『カプリコン・1』 NASA非公認 史上最大のヤラセ大放送!

『カプリコン・1』 NASA非公認 史上最大のヤラセ大放送!

有人宇宙船が火星に降り立つ世紀の一瞬は、実はヤラセだった!? 卓抜したアイディアとチェイス・シーンが息もつかせぬスペクタクル・サスペンスの魅力をご紹介。


1970年代に流行った陰謀劇とSFが絶妙マッチ

公開当時、この映画をリアルタイムで観た人は、このチラシのビジュアルを観るだけで〝燃えてくる〟ハズ。走れーッ、ブルーベーカー! 逃げろーッ、ブローリン!

人類史上初の大偉業と讃えられた、1969年のアメリカによるアポロ11号の月面着陸。世界中の人々がテレビに釘付けになって、月面着陸の瞬間を注視した。だが当時、この着陸映像は、アレはどこかのスタジオで撮影された捏造、つまりヤラセ映像なのでは? と一部でささやかれたこともあった。才人ピーター・ハイアムズはそのアポロの偉業とゴシップを元にこの原案を考え、自ら脚本を書き、演出も担当。本作は『破壊!』でデビューしたハイアムズ監督の長編4本目である。

ストーリー(ネタバレ注意)&人物紹介

船長のブルーべーカーを演じるジェームズ・ブローリンは『ハイジャック』のハイジャック犯人から『面影』のクラーク・ゲイブルまでワル役も善人役もこなした中堅スター。サム・ウォーターストンは手堅い脇役で『インテリア』『ハンナとその姉妹』といったウディ・アレンの都会派作品や『キリング・フィールド』など問題作にも多数出演。O・J・シンプソンは1970~80年代に活躍した、アメフトのプロ選手上がりのスターだが、その詳細は後にたっぷりと。

カプリコン1号の3人の乗組員。左からピーター・ウィリス(サム・ウォーターストン)、真ん中のチャールズ・ブルベーカー(ジェームズ・ブローリン)、右端はジョン・ウォーカー(O・J・シンプソン)。

藝術大全

 世界注視の中、人類初の有人火星探査宇宙船カプリコン1号が打ち上げられようとした、まさにその時、乗組員のブルーベーカー、ウィリス、ウォーカーの3人は宇宙船から降ろされて、名も知らぬ陸軍基地へ連行される。本計画の責任者、ケラウェイ博士は3人に、カプリコン1の生命維持システムに致命的な欠陥があり、有人飛行が不可能になったことを告げる。だが計画は無事成功したように見せかけねばならない。博士は3人に、基地内に作られた火星のセットを見せて、そこにしつらえた宇宙船に乗り込んで、火星着陸の瞬間を演じるように説得する。飛行士達は拒否するが、博士は断れば家族に危害が及ぶことを匂わせたので、3人はしぶしぶ〝演技〟することを承諾することになる。
 一方、取材部記者のコールフィールドは、友人のNASA局員ウィッターから、この計画に不審な点があると告げられる。コールフィールドが後にウィッター宅を訪れると、そこには見知らぬ女がいて、彼は蒸発してしまっていた。疑念を抱くコールフィールド。すると運転していた彼の車のブレーキがなぜか故障していて、暴走した挙げ句、川につッこむことに。得体の知れない敵の標的はウィッターからコールフィールドに移っており、その目に見えぬ巨大な影は常に彼の行動を監視していた。
 宇宙飛行士のブルーベーカー達は、大気圏に突入したカプリコン1号が消滅したという事の展開を知るにつけ、ケラウェイ博士達は自分たちを消す気だと察し、小型ジェット機を強奪して基地を飛び出し、砂漠に逃げる。3人は捕まらぬように3方向に逃げるが、一人捕まり、一人力尽きる。ひとりブルーベーカーだけがガソリン・スタンドで身を潜めていたところ、オンボロ複葉機に乗って彼を探しにきたコールフィードに助けられ、敵の戦闘機から壮絶な追撃を受けながら辛くも難を逃れる。
 アーリントン墓地では、事故死したと思われている宇宙飛行士3人の葬儀がアメリカ大統領ご臨席のもとしめやかに行われていた。大統領が弔辞を読み上げる中、墓地の彼方に死線を乗り越えてきた2人の男、ブルーベーカーとコールフィールドの姿があった。

エリオット・グールドも1970~1980年代にかけて活躍したハリウッド・スターで、ヌーボーとしたトボケた個性と男臭い魅力で主演作多し。ロバート・アルトマン監督の『M★A★S★H』『ロング・グッッドバイ』を始め、『遠すぎた橋』『サイレント・パートナー』『レディ・バニッシュ/暗号を歌う女』などが代表作。80年代以降も映画に出ており、ブラピ、マット・デイモン、ジョージ・クルーニー共演のオールスター作品『オーシャンズ11』以降のシリーズ3作に出演。

カプリコン1号の疑惑を追究する記者のロバート・コールフィールド(エリオット・グールド)。

オジサン的人生

カレン・ブラックは1970年代を彩った女優で、フェイ・ダナウェイ以上にデモーニッシュと言っていいような強面なマスクで、個性的な役柄を演じた。『イージーライダー』『ファイブ・イージー・ピーセス』『エアポート'75』『ファミリー・プロット』あたりが代表作。

口説くコールフィールドに肘鉄を食らわす女ジャーナリスト、ジュディ・ドリンクウォーター(カレン・ブラック、左)。

映画と暮らす、日々に暮らす。

『大統領の陰謀』で情報源となるディープスロートを演じたり、『大統領の誘拐』『ワシントン大爆破』(テレフィーチャー)では大統領役を演るというように、反体制側も権力側も演じきれる実力派俳優。『ウォール街』や『ザ・ファーム/法律事務所』といった硬派な作品が似合う人だが、ショーン・ペンの監督作品『イントゥ・ザ・ワイルド』やマット・デイモンのエコロジー社会派劇『プロミスト・ランド』では少ない出番ながら存在感を示している。

ジェームズ・ケラウェイ博士(ハル・ホルブルック)。ブルーベーカーの良き理解者であり有人であった彼は、いつしか政府機関の薄汚れた官吏に。

【映画】カプリコン1|『問題ねぇだろう!!』

『真夜中のカーボーイ』で注目された女優のブレンダ・バッカロもその最盛期は70年代。『いくたびか美しく燃え』や『ウィークエンド』に出演。特に『ウィークエンド』ではレイプされるヒロインを体当たりで演じて高く評価された。『エアポート'77/バミューダからの脱出』や『スーパーガール』(近作の同名作ではなく、ヘレン・スレーターが主演した1984年作品)等に顔を見せた。なおブルーベーカーの自宅の場面で、母のケイと一緒にいる息子のチャールズを演じているクリス・ハイアムズはハイアムズ監督の長男で、現在も俳優をやっている。

ブルーベーカーの妻・ケイ(ブレンダ・バッカロ)。

Desmondのブログ いいじゃん!

製作途中で協力をキャンセルしたNASA

当初NASAは本作に関わる宇宙科学的な全分野に於いての協力を惜しまず、劇中に登場する宇宙飛行機の船艇、機器(金額にして50万ドル以上)などが貸し出された。ところが製作途中でラッシュ(荒編集された撮影フィルム)をNASA局員に見せたところ、態度が一変。翌日から一切の協力を受けられなくなった、という(公開当時のパンフレットより)。これは当時、1969年のアポロ11号による月面着陸の映像が、アメリカによるでっち上げ、つまりNASAが捏造(撮影)したものではないか、という風評がまだ残っていたから、それに過敏に反応したものか。

ブルーベーカー(J・ブローリン)に、〝国と宇宙計画と家族のことを思うなら、芝居しろ〟と迫るケラウェイ博士(左、H・ホルブルック)。

ケラウェイの説得

入間洋のホームページ

ジャクソン陸軍航空基地内部で撮影された、カプリコン1号の火星シーン。
体制批判をテーマにした本作の中で、その国家のヤラセ(欺瞞性)をもっともよく象徴した名シーンがこれ。あ、この春公開されたマット・デイモン主演の『オデッセイ』のワンシーンじゃありません。

火星到着の〝世紀の一瞬〟、ただいまオンエア中!

naocrueのナオブロ

カプリコン1号の飛行士達、火星に到着・・・。月の青っぽさ(下の写真)とは対照的な火星の赤っぽい大地。ま、見ようによってはドッチも本物、どっちもニセモノってわけですが。あ、星条旗だけは本物デス。

こちらがウソんこの着陸シーン。

映画ナタリー

アポロ11号が月面に着陸し、宇宙飛行士が月面に星条旗を掲げた有名なシーン。

これがホントの着陸シーン。

徒然映画日記。

『ブリット』の名スタントマンが激走シーンを担当

製作者にカットを命じられた、迫力満点のカースタント・シーン。リアルタイムでこの映画を見た時、このまるでジェットコースターに乗ったような臨場感に圧倒されて、思わず吐きそうになったほど。バンパー下に備え付けられたカメラの位置が低いので、予想以上のグルーヴ感にとらわれる。

車載カメラによる車暴走シーン。

超個人的中年映画劇場

 NASA局員の中で唯一、カプリコン1号の火星飛行に疑念を抱いていたウィッター(ロバート・ウォーデン)が〝失踪〟し、友人のコールフィールドはこの計画の裏にあるカラクリに気づく。だが気づいた途端に運転していた車のブレーキが効かなくなって、今度は彼が〝疾走〟。この暴走シーンは、カーチェイス映画の2大名作であるスティーブ・マックィーンの『ブリット』、ジーン・ハックマンの『フレンチ・コネクション』両作でカースタントを手がけた名ドライマー、ビル・ヒックマンによるもの。ムスタング・クーペのバンパーの下に特殊カメラを仕込んで、平均時速100キロ(最高時は160キロ)でロングビーチ市街を走り回って撮影された。
 あたかも自分が暴走車を運転しているような錯覚にとらわれる名シーンだが、製作者のポール・N・ラザルス3世はここを「カットしろ!」と命令。しかしハイアムズ監督はそれを無視して本編に使用し、大成功を収めている。

灼熱の砂漠で壮絶なサバイバル

 陸軍基地からジェット機を強奪して脱出してきたブルーベーカー達だったが、ガス欠から砂漠のまっただ中に不時着。3人は敵に見つからぬよう、それぞれ西・北・南の方角へ逃げるのだが、機内にあった救命キットの乏しい水と食糧しかなく、うだるような砂漠の中をうろうろと彷徨することに。ある者はのどの渇きに負け、ある者は険しい崖で力尽きる。
 ただ一人がんばり続けるブルーベーカーも、敵のヘリを避けて入った横穴でガラガラ蛇に遭遇。だが頭を潰して蛇を殺した彼は、その腹を割いて生き血をすする・・・。このシーン、脱獄映画『パピヨン』の中でスティーブ・マックィーンがゴキブリを食うシーンとともに、当時、かなりショッキングでありました。

ジャクソン陸軍航空基地のあった東から逃げてきたので、ソッチから敵が来る。だから東へは行かない、とはブルーベーカーの懸命な選択ではあったが、ケラウェイ博士に読まれており・・・。

西・北・南の3方向に逃げる3人の宇宙飛行士。

LOOSER MOVIE LOVER COLD FISH

渇水の苦しさから、朦朧となり、軍用ヘリを鳥と見間違えるウォーカー。「敵に捕まった」の合図である照明弾を一番最初に打ちあげる。

ヘタレなウォーカー(O・J・シノプソン)は早々に見つかって・・・。

LOOSER MOVIE LOVER COLD FISH

ブルーベーカーがやり過ごしたヘリは、崖を這い上ってきたウィリス(S・ウォーターストン)のもとへ・・・。

砂をかぶって敵のヘリをやり過ごすブルベーカー(J・ブローリン)。

REAL SOUND リアル・サウンド映画部

サソリが顔を這い回るこのシーン、顔のドアップだからスタンドイン(吹き替え)が効かないので、ジェームズ・ブローリンが自ら演じているが、それにしても顔をサソリが這われるのはイヤだっただろう。役者根性、見せてるネ。

サソリに顔を這われるブルーベーカー。

LOOSER MOVIE LOVER COLD FISH

住所 32629 ハイウェイ 14, イースト・カーン, CA 93519, USA

3人が逃げ回った場所-ロケ地。

地球探検の旅

地上との間隔54センチ! スレスレのやッべぇスカイ・アクション

 カースタントが『ブリット』『フレコネ』なら、空撮のスカイ・アクションは大作『華麗なるヒコーキ野郎』で驚異のアクロバット飛行を実現した、ハリウッド一の航空専門家にして凄腕パイロット、フランク・トールマンが担当。まずトールマンは、コールフィールドとブルーベーカーが乗った農薬散布の複葉機と、それを追撃する空軍ヘリとのチェイスシーンのシーン(コンテ)を組み立て、それに基づいて驚くべき撮影法を考案。それは、特撮用のヘリの真下に新開発したカメラ・マウントを取り付け、キャメラマンがヘリに宙吊りになって撮影する、という超危険なやり方で、時速145マイルでブッ飛ぶ複葉機とジェット・ヘリをカメラで追いながら、時にキャメラマンは地表すれすれ54センチでかすめたことも。この手に汗握る空撮シーンは、カリフォルニア州モハベ沙漠で撮影された。

収容・・・と言っても二人乗りのポンコツ機に座席なし。一番へたっているブルーベーカーが羽根にしがみつき、羽根を支えるワイヤーを握りしめる姿が悲壮。そこにアクロバティックなスタント飛行チェイスがはさまるから、興奮は最高潮。

傷ついたブルーベーカーを収容するアルバイン運転の、旧式複葉機。

Real Sound|リアルサウンド 映画部

ブルーベーカーを救助した民間の複葉機を襲う空軍のジェットヘり。

懐かしの映画館近松座

70年代のハリウッド・スターとTVの人気者が大競演!

 エリオット・グールドやカレン・ブラック、ジェームズ・ブローリンといった、70年代を代表するハリウッド・スターに伍して、本作には当時の人気テレビ番組を彩っていたTVスターが出演。まずは農薬散布用の複葉機を操縦する、儲け役・アルバインのテリー・サバラス。サバラスと言えば、CBSのテレビドラマ『刑事コジャック』でダンディで人情味ある警部補を演じて大人気で、『終身犯』『特攻大作戦』『女王陛下の007』『戦略大作戦』と60年代から70年代にかけてスクリーンでも活躍。
 もう一人は、グールド扮する新聞記者コールフィールドの上司、取材部部長ウォルター・ローリン役でお懐かしやデビッド・ドイルが顔を見せる。ドイルはこれも当時の人気ドラマ『チャーリーズ・エンジェル』で3人の女私立探偵をサポートする副参謀ボスレーをユーモラスに演じて人気を博していた。

訪ねてきたコールフィールドに「A&A社」と自社名を言わせ、「オレはどっちのAだ?」とカマをかける。コールフィールドが「最初のAだ」 と答えると 「違う! ドッチもオレだ」とのたまう、食えない親父のアルバイン役を嬉々として演じるサバラス。複葉機に乗ると、ノッポのコールフィールドに向かって「前が見えない! 頭を下げろ」と叫ぶあたりがご愛敬。

農薬散布を生業とするA&A社の社長アルバイン(テリー・サバラス)

シネマ・イラストレイテッド

大都会ニューヨークにはびこる悪を取り締まる、ハードボイルドな警部補コジャックはなぜだかロリポップがお好き。でもサバラス、カックイイ。

コジャック役のテリー・サバラス。ダンディー ~ ♪

貴重な暇な時間

デカいヤマを掴んでいるコールフィールドの言うことには耳を貸さず、後に豚箱入りした彼をもらい下げに行って、クビを宣告するローリン部長。デビッド・ドイルは典型的な石頭上司を熱演。

部下のコールフィールドをドヤしつける取材部の上司ローリン(デビッド・ボイル、左)。

超個人的中年映画劇場

『カプリコン・1』では石頭な上司役だが、ホームグランドの『チャーリーズ・エンジェル』では、ちょいとトボケたユーモラスな味わいで人気。なんか安心するだよな、ボスレーのこの顔が出てくると。

チャールズ・タウンゼント探偵事務所の男性スタッフ、ボスレー(デビッド・ドイル)。

かずワールドへようこそ!

併映のパニック大作を凌ぐ面白さ-地方では『オルカ』と2本立て。

ね、『オルカ』の扱い(スペース)の方が大きいでしょ。

公開前は『オルカ』がメインだった。

CINEMA-TIMES

 『カプリコン・1』の製作会社はイギリスのITCというプロダクション(主宰は製作者のサー・ルー・グレイド)で、よって英米合作なのだが、世界で初めて公開されたのはイギリスでもアメリカでもなく、我が日本。しかも珍しいことに上映時間が米英が123分で、日本が129分と日本版が6分も長い。昭和20~40年代あたりまでは、欧米作品は日本公開にあって幾分カットした短いバージョンを上映することが多かったから、日本版の方が長いというのはかなり珍しい。
 本作は東宝東和配給で公開されたが、東京など大都市圏では1本立てのロードショーだが、地方ではこうした場合、同じ配給会社の別作品と抱き合わせ、つまり2本立てで公開されるのが常で、実はこの時、『カプリコン・1』は併映作品であり、レコードでいえばB面扱い。メインはリチャード・ハリス主演の『オルカ』だった。『オルカ』は、この2年前に大ブームを起こしたスピルバーグ監督の『ジョーズ』(1975)にならった海洋パニック・アドベンチャーで、シャチの一種である凶暴なオルカを捕ろうとする人間の愛憎劇とオルカ親子の愛情(そして復讐)を描いた重いドラマだった。ところがフタを開けてみると、その重いドラマの『オルカ』よりも、権力批判を加味したエンターテイメントの『カプリコン・1』の方が人気が高く、批評家筋にも広く支持されたのであった。

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語感は似てるが・・・カプリコンとグリコのカプリコは無関係

ガキの頃、よく食べたなぁ・・・あー、なんか食いたくなってきた、無性に。

ジャイアントカプリコ <いちご>

 『カプリコン・1』とグリコのカプリコは語感は似ているものの、当然ながらまったく関係がない。映画の〝Capricorn〟はヤギ座、もしくはギリシャ神話に出てくる「角のある海ヤギ」を意味していて、宇宙に向かって打ちあげられるロケットの形状がそれに似ていることから命名されたと思われる。ではグリコの〝Caplico〟(正式名称はジャイアントカプリコ)がそれを真似たかといえば、さにあらず。何故ならカプリコの発売は映画公開(1977=昭和52年)に先立つこと7年も前の昭和45年なのだ。真似たとすれば映画の方ということになるが、別に真似たわけではないだろう。
 しかしグリコのカプリコも形状は円錐形で(逆ロケット型?)といってもいいから、カプリコを食べると『カプリコン・1』を思い出すって人もいるのでは (いないか)。とにかく、昭和40年代に小・中校生だった我々には懐かしいアイテムだ。

カプリコ | グリコ

グリコ ジャイアントカプリコ

「捏造余話」その1 ヤラセでなく実際に元妻を殺したO・J・シンプソン

出演作は、『タワーリング・インフェルノ』(1974)、『カサンドラ・クロス』(1976)、『ダイヤモンドの犬たち』(1976)、そして『カプリコン・1』(1978)、『裸の銃を持つ男』(1988)とそうそうたるもの。演技力うんぬんよりも、スポーツで鍛えたガタイの良さ、しなやかな身のこなしが際立ってました。

NFLのスーパースター、O・J・シンプソン。

 宇宙飛行士の一人、ジョン・ウォーカーを演じているO・J・シンプソンは、アメリカでもっとも人気の高いプロアメリカン・フットボール(NFL)のスター・プレーヤー(ランニングバック)で、引退後はこの『カプリコン・1』を含め大作級の映画に多数出演。ところが1994年、この人はヤラセでもなんでもない、本当の犯罪に手を染めてしまう。それも自分の元妻ニコールとその知人男性ロナルド・ゴールドマンを殺した廉で逮捕されたのだ。しかも逮捕の時、パトカーを振り切って逃げるシンプソンの車を空撮ヘリで追跡した映像が全米に生中継される(これもヤラセではない)という、まるで映画みたいな大暴れを演じた。元スター・プレイヤーの殺人事件として騒がれたこの事件は、シンプソンを取り調べた捜査員に人種差別があったとかなかったとか、とにかく敏腕弁護士の巧みな戦術でもって、シンプソンはまさかの無罪をつかむ。
 無罪になったとて芸能界復帰はままならず、では大人しく過ごしていたかと言えばそうでもなく、かさんだ弁護費用のタシにと売りに出した、ハインズマン・トロフィー(カレッジ・フットボール界における最大の栄誉)を取り戻すために、某ホテルに忍び込んで逮捕。2008年に合計33年の懲役刑を言い渡されてしまう。かくして、O・Jは今もまだムショの中ってわけである。

「元O.J. シンプソン宅から見つかったナイフは、 殺人と不一致。」とあるが・・・。

事件を伝える続報記事-世界のメディア・ニュースより

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「捏造余話」その2 『カプリコン・1』公開後38年目の新展開=『ムーン・ウォーカーズ』

監督・原案:アントワーヌ・バルドー=ジャケ 
脚本:ディーン・クレイグ 
出演:ロン・パールマン/ルパート・グリント/ロバート・シーハン 

『ムーン・ウォーカーズ』(2015、フランス=ベルギー)

映画『ムーン・ウォーカーズ』公式サイト

 『カプリコン・1』は火星着陸のヤラセだが、ハイアムズ監督が参考にした「アポロ11号の月面着陸(1969年7月20日)についてのヤラセ=捏造」について最近、注目された出来事がある。それは巨匠スタンリー・キューブリック監督が生前に発表したといわれる驚くべきコメント「月面着陸は捏造、私が撮影した」というもので、死後15年たって公にされた。コレは今やキューブリックにまつわる都市伝説とされており、確かにキューブリックはアポロの月着陸の前年に、SF映画の名作『2001年宇宙の旅』(1968)を完成・公開させており、当時、この分野の特撮映像を撮らせるには最適の人物であった。でも、コレって本当か? 
 そして、昨年(2015)、このキューブリック発の都市伝説を映画化した作品が作られた。それが『ムーン・ウォーカーズ』だ。ただしこちらはアポロの月面着陸の捏造疑惑を糾弾する、といった感じのシビアなテイストではなく、大胆にコメディ化にしたもので、その伝説自体を遊んでしまおう、という奇抜かつブロークンな出来映え(ソコが魅力)。とはいえ、そう考えるとピーター・ハイアムズ監督が着想した『カプリコン・1』は、そのエスプリな想像性は、かなり時代を先駆けていたとも言えそうだ。
 そのハイアムズ監督は『2001年宇宙の旅』の続編にあたる『2010年』(1984)を監督している。ネット上の情報によれば、キューブリックとハイアムズには交流があり、その流れで『2010年』をハイアムズが監督することになったようだが、だとすればこの『カプリコン・1』の「火星着陸ヤラセ大放送の陰謀劇」にもキューブリックが一枚噛んでいるのでは。

「月面着陸は捏造、私が撮影した」スタンリー・キューブリック死後15年目の告白動画が話題! やはりNASAは月の秘密を隠している!?

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