【松本匡史選手】青い稲妻と呼ばれた巨人軍不動のトップバッター

【松本匡史選手】青い稲妻と呼ばれた巨人軍不動のトップバッター

俊足巧打、そして守備も抜群に上手い。青い手袋を身につけていた事から 「青い稲妻」と呼ばれた松本匡史選手は、正に理想的な一番打者だった。 1980年代の巨人軍を支えた松本選手の球歴を振り返る。


●松本選手の球歴

松本選手は、報徳学園時代、2年生の時(1971年)に四番・レフトで春夏の甲子園に連続出場。
その後早稲田大学に進学すると、内野手に転向。、1976年のドラフト会議で巨人に指名される。この時の指名順位は5位と評価は決して高くなかったものの、その俊足を買われ入団後1年目から主に代走要員として一軍の試合に出場するものの、巨大戦力・巨人では定位置を奪えずにいました。

後に「地獄」と称される地獄の伊東キャンプの様子

転機が訪れたのは、1979秋に長嶋茂雄監督が静岡県の伊東スタジアムで行った「地獄の伊東キャンプ。そこで松本選手は俊足を生かす為に右打ちからスイッチヒッターに転向する為の猛練習を課されます。
(長島監督は、当時1番打者を務めていた柴田選手の後継者として松本選手を考えていました)

スイッチヒッターとして転向してしばらく結果は出ませんでしたが、練習を続けた結果、長島監督が勇退後の1981年には打率3割をマーク。1982年には初めて盗塁王を獲得するのです。

盗塁を決める松本選手

また松本選手が活躍し始めると、青色の手袋を着用し「青い稲妻」のニックネームを付けられます。(この愛称には、柴田選手が赤い手袋を着用し「赤い稲妻」と呼ばれていた事の対比という意味あいも込められています)

●大記録達成

リーグを代表する1番打者に成長した松本選手は1983年、シーズン76盗塁という「セリーグ記録」を打ちたて、2年連続盗塁王を獲得します。この「セリーグ記録」はその後、現在まで30年以上破られていません。※パリーグ&NPB記録は、福本選手のシーズン106盗塁

●なぜ盗塁数は減少したのか?

少しの間、話を現代に戻し「なぜこの記録は破られないのか?」という事を考察します。
松本選手の記録更新の期待を抱かせたのは、1985年盗塁王に輝いた広島の高橋慶彦選手の73個。

高橋慶彦選手

2000年代では2003年から阪神の赤星選手が3年連続で60個以上の盗塁数を記録しますが(61個、64個、60個。ちなみにこれは140試合での記録)、その後、年間最多盗塁記録は減少傾向です。
2015年の盗塁王に輝いた山田哲人選手の記録は34個。ちなみに2015年パリーグの年間最多盗塁記録は中島卓也選手の34個です。試合数も増加し、盗塁技術も上がっているはずなのに、なぜ近年盗塁数は減少していったのでしょう?

赤星憲広選手

実は、この盗塁数の減少について、野球解説者となった松本氏自身が次のように解説しています。
「盗塁は結局、信用なんです。監督が信用すればどんどん走らせる。でも、今はそれを選手のほうがさせないようにしちゃっているんですよ。サインを出してもスタートを切らないとか、簡単にアウトになってしまっているとか。そうなると信用はどんどん落ちていくし、監督もサインを出しづらくなる」

さらに松本氏は、盗塁数を増やす為には「年間を通して結果を出し続ける持続力があるかどうか。また、足が速いだけでは盗塁は成功しない」とも解説します。

●引退

松本選手に話を戻します。松本選手の魅力は盗塁だけでなく、守備範囲の広いセンターとして守備の要としても活躍。1981年から3年連続でゴールデングラブ賞を受賞しました。
ウォーレン・クロマティ選手が加入後の1985年からセンターからレフトにコンバート。
1987年、6月下旬くらいから打撃がスランプ気味になり、後半戦、台頭してきた駒田徳広選手がスタメン出場する機会が増えていきます。

そんな中、しぶりにスタメンに起用された試合でイージーフライを落球すると、王監督がこれに激怒。
更に出場機会を失っていきます。そんな中、後楽園球場から外野の広い東京ドームに本拠地が変更が決定。

後楽園球場の最後の姿

元々肩に故障歴があり、送球に不安のあった松本選手はトレード要員として名前が挙がる様にまでなりました。後楽園球場最後の年のリーグ優勝を手土産に、松本選手はジャイアンツのユニフォームのまま、引退することを選びました。33歳の若さでした。

関連する投稿


【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

プロ野球選手が引退後、タレントとして新たな道を歩むケースは数多く見られます。その中には、俳優業にまで進出し、映画やドラマで活躍する人も少なくありません。今回は筆者の独断と偏見に基づき、人気ドラマに出演した元プロ野球選手の中から、特に印象に残っている面々をご紹介します。


「ニューモモコ」グランプリに選ばれCM、グラビアで活躍した『古川恵実子』!!!

「ニューモモコ」グランプリに選ばれCM、グラビアで活躍した『古川恵実子』!!!

1992年にニューモモコグランプリに選ばれCM、グラビアで活動されていた古川恵実子さん。2010年3月頃まではラジオDJを担当されていましたが、以降メディアで見かけなくなりました。気になりまとめてみました。


田村正和主演のドラマ「さよなら、小津先生 」の名子役『池田 貴尉』!!

田村正和主演のドラマ「さよなら、小津先生 」の名子役『池田 貴尉』!!

数々の作品で名子役ぶりを発揮した池田貴尉さんこの方も引退されています。懐かしく思いまとめてみました。


ドラマ「女王の教室」では6年3組の児童・山下健太役を演じた『西原信裕』!!

ドラマ「女王の教室」では6年3組の児童・山下健太役を演じた『西原信裕』!!

天海祐希さん主演の学園ドラマ「女王の教室」では山下 健太役でレギュラー出演され2018年頃まで芸能活動をされていました。懐かしく思いまとめてみました。


ドラマ「 テツワン探偵ロボタック」で雪柳カケル 役を演じた『村上悦也』!!

ドラマ「 テツワン探偵ロボタック」で雪柳カケル 役を演じた『村上悦也』!!

1998年3月から放送された特撮ドラマ「テツワン探偵ロボタック」で雪柳カケル 役で子役デビューした村上悦也さん。実はドラマ2作で芸能界を引退されています。懐かしく思いまとめてみました。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。