高評価と低評価、2枚のアルバムからみるラモーンズ

高評価と低評価、2枚のアルバムからみるラモーンズ

パンクの歴史的名盤と言われるラモーンズのファーストアルバムとラモーンズの問題作とも失敗作とも言われる「エンド・オブ・ザ・センチュリー」。ビートルズとのエピソードを交えながらご紹介します。


ラモーンズ

ラモーンズは、1974年に結成し1996年に解散するまでに14枚のスタジオアルバムを残したアメリカを代表する4人組パンクバンドです。

メンバーになると皆ラモーン (Ramone) の姓を名乗るというユニークなバンド・コンセプトを持っています。
その由来は、ビートルズの前身であるシルヴァー・ビートルズ時代にポール・マッカートニーが「Paul Ramon」と名乗っていたのですが、これに因んでいるとのことです。

Ramones

Vocal

Joey Ramone

Guitar

Johnny Ramone

Bass

Dee Dee Ramone

Drums

Tommy Ramone

ラモーンズの激情

1976年4月23日リリース

Ramones

歴史に残る名盤。少なくとも、パンクの歴史を作った名盤といってよいでしょう。
とはいえ商業的には当時はまったくヒットしませんでした。
リリースから38年の年月をかけて、2014年4月30日にゴールドディスクに認定されています。

それにしてもラモーンズはモノクロ写真がよく似合いますね。

Ramones

【ラモーンズの激情 収録曲】
1.ブリッツクリーグ・バップ - "Blitzkrieg Bop" (Tommy Ramone, Dee Dee Ramone) - 2:13
2.ビート・オン・ザ・ブラット - "Beat on the Brat" (Joey Ramone) - 2:32
3.ジュディ・イズ・ア・パンク - "Judy Is a Punk" (Joey Ramone) - 1:32
4.アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド - "I Wanna Be Your Boyfriend" (Tommy Ramone) - 2:24
5.チェイン・ソウ - "Chain Saw" (Joey Ramone) - 1:56
6.スニッフ・サム・グルー - "Now I Wanna Sniff Some Glue" - 1:36
7.ダウン・トゥ・ザ・ベイスメント - "I Don't Wanna Go Down to the Basement" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 2:40
8.ラウドマウス - "Loudmouth" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 2:15
9.ハヴァナ・アフェアー - "Havana Affair" (Dee Dee Ramone, Johnny Ramone) - 1:57
10.リッスン・トゥ・マイ・ハート - "Listen to My Heart" - 1:58
11.53rd & 3rd - "53rd & 3rd" - 2:21
12.レッツ・ダンス - "Let's Dance" (Jim Lee) - 1:52
13.ウォーク・アラウンド・ウィズ・ユー - "I Don't Wanna Walk Around with You" - 1:43
14.トゥモロウ・ザ・ワールド - "Today Your Love, Tomorrow the World" - 2:17

14曲入っていますが、2枚組ではありません。当時1枚のレコードで14曲入りというのは珍しかった。というよりもなかったと思います。
1曲の収録時間が1~2分台ですから、そりゃ14曲収まるわけですね。

デビュー曲の「ブリッツクリーグ・バップ」です。
最近は洋楽のタイトルを原曲どおりに表記するようになっていますが、日本での発売当時は「電撃バップ」でした。
こちらの方が味があっていいですけどね。

日本版シングル

Blitzkrieg Bop

「アイ・ウォナ・ビー・ユア・ボーイフレンド 」もシングルになりましたが、デビュー曲同様ヒットはしませんでした。パンクとはいえ、とてもポップで聞きやすい曲ですけどね。

本作は、1976年2月にわずか7日間でレコーディングを行ったということで、制作費はたったの6400ドルだったそうです。

驚くのは当初アルバム・ジャケットをビートルズの「ミート・ザ・ビートルズ」のアルバム・デザインを模したアイデアが企画され、その製作費に2000ドル使ったとのことです。
全アルバム制作費の3分の1近くをジャケットにつぎ込むなんて!
しかし、残念ながらこの企画は没になり、雑誌に掲載されていた写真を125ドルで買い取って現在のアルバム・ジャケットになっています。

ビートルズのセカンド・アルバムです。

Meet the beatles

エンド・オブ・ザ・センチュリー

1980年リリース

End of the Century

今でも賛否分かれる問題作ですが、発表当時は評論家やコアなファンからは酷評の嵐でした。
原因はプロデュースを手掛けたフィル・スペクターにあります。
「ウォール・オブ・サウンド」と称される独自の音作りをするフィル・スペクターによって、それまでのラモーンズからは考えられないサウンドとなっています。
レコーディング当時はメンバーも戸惑いそうとう揉めたようですよ。
しかし、楽曲の出来自体はどの曲も素晴らしく、なるほどオーバープロデュースと感じる曲もありますが、いやいやとても素晴らしい仕上がりとなっています。

ラモーンズの代表曲のひとつである1曲目の「 リメンバー・ロックンロール・レイディオ?」にフィル・スペクターの特徴がよく出ています。

【エンド・オブ・ザ・センチュリー 収録曲】
1. リメンバー・ロックンロール・レイディオ?
2. アイム・アフェクテッド
3. ダニー・セイズ
4. チャイニーズ・ロック
5. ジャッキー・アンド・ジュディー
6. レッツ・ゴー
7. ベイビー・アイ・ラヴ・ユー
8. アイ・キャント・メイク・イット・オン・タイム
9. ディス・エイント・ハヴァナ
10. ロックンロール・ハイ・スクール
11. オール・ザ・ウェイ
12. ハイ・リスク・インシュランス

そして映画で使われた「ロックンロール・ハイ・スクール」ですが、映画はED STASIUMがプロデュースしています。
聞き比べてみると、フィル・スペクター・バージョンの方は作りこまれていることが分かります。

ベースのDee Dee Ramoneが作った「チャイニーズ・ロック」は、作った当初は他のメンバーからラモーンズにふさわしくないということで没になりJohnny Thunders & The Heartbreakersに提供されていたいわくつきの曲です。

ラモーンズ・バージョンも良いですが、この曲はやはりJohnny Thundersの方がしっくりきます。

映画ポスター

End of the Century

「「End of the Century」」というアルバム・タイトルはフィル・スペクターが付けたとされており、その後ラモーンズのドキュメント映画のタイトルにもなっています。

Phillip Spector

パンクの創始者ラモーンズと伝説的なプロデューサーであるフィル・スペクター。
いかにもミスマッチなこの組み合わせが生み出したマジックがここにあります。

そういえば、フィル・スペクターはビートルズのプロデュースもしていたんでした。
ラモーンズって本当にビートルズ好きなんですね。だからこそパンクにしてポップスとしても成り立っているのでしょう。

それにしても、プロデューサーが誰であろうとラモーンズ自体はちっとも変っていないところが素晴らしいです。

フィル・スペクターは、現在のところこれが最後のプロデュースとなっています。

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