ダンキンドーナツの歴史
ダンキンドーナツは1948年にアメリカ・マサチューセッツ州クインシーで創業しました。
創業者のイリアム(ビル)・ローゼンバーグはクインシーで工場労働者のためにサンドイッチなどの移動販売を行っていました。その時、ドーナツの売り上げが高いということに気が付き、「Open Kettle(オープンケトル)」という名前でドーナツ専門店をオープンさせたのです。
その後、1980年に「Dunkin' Donuts(ダンキンドーナツ)」と改名し、フランチャイズ化。アメリカ国内にたくさんの店ができました。
そして世界にも進出。現在ではアメリカ、カナダ、スペイン、タイ、韓国、台湾、トルコ、アラブ首長国連邦など世界29か国に進出している世界一のドーナッツチェーンになりました。
2019年1月から店名を「Dunkin'(ダンキン)」に変更。ドーナツではなく、コーヒーなど飲み物が主体のブランドに変更しようという方針で「ドーナツ」をとったそうです。
ミスタードーナツとの関係
日本ではドーナツといえばミスタードーナツが有名ですが、ミスタードーナツもアメリカ発のドーナツチェーン。というか、元はダンキンドーナツと関係しています。
創業者のローゼンバーグは、義理の妹の夫であるハリー・ウィノカーと一緒に会社を運営していました。ですが、方向性の違いにより、ハリーは独立。1956年にボストンで立ち上げたのがミスタードーナツだったんです。
2大ドーナツチェーンが親戚同士だったとはびっくりですね。
ですが、アメリカでは1990年にミスタードーナツをダンキンドーナツが吸収合併。2021年現在、「ミスタードーナツ」という店名で経営している店舗はイリノイ州にある1店舗だけになっています。
日本ではミスタードーナツが成功していますが、アメリカでは逆だったんですね。30年以上前にアメリカからはなくなっているブランドなので日本オリジナルだと思っている方も多いかもしれません。
日本でのダンキンドーナツ
日本では1970年に東京・銀座に第一号店がオープンしています。じつは、これが海外進出一号店だったのです。日本ではセゾングループのレストラン西武が運営していました。その後セゾングループの株式会社ディー・アンド・シーが店舗展開をしていたのです。
その後1971年にミスタードーナツも日本に進出。ミスタードーナツはダスキンが経営しています。第一号店は大阪にオープンしました。
ミスタードーナツは当初から、日本人に受けそうな商品を取り入れたり、好感度の高いタレントを使用してCM展開するなど積極的にマーケティングを行ってきました。
それに対し、ダンキンドーナツはあまり宣伝などに力を入れていなかったようです。確かに、ミスタードーナツのCMはよく覚えていますが、ダンキンは思い出せません。それにミスタードーナツはオサムグッズなどのノベルティがついていたり、リピート購入するような仕組みができていましたね。
ミスタードーナツに市場を奪われていたダンキンドーナツはディー・アンド・シーが子会社として合併した吉野家に経営を任せることになります。ドーナツだけではミスタードーナツは勝てない、と考えてサンドウィッチなども販売していました。ですが結局業績不振から逃れられず、1998年に日本から撤廃しています。
当時、吉野家の社長だった安部修仁さんは、「牛丼の真逆にあるドーナツでは、吉野家のノウハウを活かせなかった」とのちに話しています。確かに、購入層が全然違いそうですからね。
こうしてダンキンドーナツは日本から姿を消してしまったのです。ないとなると食べたくなるのが人の性。海外で店舗を見つけると立ち寄っているという人も多いかもしれませんね。
また、ミスタードーナツは一部店舗を除いて店内調理が基本ですが、ダンキンドーナツはセントラルキッチンを作ってどこから配送していたようです。それによって味が劣化した、と指摘する声も。確かに、揚げ物は出来立てがおいしいですからね。
ドーナツは翌朝の朝食に食べることが多かったのですが、買ってすぐに食べるとおいしさが全然違います。
日本でもダンキンドーナツが買える場所がある!
日本国内から姿を消したダンキンドーナツ。食べるには海外に行くしかないのか、というところですが、実は日本でも食べられる場所があります。
それは米軍基地!米軍基地内にダンキンドーナツがあるところが多いんですよ。私も昔、横須賀の米軍基地の開放日に行って、ダンキンドーナツを買って帰ったことがあります。ただ、1個ずつ好きなドーナツを買えるのではなく1ダース単位の販売でした。ちなみに、米軍基地内はマクドナルドなども現地メニューになっているので色々食べたくなると思いますが、近くに米軍基地がある方はぜひ開放日にダンキンドーナツを探してみてください。
ちなみに私はダンキンドーナツのスープが好きでした。具だくさんですごくおいしかったのですが、あれはもう飲めないのだろうなと思うとやっぱりさみしいです。