『菜Complete BoxⅠ 菜 Complete Edtion1・2・3巻セット』2025年6月23日発売
都会の孤独や男女の洗練された恋模様を鮮やかな色彩で描いた『ハートカクテル』で一世を風靡した漫画家・わたせせいぞう。画業50周年という大きな節目を迎え、その膨大なキャリアの中でも「最長の連載」であり、和のテイストを極めた代表作『菜(さい)』シリーズが、豪華仕様の「Complete Edition」として復刻されました。
株式会社玄光社より、2025年から順次刊行されてきた本プロジェクトは、2026年1月28日に発売される『菜〜ふたたび〜 Complete Edition』(全2巻)をもって、ついに完結。日本の美しい情景と家族の絆を描き切った伝説のシリーズが、最高のかたちで令和の時代に蘇ります。
「和の世界」へ新境地を拓いた、わたせせいぞうの転換点
1980年代、洒脱なフルカラーコミックで時代の寵児となったわたせ氏。しかし、『ハートカクテル』の連載終了後、氏の心境には大きな変化が訪れます。きっかけは意外にも「歌舞伎」の鑑賞でした。それまで地味なものだと思い込んでいた「日本の伝統的な色使い」が、実はきらびやかで、四季の草花や自然の移ろいを見事に反映していることに衝撃を受けたのです。
「日本の四季、そして和の世界を描きたい」
その強い想いから誕生したのが、1992年に連載を開始した『菜』でした。それまでの都会的なスタイルから一転し、古都を舞台に日本の古き良き生活文化を描き出す作風は、新たなファン層、特に自立した女性読者からの熱狂的な支持を集め、氏にとって最長の連載作品となりました。
理想の女性像「菜」と、鎌倉をモデルにした「K市」の物語
物語の主人公は、大家族で育った心優しき物理学者・富田耕平と、若くして両親を亡くし孤独の中にいた桐島菜。二人が出会い、夫婦となり、鎌倉をモデルにした「K市」の古い日本家屋で、四季折々の花々に囲まれながら愛情豊かな家庭を築いていく姿が描かれます。
ヒロインの菜は、和服が似合う凛とした佇まいでありながら、おっちょこちょいで寂しがり屋な一面も持つ、わたせ氏にとっての「理想の女性像」。一方、彼女を支える耕平は、酒が入るとだらしないものの、一途に妻を愛する魅力的なキャラクターとして描かれています。
舞台となる「K市」は、わたせ氏が学生時代から通い詰め、茶道を習うために足を運んだほど思い入れの深い「鎌倉」がモデル。江ノ電沿いの風景や実在する名所が随所に登場し、読者は物語を読み進めるうちに、まるで自分もその街で四季を感じながら暮らしているかのような錯覚に陥ります。
『菜Complete BoxⅡ 菜 Complete Edtion4・5・6巻セット』2025年8月13日発売
離れて暮らす家族の絆を描く、後日譚『菜〜ふたたび〜』
今回、2026年1月に発売される『菜〜ふたたび〜 Complete Edition』は、本編から10年後を描いた続編です。
待望の長女・かりんを授かった夫婦。しかし、かりんは亡き兄と同じ先天性の心疾患を抱えていました。そんな中、耕平に京都の大学への教授就任の話が持ち上がります。家族の将来、そして病を抱える娘のために、鎌倉と京都に離れて暮らすことになった一家。手紙や電話で心を繋ぎながらも、揺れ動く菜の心と、それを包み込む家族の絆が、京都と鎌倉という二つの古都の情景とともに情緒豊かに描かれます。
『菜〜ふたたび〜 Complete Box 1・2巻セット』2026年1月28日発売
復刻版ならではの豪華特典と、巨匠たちの競演
今回の「Complete Edition」は、単なる復刻にとどまりません。オリジナルのエピソード全話を完全収録するのはもちろん、著者によるコラム「菜時記」や、ファン垂涎の未公開ネーム、下書き資料などを多数再録。さらに、以下のような豪華な特別企画が盛り込まれています。
豪華対談
1巻には、俳優・作家の中江有里氏とわたせ氏の対談を収録。
特別寄稿
2巻には、わたせ氏自身による「その後の物語」を描いた掌編小説や、人気イラストレーター・マツオヒロミ氏による寄稿イラストを掲載。
帯推薦文
1巻を渡辺満里奈さん、2巻を永井博さんが担当するという、画業50周年にふさわしい豪華な顔ぶれが揃いました。
画業50周年の締めくくりにふさわしい、一生もののコレクション
昨今の80sカルチャーやシティーポップの再評価により、世界中から注目を集めるわたせせいぞう氏。その氏が、自らのルーツである日本への愛を込めて描き上げた『菜』シリーズの復刊は、50年の軌跡を締めくくるにふさわしい一大プロジェクトです。
四季折々の花が咲き、風が吹き、人が人を想う。そんな当たり前で、けれどかけがえのない幸福の形を教えてくれる本作は、手に取るたびに新しい発見と安らぎを届けてくれるはずです。全8巻の美しい装丁とともに、ぜひ一生もののコレクションとしてお手元に置いてみてはいかがでしょうか。