24人のビリー・ミリガン

元々の人格のビリーは、実父が自殺した後、母親が再婚した義父から虐待(性的虐待を含む)を受けて育ちました。
その虐待は縄で吊るされるなどの激しい暴力から、肛門への挿入までを含むレイプにまで及んでいます。
日常的に義父から虐待を受けていたビリーは、次々に人格が分裂していきました。
あまりの辛さに心が耐えられず、自己逃避をしたのではないかと推測されます。
別人格が表面化している間のビリーは意識がありません。
空白の時間に記憶のない事が起こったとすれば、とても怖い事ですよね。
ビリーはそんな苦しみから逃れようと、17歳の時にビルの屋上から投身自殺をしようとしました。
そして自殺直前のビリーを別人格(レイゲン)が止めて、以降ビリーは眠らされる事になります。
ビリー・ミリガンの人格紹介

ビリーの分裂した人格をご紹介します。
主要人格と人格の中のリーダー的存在
役割を持って表面に出てくる人格
義父の縄から抜け出すためや、辛い時に苦痛を引き受けるためなどで現れた人格で、必要な時に出てきます。
好ましくない物としてアーサーに隔離された人格
治療によって統合した人格
事件は好ましくない人格によって起きた

強姦事件を起こしたのは、アダラナというレズビアンの人格と、フィル(フィリップ)という人格です。
ビリーの中には人格が混在していて、スポットという場所に立った人格が表面意識を持つのでした。
比較的安全な場所ではアーサーがスポットを管理し、刑務所など安全でない場所の時には、強く他の人格の保護者でもあるレイゲンがスポットに就く管理をしています。
でもケビンによる薬局強盗事件で1年半の服役を終え出所して以降は、混乱し人格の管理が出来なくなってしまっていて、好ましくない人物も現れてしまったのでした。
そんな時に、3件の強姦強盗事件を起こしてしまいます。
まずキャンパスで現れたアダラナが女性を誘い、次に入れ替わったフィル(フィリップ)が女性を強姦してしまったのでした。
その後以前にも強盗事件を起こしたケビンが現れて、女性を銀行に連れて行き小切手を現金化して奪うと言う手口でで続けて3件も起こしてしまったのです。
演技では出来ない、科学では説明のつかない人格の証明
最初はビリーの証言を怪しんでいた担当弁護士ですが、彼の異常性に気付き、裁判能力がないのではないかと考えました。
そして精神科医や検事を呼び、調査を依頼したのです。
イギリス訛りの英語を話すアーサーや、スラブ訛りの英語を話し、セルビア・クロアチア語の読み書きが出来るレイゲンなど、ビリーが演技で出来る物ではない事が確認されると、ハーディング病院での精神治療が開始されました。
そして裁判に出られるまでに快復したビリーは、無罪を言い渡されます。
その後アセンズ精神衛生センターの治療を受けて、ビリーの中には教師という統合された人格が生まれました。
やっと光がさしてきたビリーですが、危険視する政治的圧力によって彼は劣悪な環境の州立来間病院に移送されて、虐待を受けることになってしまったのです。
ビリーは一進一退を繰り返しながら快方に向かい、とうとう1991年に裁判所は彼を解放したのでした。
ビリー・ミリガンの最後
義父から酷い虐待を受けたために、人格が分裂してしまったビリー。
自分が記憶にないことが次々に起こる恐怖は、我々の想像もつきません。
知らない間に犯罪者になり、どんなにか悔しく空恐ろしかった事でしょう。
1991年に法廷から解放されたビリーは、ショートフィルムを製作する予定でしたが、姿を消してしまいます。
ビリーの行方は誰にもわかりませんでした。
そして2014年12月12日に癌のため、オハイオ州の病院で逝去しています。
享年59歳。
長い間行方知らずだったために、快復してから彼が何をしていたのか?不明となっています。
マスコミにも追われ、あまりにも有名になってしまいましたし、虐待や人々の無理解から人間不信になってしまっていたのかもしれません。
解放から亡くなるまでの、20年足らずの短い時間をビリーが静かに平穏に暮らしていたと祈りたいですね。
まとめ
今回は幼少時の虐待がもとで、24人もの人格に分裂してしまったビリー・ミリガンの生涯についてご紹介しました。
数奇な運命を辿ったビリーの晩年が、幸せな物であったことを祈りたいと思います。