多くの人を惹き込んだまんがイソップ物語はこうして作られた!
本作は「イソップ寓話(イソップぐうわ)」を元に制作された1話完結型アニメです。古代ギリシャ時代に陶芸作家で奴隷のアイソーポスという人物がおり、様々な人々・動物・自然現象などを題材にした寓話を作ったとされています。
イソップ寓話はそれを分かりやすいようにまとめたものですが、アイソーポスがいた時代以前から伝わる小アジアの民族や古代メソポタミアのものも含まれていると考えられてきました。またアイソーポスという人物の存在自体を考古学的に証明するものはなく、「イソップ寓話」の作者と断じるのは非常に難しくなっています。
いつの頃からか寓話を語る者達の間で彼の名が広がり浸透していったと現在まで考えられているようです。

前述したように「漫画イソップ物語」の発祥地がギリシャかどうかが不明なので、ギリシア語で書かれた寓話集があったのかも判明していません。現存する寓話集には古代ギリシャ語とラテン語で編集されたものがありますが、これらは全て後世になってからキリスト教学者によって受け継がれ広まってきたものであるとされています。
ギリシャ語・ラテン語を研究してきた彼らにとって寓話集は非常に興味深く、いつの間にかキリスト教の価値観(教訓や道徳)を示す教育的な物語に変化していきました。現存する寓話集は娯楽的な寓話に教育的な意味が付加された物語であるというのが学者達の主な考えです。
今尚語り継がれるまんがイソップ物語は2つある!?


まんがイソップ物語と聞けば多くの人が懐かしみ子供達の教材としても活用されている名作です。一言でまんがイソップ物語と言ってもテレビ東京と日本アニメーションが共同製作したものと、東映アニメーションで上映されたものとは全く違います。
アニメ「まんがイソップ物語」は15分間の1話完結型アニメが52話、テレビ東京系列(1983年10月-1983年12月23日)で放送されました。一方アニメ映画のほうは上映時間61分のなかで、アリとキリギリス・ウサギとカメなど有名な「イソップ寓話」を中心に集めて放映していたのが特徴です。また主人公の少年イソップが人の言葉を話せる動物達が生活する世界を冒険するというエピソードが、アニメ映画「イソップ物語」には加わっています。
まんがイソップ物語で有名なエピソード3選!

イソップ物語にはマイナーなものからメジャーなものまで数多くのエピソードが収録され、視聴した人が楽しみながら様々な教訓と道徳を学べるようになっています。その為今尚一定の人気を保っている本作ですが、どんなものが収録されているのか知らない人もいるでしょう。そこで以下では特に有名な3作品を載せるので是非参考にしてください。
田舎のネズミと町のネズミ

このエピソードは題名の通り田舎のネズミと都会のネズミの話で、仲の良いネズミがそれぞれの自宅に招待されるという内容です。最初に田舎のネズミの自宅に招待された町のネズミは畑から引っこ抜いた作物をそのまま食べる友人の様子に呆れて言いました。「こんな退屈な生活によく暮らせるな。僕のところに来れば珍しいものが腹一杯食べれるよ」
珍しいものと聞いた田舎のネズミは彼の提案に乗り町のネズミの自宅を訪問。成程パンやチーズといった御馳走が並んでいましたが、そこは人間の住処でもあり危険と隣り合わせだったのです。田舎のネズミはこんなに危険の多い場所なら、田舎で生活したほうがマシだと思い帰っていきました。
アリとキリギリス

働き者のアリ達は冬を迎える前に食料を蓄える為に暖かい夏でも働いてばかり、しかしバイオリンを弾き歌を歌ってばかりのキリギリスはそれを怠っていました。その重要性に冬が到来してから気付いたキリギリスですがいくら探しても食べ物は見つからず、仕方なくアリに食べ物を分けてもらおうと頼むものの断られてしまいます。
遊んでばかりいたところを見ていたアリは「夏には歌っていたんだから、冬には踊ったらどうだい?」と協力しませんでした。最終的にはキリギリスが死んでしまうという悲しい結末を迎えるものの、慈悲心を抱いたアリが食べ物恵んでやる展開に改変されたものもあります。アリは食べ物を渡す際どうして冬にこんなことになったのかを指摘し、キリギリスは心を入れ替えて働くようになるという内容です。また食べ物を貰ったお礼にバイオリンを演奏するという結末も一つのパターンとなっています。
羊飼いの少年

羊飼いの少年はある日「狼が来た!」と村の大人達に助けを求めました。しかし武器を持って駆け付けた大人達の前には狼は現れず徒労に終わってしまいます。結局少年のいたずらだったものの少年は懲りずに嘘をつき続け大人達は彼を信用しなくなりました。最後は本当に狼が襲来するも助けは現れずに狼に食べられてしまうという話です。
この話は嘘をつき続ければやがて信用されなくなる、正直に過ごすことで信頼が上がりいざという時に助けてくれることを伝えています。尚日本で嘘つきな少年を「オオカミ少年」と呼ぶことがあるのは、「羊飼いの少年」が由来となっているそうです。
このオオカミ少年に関連するものに「オオカミ少年効果」と呼ばれるものがあります。災害が発生した地域で警報が出されても実は誤報で、空振りが何度も続き住民は情報を信頼せず避難しなくなってしまうものです。
各エピソードのラストに登場するのはお馴染のあのキャラクター


アニメ「漫画イソップ物語」の魅力は各エピソードの内容は勿論、お馴染のキャラクターが毎回登場することでもあります。必ず各エピソードの最後に登場するのは赤・青・黄色の3匹の猿。彼らが各エピソードを独自に評価したり物語に関連した寸劇を披露するなど視聴者を楽しませてくれました。視聴者に作品をより身近に感じてもらいたいという製作陣の思いが込められています。実際3匹の猿という特徴あるキャラクターがいたからこそ、作品が多くの方の脳裏に印象深く残っていると言っても過言ではありません。