青江三奈「伊勢佐木町ブルース」
1968年1月5日に青江三奈の「伊勢佐木町ブルース」がリリースされた。
♪タラッタ、タラララッタ、ラン♪のイントロで満面の笑みを浮かべた青江三奈が登場。そして「あ~ん」と吐息混じりのため息(スキャット)の後に♪あなた知ってる、港ヨコハマ、街の並木に潮風吹けば♪と港町ヨコハマを情緒的に歌う。
伊勢佐木あたりに灯(あかり)がともる頃に恋と情けのドゥドゥビ ジュビドゥビジュビドゥヴァ...で、灯(ひ)がともる。

青江三奈「伊勢佐木町ブルース」
レコード発売時には「“吐息”は子供向きではない」と指摘された。当時の子供達は、青江三奈の「あ~ん」に色気を感じたとは思えない。それよりも、青江の金髪の髪やゴージャスなロングドレスに目が釘付けになり、外国の人かと思っていた。
大人になって聴くと吐息の「あ~ん」より、「ドゥドゥビ ジュビドゥビジュビドゥヴァ」に想像を掻き立てられる。恋に落ちたのか、肉体的にイキ果てたのか、とにかくエロい。
そして、当時27歳の青江三奈のハスキーボイスと上品なお色気は印象に残る。
奥村チヨ 「恋の奴隷」
「あなたと逢ったその日から、恋の奴隷になりました」で始まり「悪い時は、どうぞぶってね、あなた好みの、あなた好みの、女になりたい」で終わる。奴隷になって、打って調教されるのだろうか。男性目線のセクシー歌謡だ。レコードのジャケットの写真は、いたるところが見えそうで見えない。注目していただきたいのは右足の指。親指を反らせ、他の指は内側へ折り曲げている。これは、浮世絵や春画で見るエクスタシーの表現と同じだ。
![恋の奴隷 [EPレコード 7inch]
奥村チヨ (アーティスト) 形式: LP Record
奥村チヨ 「恋の奴隷」1969年
作詞:なかにし礼
作曲:鈴木邦彦](/assets/loading-white-036a89e74d12e2370818d8c3c529c859a6fee8fc9cdb71ed2771bae412866e0b.png)
奥村チヨ 「恋の奴隷」
当時22歳の奥村チヨは、少女と小悪魔が同居しているような不思議な魅力があり、子犬のようにかわいい。
奥村チヨ 恋の奴隷 - YouTube
ちあきなおみ「四つのお願い」
「四つのお願い」を聞いてくれたら、あなたに夢中になって、恋をしちゃう。と言う意味合いの歌詞で3番まであり合計12のお願いがある。
1番は、やさしく愛して。わがまま言わせて、さみしくさせないで、秘密にしてネ。
2番がスゴい、やさしくキスして、こっそり教えて、あなたの好きなこと、そのあとわたしにしてネ。3番では、やさしくいつでも、ふたりはしあわせ、いつしか結ばれて、あなたとわたしは一つ。ということで、女性からのおねだりのお願いきいて、好きなことをしちゃうと幸せに結ばれるという。女性からの婚前交渉を匂わす言葉にドッキリするが、健全なお色気歌謡だ。

ちあきなおみ「四つのお願い」
デビュー時のキャッチフレーズは「魅惑のハスキーボイン」という、男性を惹きつけるコケティッシュな顔と豊満なボディが魅力的な、ちあきなおみが歌う「四つのお願い」。
辺見マリ「経験」
軽快なイントロで登場した辺見マリが、いきなり「やめて~!」愛してないなら、「やめて~!」くちづけするのは、「やめて~!」このまま帰して、あなたは悪い人ね。
やめてといいながら、語尾は、吐息混じりだ。ずるい男とわかっていても、逢うとイヤと言えない、離れられない。肉体関係に溺れて男と別れられないのか。こんなふうに女性を落としてみたいと思わせるセクシー歌謡だ。

辺見マリ「経験」
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辺見マリは、日本人とスペイン系アメリカ人のハーフで、当時20歳。
山本リンダ「狙いうち」
1972年のヒット曲「どうにもとまらない」1973年の「狙いうち」をはじめ「狂わせたいの」などのヒットでセクシー歌謡全盛時代を支えた。山本リンダは日米ハーフでモデル出身のその美貌にセクシーな衣装をまとい激しいアクションで悩殺する。

山本リンダ「どうにもとまらない」
「狙いうち」では、「ウララ ウララ ウラウラで」と上から目線の女性が、玉の輿にのるために磨きかけた体を武器に「狙いうち」するのだ。
パンチの効いた踊りと低い声で「ウララ 」と歌ったり、高い声「ウララァーッ! 」と歌ったりする独自の歌唱は素晴らしい。
「狙いうち」の歌詞の内容を考慮すると、この曲が高校野球の応援に使われていることに驚く。
夏木マリ「絹の靴下」
キャッチーな歌詞「間違いはあの時生まれた私はがまんできない」で始まり。
サビの「ああ抱いて、獣(けもの)のように裸の私に火をつけて」で終わる。
お金持ちに囲われている女性が、絹の靴下を履かされる生活において性的に満足できないのだろうか。「絹の靴下」は、大ブレイクした。曲中の振り付け「フィンガーアクション」はブームとなった。

夏木マリ「絹の靴下」
ご迷惑をおかけしています!
イントロ部分では、口を少し開き、セクシーな眼差しとフィンガー・アクションで誘う。
半端ないアバズレ感がスゴい。夏木の痩せているのに胸と尻は大きいスーパーボディーも魅力的だ。
浜夏子「熱い仲」
浜夏子の「熱い仲」(作詞:みなみ修、作曲/編曲:京健輔)は、1973年にテイチクから、発売された。アップテンポの曲を吐息混じりで歌う高度な歌唱と歌い出す前に「アーッン」と吐息混じりで始まり、「いやぁーん」「だめ、だめっーん」となにやら大変な状況にあるようだ。レコードのジャケットは、当時、白川和子が主演した日活ロマンポルノの団地妻シリーズを連想させるエロエロ路線だ。当時の浜夏子は、21歳だが、写真で見る限りアラサー超えの熟女に見える。
安西マリア「涙の太陽」
1973年、安西マリアの登場により、アイドルセクシー歌手が誕生した。
今までのお色気歌手が歌う密室のエロから、飛び出し太陽の下のセクシーへと変わった。
褐色の肌のマリアがHONDAのオートバイに跨るレコードジャケットには、少しの「不良性」を感じる。

安西マリア「涙の太陽」
ご迷惑をおかけしています!
安西マリアが持つ不良性は、彼女の魅力であり、「涙の太陽」は大ヒットした。
マリアは、雑誌やグラビアでも活躍して人気を博した。
山口百恵の「青い果実」
1973年9月、山口百恵の出現により、70年代の歌謡界は大きく変わった。地味で大人しそうに見える山口百恵の口から飛び出して衝撃的な歌詞に日本中が注目した。「あなたが望むなら私何をされてもいいわ。いけない娘だと噂されてもいい」。今までの男性主体のお色気歌謡の度肝を抜いた。清純な娘が自分の意志で男性の胸に飛び込んで行く。

山口百恵の「青い果実」
当時14歳の山口百恵は、アイドルになりたくて歌手になったのでは無い。家族を支えるために芸能界に入った。際どい歌詞を淡々と歌う百恵の歌唱は、他のアイドル歌手には見られない強い決意を感じさせ、その覚悟が彼女独自の存在感を放った。
性を歌う第二弾の「ひと夏の経験」も大ヒットした。山口百恵は″青い性路線″を経て、結婚発表、引退するまで、歌手、女優として活躍した。
中森明菜「少女A」
1982年5月1日、16歳の中森明菜は、「ちょっとエッチな美新人娘(ミルキーっこ)」のキャッチフレーズでデビューした。彼女の2枚目のシングル「少女A」は、女性の目線の歌詞だが、不良少女の不純異性交遊を連想させる内容だ。「少女A」とは、未成年の犯罪者を表す。『少女A』の主人公も不良少女だ。その「少女A」は、明菜を意味するAではないが、明菜はこの曲を好きではなかった。
また、歌詞の「ねぇあなた、ねぇあなた」の部分を「じれったい、じれったい」に変更した結果、ツッパリ少女の雰囲気が一層増した。しかし、曲は、大ヒットした。そして、楽曲「少女A」が中森明菜のアイドル歌手としての基盤を築いた。

中森明菜「少女A」
レコードジャケットの明菜の上目遣いで不貞腐れた表情も不良のイメージを独り歩きさせた。デビュー当時の中森は、ぽっちゃりしていた。彼女の衣装は、他のアイドル歌手と比較してセクシーなものだった。
山口百恵のデビューから約10年、中森明菜という新しいスターが誕生した。
しかし、現在も活動を休止している中森を思うと、この曲に運命を感じずにはいられない。