『カプリコン・1』の製作会社はイギリスのITCというプロダクション(主宰は製作者のサー・ルー・グレイド)で、よって英米合作なのだが、世界で初めて公開されたのはイギリスでもアメリカでもなく、我が日本。しかも珍しいことに上映時間が米英が123分で、日本が129分と日本版が6分も長い。昭和20~40年代あたりまでは、欧米作品は日本公開にあって幾分カットした短いバージョンを上映することが多かったから、日本版の方が長いというのはかなり珍しい。
本作は東宝東和配給で公開されたが、東京など大都市圏では1本立てのロードショーだが、地方ではこうした場合、同じ配給会社の別作品と抱き合わせ、つまり2本立てで公開されるのが常で、実はこの時、『カプリコン・1』は併映作品であり、レコードでいえばB面扱い。メインはリチャード・ハリス主演の『オルカ』だった。『オルカ』は、この2年前に大ブームを起こしたスピルバーグ監督の『ジョーズ』(1975)にならった海洋パニック・アドベンチャーで、シャチの一種である凶暴なオルカを捕ろうとする人間の愛憎劇とオルカ親子の愛情(そして復讐)を描いた重いドラマだった。ところがフタを開けてみると、その重いドラマの『オルカ』よりも、権力批判を加味したエンターテイメントの『カプリコン・1』の方が人気が高く、批評家筋にも広く支持されたのであった。
語感は似てるが・・・カプリコンとグリコのカプリコは無関係
ジャイアントカプリコ <いちご>
『カプリコン・1』とグリコのカプリコは語感は似ているものの、当然ながらまったく関係がない。映画の〝Capricorn〟はヤギ座、もしくはギリシャ神話に出てくる「角のある海ヤギ」を意味していて、宇宙に向かって打ちあげられるロケットの形状がそれに似ていることから命名されたと思われる。ではグリコの〝Caplico〟(正式名称はジャイアントカプリコ)がそれを真似たかといえば、さにあらず。何故ならカプリコの発売は映画公開(1977=昭和52年)に先立つこと7年も前の昭和45年なのだ。真似たとすれば映画の方ということになるが、別に真似たわけではないだろう。
しかしグリコのカプリコも形状は円錐形で(逆ロケット型?)といってもいいから、カプリコを食べると『カプリコン・1』を思い出すって人もいるのでは (いないか)。とにかく、昭和40年代に小・中校生だった我々には懐かしいアイテムだ。
「捏造余話」その1 ヤラセでなく実際に元妻を殺したO・J・シンプソン
NFLのスーパースター、O・J・シンプソン。
宇宙飛行士の一人、ジョン・ウォーカーを演じているO・J・シンプソンは、アメリカでもっとも人気の高いプロアメリカン・フットボール(NFL)のスター・プレーヤー(ランニングバック)で、引退後はこの『カプリコン・1』を含め大作級の映画に多数出演。ところが1994年、この人はヤラセでもなんでもない、本当の犯罪に手を染めてしまう。それも自分の元妻ニコールとその知人男性ロナルド・ゴールドマンを殺した廉で逮捕されたのだ。しかも逮捕の時、パトカーを振り切って逃げるシンプソンの車を空撮ヘリで追跡した映像が全米に生中継される(これもヤラセではない)という、まるで映画みたいな大暴れを演じた。元スター・プレイヤーの殺人事件として騒がれたこの事件は、シンプソンを取り調べた捜査員に人種差別があったとかなかったとか、とにかく敏腕弁護士の巧みな戦術でもって、シンプソンはまさかの無罪をつかむ。
無罪になったとて芸能界復帰はままならず、では大人しく過ごしていたかと言えばそうでもなく、かさんだ弁護費用のタシにと売りに出した、ハインズマン・トロフィー(カレッジ・フットボール界における最大の栄誉)を取り戻すために、某ホテルに忍び込んで逮捕。2008年に合計33年の懲役刑を言い渡されてしまう。かくして、O・Jは今もまだムショの中ってわけである。
事件を伝える続報記事-世界のメディア・ニュースより
「捏造余話」その2 『カプリコン・1』公開後38年目の新展開=『ムーン・ウォーカーズ』
『ムーン・ウォーカーズ』(2015、フランス=ベルギー)
映画『ムーン・ウォーカーズ』公式サイト
『カプリコン・1』は火星着陸のヤラセだが、ハイアムズ監督が参考にした「アポロ11号の月面着陸(1969年7月20日)についてのヤラセ=捏造」について最近、注目された出来事がある。それは巨匠スタンリー・キューブリック監督が生前に発表したといわれる驚くべきコメント「月面着陸は捏造、私が撮影した」というもので、死後15年たって公にされた。コレは今やキューブリックにまつわる都市伝説とされており、確かにキューブリックはアポロの月着陸の前年に、SF映画の名作『2001年宇宙の旅』(1968)を完成・公開させており、当時、この分野の特撮映像を撮らせるには最適の人物であった。でも、コレって本当か?
そして、昨年(2015)、このキューブリック発の都市伝説を映画化した作品が作られた。それが『ムーン・ウォーカーズ』だ。ただしこちらはアポロの月面着陸の捏造疑惑を糾弾する、といった感じのシビアなテイストではなく、大胆にコメディ化にしたもので、その伝説自体を遊んでしまおう、という奇抜かつブロークンな出来映え(ソコが魅力)。とはいえ、そう考えるとピーター・ハイアムズ監督が着想した『カプリコン・1』は、そのエスプリな想像性は、かなり時代を先駆けていたとも言えそうだ。
そのハイアムズ監督は『2001年宇宙の旅』の続編にあたる『2010年』(1984)を監督している。ネット上の情報によれば、キューブリックとハイアムズには交流があり、その流れで『2010年』をハイアムズが監督することになったようだが、だとすればこの『カプリコン・1』の「火星着陸ヤラセ大放送の陰謀劇」にもキューブリックが一枚噛んでいるのでは。
「月面着陸は捏造、私が撮影した」スタンリー・キューブリック死後15年目の告白動画が話題! やはりNASAは月の秘密を隠している!?