『美味しんぼ』概要
『美味しんぼ』は、『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)にて、1983年20号より連載中(現在は休載中)の漫画で、1987年、第32回小学館漫画賞青年一般部門受賞しています。本作はアニメ・ドラマ・映画・ゲームなどにされており、アニメはケーブルテレビやBS放送などで一部地域で再放送されているのですが、未だDVD化がされておらず、声優・井上和彦さんの代表作でもあるのに未見の方もいるのがもったいない作品の一つです。グルメブームの先駆けになったともいわれる漫画のアニメ作品について、ご紹介したいと思います。
あらすじ紹介
東西新聞文化部の新米記者である栗田ゆう子が出社してくると、事務所のソファに酒臭い男が爆睡していました。文化部の昼食会にも行く素振りも見せずに机にうつぶせて寝ている男──山岡士郎は文化部の厄介者と言われている男です。
東西新聞社は創立100周年記念事業として「究極のメニュー」作りに取り組むことになったと社主自ら発表します。そのためこの企画を担当するのは鋭敏な味覚の持ち主でなければならないということで、昼食会を料亭で開かれます。3丁の豆腐とコップ三杯の水が並べられており、水道の水、料亭の井戸水、丹沢の山奥で汲んできた鉱泉水があり、豆腐はスーパーの豆腐、上野の豆腐料理屋の豆腐、京都の一流豆腐屋の豆腐が並べてあり、味見分けをするのをテストにしてあったのでした。
京都豆腐料理 「南禅寺 順正」
昼食会に遅れてきただけでなく、水と豆腐を粗雑に扱いながら食べて飲み干す山岡士郎。そんな男を栗田は呆れた目で見ていたのですが、テストを全問正解したのは栗田と、あのぐうたら社員の山岡だったのです。「あの山岡が」と他の社員たちが驚く中、山岡は「ワインと豆腐に旅をさせるバカはいない」と明確に答えていたのです。豆腐は出来立てを食べないといけないのに風味が落ちているから、上野と京都の距離の違いで京都のほうの豆腐の風味が落ちていること、水は鉱泉水の味などハッキリしていたことを淡々と答え、「究極のメニュー」の担当に栗田と山岡が選ばれることになったのでした。
しかし、ライバル紙の帝都新聞が、美食倶楽部を主宰する海原雄山の監修により「至高のメニュー」という企画を立ち上げたため、両者を比較する「究極」対「至高」の料理対決が始まることになります。士郎は海原雄山の実の息子であるのですが、母親の死をめぐる親子間の確執から絶縁しており、「究極」対「至高」の戦いに加え、親子対決も始まったのでした。
『美味しんぼ』キャラクター紹介
◆東西新聞社文化部記者:山岡士郎
山岡士郎
山岡士郎にパジャマを着せるな 今週の美味しんぼ④
東西新聞社のぐうたら社員で主人公の山岡士郎。普段は二日酔いで寝ているか、競馬新聞片手にラジオを聞いているなど、本当にどうしようもない男なのですが、食のこととなると目の色が変わりますし、態度も豹変!その変わりようがまた面白い!食のためなら一週間海に出て(仕事、よく解雇されないもんだ!)アンコウを捕ってきて自ら捌いて持ってくるなんてことをやるのです。
そして母を苦労させたと憎む海原雄山への愛憎っぷりも見逃せません。声を担当していた井上和彦さんのはまり役の一つでもあると思います!山岡がカッコイイのは、井上さんの声も絶対効果があると思うのです。
◆東西新聞文化記者:栗田ゆう子
栗田ゆう子
美味しんぼ - HARUのスローライフ日記
東西新聞文化記者の栗田ゆう子は、テストに受かったために山岡と究極のメニューを担当することになります。山岡と違って生真面目なため、いつも山岡に振り回されています。しかし、仕事を一緒にしていくうちに山岡の食に対する並々ならぬ味覚、知識に信頼を置くようになっていくのです。また自身も時に山岡にヒントを与えるような才能を持っています。そして山岡に恋心を抱いていくようになっていくのです。
◆山岡士郎の父:海原雄山
海原雄山
美味しんぼの海原雄山に似たあの人を探してます! : SuperBEATCLUB
海原雄山は山岡士郎の実の父親です。芸術家であり、食通でもある雄山は「美食」を芸術の一分野と考えて美食を極めるために会員制料亭「美食倶楽部」を主宰しているほどです。希代の美食家。また陶芸・書道・絵画・文筆にも秀でた100年に一人出るか出ないかと言われる天才芸術家と言われています。実の息子といえど、食に対する精神は容赦ありません。時に公衆の面前で叩きのめすことさえします。
山岡士郎との対決が本作の魅力でもあるのですが、雄山役の大塚周夫の声が冴えわたっています。海原雄山=大塚周夫といっても過言ではないほどハマっています!