「雑記時代」と違ってやきもきするようなラブロマンスは少ない。というか、「おひかえあそばせ」にラブストーリーを軸にしてシリアスな要素を入れ、更にブラッシュアップしたものが「雑居時代」ということになります。
あの名作「雑居時代」は、「おひかえあそばせ」という作品があったがために完成度の高いドラマになったというわけです。
パパと呼ばないで
「おひかえあそばせ」に続き、1971年10月から石立鉄男&ユニオン映画シリーズの第2作目となる「気になる嫁さん」が放送され大ヒット。ただ主演は石立鉄男というよりも、榊原るみです。松木ひろしは全40話のうち、1話~3話まで続けて担当したもののその後は飛び飛びとなり、結局7話しか担当していません。
次いで1972年10月4日から石立鉄男&ユニオン映画シリーズの3作目「パパと呼ばないで」が放送されます。
パパと呼ばないで
これはもう、なんと言ってもチー坊こと橋本千春役の杉田かおるですね。カワイイとしか言いようがありません。石立鉄男演じる安武右京が、 姉の死去によって姪の千春を引き取り、米屋の2階に下宿することになり、そこで繰り広げられる心温まるホームドラマ。
「雑居時代」で石立鉄男が杉田かおると最初に出会うシーンで「あれ?お米屋さんの2階に居なかった?」というセリフは、このドラマがあったからなんです。
まぁ、何にしてもチー坊はカワイイ!!!
これまた大ヒット。しかし、松木ひろしは、またまた1、2話を続けて書いているものの、その後はやはり飛び飛びです。忙しかったんでしょうし、ヒット作を手掛けるのは大変なのでしょう。この作品、脚本は5人がかりとなっています。
気まぐれ天使
石立鉄男・ユニオン映画シリーズの4作目にいよいよ「雑居時代(1973年10月3日~1974年3月27日)」が登場し、1974年10月13日~1975年3月30日までがシリーズ5作目の「水もれ甲介」です。
この2作品、松木ひろしは大活躍で「雑居時代」はほとんど一人で書いていますし、「水もれ甲介」でも半分近く書いてます。
そして6作目となるのが再び石立鉄男、大原麗子コンビとなる「気まぐれ天使」です。
気まぐれ天使
松木ひろしの脚本にこの2人とくれば、誰だって期待します!「雑居時代」よ再び!と誰もが思ったことでしょう。しかし、ちょっとばかり違うんですね。いえ、確かにこの2人は今で言うところのツンデレです。くすぐられます。
うだつの上がらない彼としっかり者の彼女。しかもその彼女はセクシーお姉さんとして深夜の人気DJときたもんだ。「雑居時代」と違って既に婚約中だけど結婚までの道が遠い。いつものようにすったもんだがあるわけです。それでこそ松木ドラマです。
松木ひろし流石にいいとこ突きます。しかしですねぇ、これ、主役はこの2人じゃないんですよ。実質的には樹木希林が主役です。石立鉄男、大原麗子コンビの出番が少ないです。一説には大原麗子の体調が悪く長時間の撮影に耐えられなかったと言われています。
それもあってでしょう。全43話とシリーズ最長であるにも関わらず大原麗子は13話で姿を消してしまいます。
松木ひろしもこのコンビに思い入れが強かったのでしょう。大原麗子が出ている13話中の12話を手掛けています。そして、その後はパラパラと。。。
「気まぐれ天使」のヒットを受けて「気まぐれ本格派」が始まったのは1977年10月です。
気まぐれ本格派
実家の貸衣装店を兄の利昌に任せ、カーフェリーの船員として気ままな独身生活を送る清水一寛。ところがある日、利昌が交通事故に遭い…
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「気まぐれ本格派」は、石立鉄男・ユニオン映画シリーズの最終作です。松木ひろしは1話から6話まで続けて担当し、ラスト2話も力を込めて制作していますね。有終の美という感じでしょうか!
「水もれ甲介」と「気まぐれ天使」の間に他局で「うしろの正面」というドラマも手掛けていますし、さぞかし忙しかったことでしょうね。
池中玄太80キロ
「気まぐれ本格派」の後には「自由学校(1978年、NHK)」、「敵か?味方か?3対3(1978年、テレビ朝日)」、「消えた巨人軍(1978年、日本テレビ)」、「聖女房(1979年、日本テレビ)」と休む間もなく働き続ける松木ひろしですが、70年代最後にまたまた大きなヒット作品を作り上げます。
原案と脚本を担当した西田敏行主演の「池中玄太80キロ」です。