ドル箱三部作
映画ファン必見のドル箱三部作。なのですが、ドル箱三部作とはこれまた凄いネーミングですね。直球勝負。そんな感じでしょうか。何のことかと言いますと、クリント・イーストウッドが主演した3本のマカロニ・ウェスタン映画のことです。

クリント・イーストウッド
「荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)」「夕陽のガンマン(For a Few Dollars More」「続・夕陽のガンマン(The Good, the Bad and the Ugly 」がそれなのですが、どれも大ヒットしたことから「ドル箱」と付けられたのではなく、最初の2本の原題に「ドル」とあるためだという説があります。
まぁ、これはガンマン達のジョークでしょう。映画会社にとってはまさしくドル箱だったことに違いはありません。今、ガンマンが熱い!ということで、この3本をご紹介します。
マカロニ・ウェスタン
「ドル箱三部作」はどれもマカロニ・ウェスタンと呼ばれるジャンルの作品です。と言うよりも、マカロニ・ウェスタンというジャンルを確立したというべき作品なんですね。しかも、ジャンルに囚われることなく、どの作品もクオリティが高いため時代を超えて楽しむことができます。
ところで、イタリア製の西部劇ということで日本ではマカロニ・ウェスタンと呼ばれていますが、イギリスやアメリカではスパゲッティ・ウェスタン なんですね。

Spaghetti Western
マカロニとスパゲッティ。。。では本国イタリアではどうかと言いますと、やはりスパゲッティ・ウェスタンなんです。一説によると、映画評論家のの淀川長治が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」という理由から「マカロニ」と呼び変えた和製英語だとも言われています。本当ですかね?!
荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)
さてさて、そんなわけで、ほぼほぼ日本だけでしか通用しないマカロニ・ウェスタンと言う名称ですが、マカロニだろうとスパゲッティだろうと作品はどれも折り紙付きの面白さ。先ずご紹介するのは、マカロニ・ウェスタンというジャンルが確立されたドル箱三部作の1作目「荒野の用心棒」です。

荒野の用心棒
映画『荒野の用心棒』マカロニ・ウェスタンの傑作/あらすじ・感想・解説・黒澤明との関係: レビュー・アン・ローズ
主演:クリント・イーストウッド、監督:セルジオ・レオーネ、音楽:エンニオ・モリコーネと黄金のラインナップが既に揃ってます。
但し、初のマカロニ・ウェスタンということもあり、アメリカでの公開時にはレオーネ監督が"ボブ・ロバートソン、エンニオ・モリコーネはダン・サヴィオなどと出演者やスタッフの多くがアメリカ風の偽名を使っているんですよ。
さすらいの口笛
エンニオ・モリコーネにとって「荒野の用心棒」は2作目の映画音楽となります。2作目ですが、既に才能が開花している感じです。既に大作曲家としての風格が作風にありますからねぇ。劇中で使われた「さすらいの口笛」は日本でも大ヒットしています。
因みにこの映画、イタリアでもアメリカでもなく、スペインのアルメリア地方で撮影されているんですよ。
黒澤明「用心棒」
「荒野の用心棒」は大ヒットし、クリント・イーストウッド、セルジオ・レオーネ、エンニオ・モリコーネを一躍スターにするわけですが、良いことばかりではなくトラブルも発生しました。
それは盗作疑惑です。元になったとされるのは、ご存知日本が誇る名監督黒澤明の「用心棒」です。
似てます。確かに似ている。それもそのはず、イタリアで公開された「用心棒」を見たセルジオ・レオーネは感動し、西部劇に置き換えようと既に考えたのだとか。なんでも「用心棒」の台詞をそのまま書き写したんだそうですよ。
夕陽のガンマン(For a Few Dollars More)
「ドル箱三部作」の2作目、「夕陽のガンマン」。「荒野の用心棒」の大ヒットで実力を認められたレオーネですが、「夕陽のガンマン」で独自の演出スタイルを確立したと言われています。つまり、少ない会話、遠景のショットと極端なクローズアップの対比、ゆっくりとクライマックスへと導く長いシーンなどです。

夕陽のガンマン
本場アメリカの西部劇と比べるとマカロニ・ウェスタンは残酷なシーンが多い。それとスピード感。やっぱりサスペリアの国ですからね。だからこそ刺激を求めていたアメリカでも受けたのでしょう。
夕陽のガンマン「サントラ」
本作においてもエンニオ・モリコーネ冴えてます。冴えまくりです。セルジオ・レオーネ監督から直接音楽の指示をされたそうですが、撮影前には既に完成したものもあったのだとか。流石ですね。
エンニオ・モリコーネのような優れた作曲家の作品を聴くと、音楽で映画の印象が大きく変わるんだということを実感できますね。素晴らしい映画には、素晴らしい音楽ありです。
続・夕陽のガンマン(The Good, the Bad and the Ugly )
ドル箱三部作の最後は「続・夕陽のガンマン」です。「続」となっていますが、原題は「The Good, the Bad and the Ugly」で「夕陽のガンマン」とは全く関係ありません。意味は「良いヤツ、悪いヤツ、卑怯者」でしょうか。そんな三人の物語です。

続・夕陽のガンマン
続 夕陽のガンマン | Digital HD, Blu-ray, DVD | 20th Century Fox JP
本作が最高傑作かもしれません。緊張感みなぎる演出は素晴らしいですし、音楽も最高。クリント・イーストウッドも申し分なしです。
三部作の最後の作品として公開されたのですが、物語としては前2作よりも前の話とされています。
サウンドトラック
エンニオ・モリコーネが作ったこの映画のサウンドトラックは今でも有名で、クラシックとさえいえそうな名曲です。
今や巨匠、大御所となっているエンニオ・モリコーネの代表作のひとつですね。
それにしても、エンニオ・モリコーネだけではなく、この三部作に関わったクリント・イーストウッド、セルジオ・レオーネと、それぞれに当初は無名だった3人がこの三部作を足掛かりに成功を収めたというのは凄いですね。
その意味でも永遠のドル箱三部作といえます。