原作・三島由紀夫『潮騒』~あらすじ

舞台は伊勢湾の歌島という小さな島。18歳の青年・新治は戦死した父の代わりに貧しい家で母と弟を養うために漁師をして暮らしていた。
そんなある日、見慣れない少女を見かける。村の有力者の娘・初江だった。何度か顔を合わせるうちに惹かれ合う二人。
ある嵐の日、使われていない廃墟に避難し、焚火越しで濡れた体を温めている...ついに二人は裸で抱き合い、キスをするが、初江の「今はいかん。私、あんたの嫁さんになることに決めたもの」という言葉で一線を越えることはしなかったが、よからぬ噂がたち、2人は会う事を禁じられてしまうが、2人を助けてくれる人たちもいて、二人の心は繋がっていく。
三島由紀夫の原作には、ロマンチックだけど、理性的であって、素朴な心模様も表現されているという作品です。
山口百恵のプロフィールと経歴

山口百恵のプロフィール
山口百恵( やまぐちももえ )
本名:三浦 百惠(みうら ももえ)
生年月日:1959年1月17日
出生地:東京都渋谷区恵比寿
出身地:神奈川県
血液型:A型
活動期間:1973年 – 1980年
山口百恵さんは、1972年12月、当時人気だった新人発掘オーディション番組『スター誕生!』に出演して、20社から指名され、最終的にホリプロと契約し、デビューします。
デビューは翌年1973年で先に映画デビューし、公開後の翌月に歌手としてデビューします。
百恵さんより先にデビューしていた、森昌子さん、そして同じ年にデビューしている桜田淳子さんとともに「花の中3トリオ」として人気になります。
山口百恵さんが歌手として大ブレイクするのは、1974年6月発売の『ひと夏の経験』からでした。年齢の割に大人びた歌詞とのギャップと、陰のある雰囲気で無二の「山口百恵」というブランドがどんどん大きくなっていきます。
同じく1974年10月スタートのテレビドラマ『赤い迷路』が始まり、「赤いシリーズ」としてその後も大人気となります。女優としても認められ人気も不動のものになっていくことになり、そんなころに映画でも、1974年公開『伊豆の踊子』そして、1975年公開の『潮騒』に出演と続くことになります。
1975年公開『潮騒』主演は山口百恵
三島由紀夫原作による『潮騒』は、1954年(昭和29年)6月10日に新潮社より刊行された作品で、ベストセラー、1954年度第1回新潮社文学賞を受賞しています。
『潮騒』の映画化はこれまで5作品公開されています。
■第1作 1954年(昭和29年)
主演:久保明、青山京子
■第2作 1964年(昭和39年)
主演:吉永小百合、浜田光夫
■第3作 1971年(昭和46年)
主演:朝比奈逸人、小野里みどり
■第4作 1975年(昭和50年)
主演:山口百恵、三浦友和
■第5作 1985年(昭和60年)
主演:鶴見辰吾 堀ちえみ
山口百恵『潮騒』のヌードシーン
山口百恵さんが出演した『潮騒』、撮影時、百恵さんはまだ15歳でした。デビューして間もない少女が映画でヌードにということ、そして歌手としてすでにブレイクしていたことでも話題になりました。
清純なイメージと、どこか大人びた雰囲気のギャップに百恵さんの魅力があったのかもしれません。15歳という年齢で映画とはいえ、ヌードになったとしてファンの間では、賛否両論でしたが、衝撃を受けたファンも少なくなかった様です。
山口百恵さんのシミーズ姿と三浦友和さんのふんどし姿
こちらが話題になった『潮騒』の焚火のシーンです。撮影時、百恵さんは15歳、三浦友和さんは22歳という事で二人とも、とても初々しいんです。
2人は『潮騒』の前にも、川端康成原作の『伊豆の踊子』でも共演しています。
潮騒撮影の時は、まだ二人は交際には至っていなくて、百恵さんが年上の友和さんを兄の様に慕っているという程度だったとか。
その後、2人は交際し、結婚するわけですが、2011年のあるインタビューで三浦友和さんが百恵さんとの出会いについてこんな風に語っています。
1975年公開の映画『潮騒』について、4作目の主演は当時大人気の山口百恵さんだったことで、有名シーンに激怒したファンがいたこと、あわや放火事件に発展したかもしれなかったこと、そしてのちも百恵さんの夫となる三浦友和さんとの初々しい交際前の共演ということなど、この『潮騒』ではいろいろなことが話題になっていました。
個人的に今一度、1975年公開の『潮騒』を観てみたくなりました。
最後に...三島由紀夫について
本名:平岡 公威(ひらおか きみたけ)
生年月日:1925年1月14日
出生地:東京府東京市四谷区永住町2番地(現・東京都新宿区四谷4丁目22番)
死没:1970年11月25日(45歳没)
職業:小説家、劇作家
最終学歴:東京大学法学部法律学科卒業
三島由紀夫と言えば、作家としての顔、そして昭和の歴史において日本社会に衝撃的な事件を起こした人物として語り継がれることになります。
その事件とは、1970年11月25日、三島由紀夫自ら結成した軍隊的な集団『楯の会』のメンバー4人とともに、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内東部方面総監部の総監室で総監・益田兼利陸将を拘束し、憲法改正のクーデターを起こします。
有名なのは、自衛隊員に向かって行った演説。最期は割腹、そして同士に介錯されるというショッキングなものでした。
そんな過激的な最期だった三島由紀夫が残した『潮騒』という作品。この小説を映画化するにあたっての三島側からの条件は、映画の撮影は、三重県伊勢湾にある「神島」で行う事とあり、これまで潮騒は5作品、映画化されていますが、すべて「神島」で撮影が行われています。
原作者の思い、演じた者の思いやその背景を感じながらあらためて観るにもいいでしょう。