営改善を積極的に要求するようになるなど、環境が激変しました。



この環境変化にあって、企業自体の金融不正は後を絶ちませんが、旧来の総会屋については基本的にほぼ終焉を迎えることとなりました。警察庁の統計では、2018年現在の総会屋の人数は210人となっています。この統計でいう総会屋の定義は、「単元株を保有し、株主総会で質問、議決等を行うなど株主として活動する一方、コンサルタント料、新聞・雑誌等の購読料、賛助金等の名目で株主権の行使に関して企業から利益の供与を受け、又は受けるおそれがある者」です。



一方、近年では「上場廃止予定企業」が狙われるなど、かつての総会屋とは異なる新たな総会屋も登場しているようです。

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