クリント・イーストウッド主演のドル箱三部作と呼ばれるマカロニ・ウェスタンの傑作3本。

クリント・イーストウッド主演のドル箱三部作と呼ばれるマカロニ・ウェスタンの傑作3本。

イタリア仕立ての西部劇、マカロニ・ウェスタン。それを世に知らしめたのがドル箱三部作と呼ばれる3作品です。主演のクリント・イーストウッド、監督のセルジオ・レオーネ、音楽のエンニオ・モリコーネ。関わった3人はそれぞれ大成功を収めています。


ドル箱三部作

映画ファン必見のドル箱三部作。なのですが、ドル箱三部作とはこれまた凄いネーミングですね。直球勝負。そんな感じでしょうか。何のことかと言いますと、クリント・イーストウッドが主演した3本のマカロニ・ウェスタン映画のことです。

本名:Clinton Eastwood Jr.
生年月日:1930年5月31日
出生地:アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ
活動期間:1954年~現在

クリント・イーストウッド

「荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)」「夕陽のガンマン(For a Few Dollars More」「続・夕陽のガンマン(The Good, the Bad and the Ugly 」がそれなのですが、どれも大ヒットしたことから「ドル箱」と付けられたのではなく、最初の2本の原題に「ドル」とあるためだという説があります。
まぁ、これはガンマン達のジョークでしょう。映画会社にとってはまさしくドル箱だったことに違いはありません。今、ガンマンが熱い!ということで、この3本をご紹介します。

マカロニ・ウェスタン

「ドル箱三部作」はどれもマカロニ・ウェスタンと呼ばれるジャンルの作品です。と言うよりも、マカロニ・ウェスタンというジャンルを確立したというべき作品なんですね。しかも、ジャンルに囚われることなく、どの作品もクオリティが高いため時代を超えて楽しむことができます。

ところで、イタリア製の西部劇ということで日本ではマカロニ・ウェスタンと呼ばれていますが、イギリスやアメリカではスパゲッティ・ウェスタン なんですね。

Spaghetti Western

マカロニとスパゲッティ。。。では本国イタリアではどうかと言いますと、やはりスパゲッティ・ウェスタンなんです。一説によると、映画評論家のの淀川長治が「スパゲッティでは細くて貧弱そうだ」という理由から「マカロニ」と呼び変えた和製英語だとも言われています。本当ですかね?!

荒野の用心棒(A Fistful of Dollars)

さてさて、そんなわけで、ほぼほぼ日本だけでしか通用しないマカロニ・ウェスタンと言う名称ですが、マカロニだろうとスパゲッティだろうと作品はどれも折り紙付きの面白さ。先ずご紹介するのは、マカロニ・ウェスタンというジャンルが確立されたドル箱三部作の1作目「荒野の用心棒」です。

監督:セルジオ・レオーネ
脚本:ヴィクトル・アンドレス・カテナ、ハイメ・コマス・ギル、セルジオ・レオーネ
製作:アリゴ・コロンボ、ジョルジオ・パピ
出演者:クリント・イーストウッド、マリアンネ・コッホ、ジャン・マリア・ヴォロンテ 
音楽:エンニオ・モリコーネ
公開:イタリア 1964年9月16日、日本 1965年12月25日
上映時間:96分

荒野の用心棒

アメリカ=メキシコ国境にある小さな町サン・ミゲル。 流れ者のガンマン・ジョー(クリント・イーストウッド)が現れた。 ジョーは酒場のおやじのシルバニト(ホセ・カルヴォ)から、この町がドン・ミゲル・ベニート・ロホス(アントニオ・プリエート)とジョン・バクスター(ウォルフガング・ルスキー)保安官の勢力が敵対し、常に争いを繰り広げているため棺桶屋(ヨゼフ・エッガー)だけが儲かると聞かされる。 ジョーは、早撃ちでバクスターの子分を殺して、ミゲルに100ドルで手下になる。しかしミゲルの息子でライフルの名手であるラモン(ジャン・マリア・ヴォロンテ)が帰ってきて、バクスターと協定を結んだため、もうお役ゴメンだとシルバニトの家に移り中立を守った。そんなジョーとシルバニトは、ラモンがメキシコ軍を襲い、金を奪ったのを目撃する。ジョーは、ラモンとバクスターとの間の対立を煽り、町の二大勢力を一掃しようと画策した。しかしそれがバレて、ジョーは酷く痛めつけられ、命からがら逃げのびた。ラモンは更にバクスターを襲い、一派を一掃した。 ラモンとミゲルが町を支配する中、ジョーは手の負傷で銃が充分使え無いにも関わらず、ラモンの前に姿を現した・・・・・・・・

http://www.reviewanrose.tokyo/article/436412923.html

映画『荒野の用心棒』マカロニ・ウェスタンの傑作/あらすじ・感想・解説・黒澤明との関係: レビュー・アン・ローズ

主演:クリント・イーストウッド、監督:セルジオ・レオーネ、音楽:エンニオ・モリコーネと黄金のラインナップが既に揃ってます。
但し、初のマカロニ・ウェスタンということもあり、アメリカでの公開時にはレオーネ監督が"ボブ・ロバートソン、エンニオ・モリコーネはダン・サヴィオなどと出演者やスタッフの多くがアメリカ風の偽名を使っているんですよ。

さすらいの口笛

エンニオ・モリコーネにとって「荒野の用心棒」は2作目の映画音楽となります。2作目ですが、既に才能が開花している感じです。既に大作曲家としての風格が作風にありますからねぇ。劇中で使われた「さすらいの口笛」は日本でも大ヒットしています。

因みにこの映画、イタリアでもアメリカでもなく、スペインのアルメリア地方で撮影されているんですよ。

黒澤明「用心棒」

「荒野の用心棒」は大ヒットし、クリント・イーストウッド、セルジオ・レオーネ、エンニオ・モリコーネを一躍スターにするわけですが、良いことばかりではなくトラブルも発生しました。
それは盗作疑惑です。元になったとされるのは、ご存知日本が誇る名監督黒澤明の「用心棒」です。

似てます。確かに似ている。それもそのはず、イタリアで公開された「用心棒」を見たセルジオ・レオーネは感動し、西部劇に置き換えようと既に考えたのだとか。なんでも「用心棒」の台詞をそのまま書き写したんだそうですよ。

夕陽のガンマン(For a Few Dollars More)

「ドル箱三部作」の2作目、「夕陽のガンマン」。「荒野の用心棒」の大ヒットで実力を認められたレオーネですが、「夕陽のガンマン」で独自の演出スタイルを確立したと言われています。つまり、少ない会話、遠景のショットと極端なクローズアップの対比、ゆっくりとクライマックスへと導く長いシーンなどです。

監督:セルジオ・レオーネ
脚本:セルジオ・レオーネ、ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
製作:アルトゥーロ・ゴンザレス、アルベルト・グリマルディ
出演者:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、ジャン・マリア・ヴォロンテ
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:マッシモ・ダラマーノ
編集:ユージェニオ・アラビソ、ジョルジョ・セッラロンガ  
公開:イタリア 1965年12月18日、日本 1967年1月27日

夕陽のガンマン

本場アメリカの西部劇と比べるとマカロニ・ウェスタンは残酷なシーンが多い。それとスピード感。やっぱりサスペリアの国ですからね。だからこそ刺激を求めていたアメリカでも受けたのでしょう。

夕陽のガンマン「サントラ」

本作においてもエンニオ・モリコーネ冴えてます。冴えまくりです。セルジオ・レオーネ監督から直接音楽の指示をされたそうですが、撮影前には既に完成したものもあったのだとか。流石ですね。

エンニオ・モリコーネのような優れた作曲家の作品を聴くと、音楽で映画の印象が大きく変わるんだということを実感できますね。素晴らしい映画には、素晴らしい音楽ありです。

続・夕陽のガンマン(The Good, the Bad and the Ugly )

ドル箱三部作の最後は「続・夕陽のガンマン」です。「続」となっていますが、原題は「The Good, the Bad and the Ugly」で「夕陽のガンマン」とは全く関係ありません。意味は「良いヤツ、悪いヤツ、卑怯者」でしょうか。そんな三人の物語です。

監督:セルジオ・レオーネ
脚本:フリオ・スカルペッリ、セルジオ・レオーネ、ルチアーノ・ヴィンチェンツォーニ
製作:アルベルト・グリマルディ
出演者:クリント・イーストウッド、リー・ヴァン・クリーフ、イーライ・ウォラック
音楽:エンニオ・モリコーネ
撮影:トニーノ・デリ・コリ
編集:エウジェニオ・アラビソ、ニノ・バラグリ 
公開:イタリア 1966年12月23日、日本 1967年12月30日 
上映時間:162分(国際版)

続・夕陽のガンマン

本作が最高傑作かもしれません。緊張感みなぎる演出は素晴らしいですし、音楽も最高。クリント・イーストウッドも申し分なしです。
三部作の最後の作品として公開されたのですが、物語としては前2作よりも前の話とされています。

サウンドトラック

エンニオ・モリコーネが作ったこの映画のサウンドトラックは今でも有名で、クラシックとさえいえそうな名曲です。

今や巨匠、大御所となっているエンニオ・モリコーネの代表作のひとつですね。

それにしても、エンニオ・モリコーネだけではなく、この三部作に関わったクリント・イーストウッド、セルジオ・レオーネと、それぞれに当初は無名だった3人がこの三部作を足掛かりに成功を収めたというのは凄いですね。
その意味でも永遠のドル箱三部作といえます。

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