前回紹介した、桑田次郎先生版『ウルトラセブン』コミカライズ版の謎。コミカラズ版のエレキングが、なぜかテレビ版よりもはるかに凶暴で巨大に描かれていた!という内容だったのだが、実はもう一つ、メトロン星人登場の回もかなり攻めた内容になっているのを、ご存じだろうか?

S.H.フィギュアーツ ウルトラセブン メトロン星人
Amazon | S.H.フィギュアーツ ウルトラセブン メトロン星人 約170mm ABS&PVC製 塗装済み可動フィギュア | フィギュア・ドール 通販
テレビの本編では、アパートの和室でちゃぶ台を挟んで会話するメトロン星人とモロボシ・ダンのシーンが有名な、この名エピソード。街を破壊したり、直接攻撃を加えるのではなく、人間同士の信頼関係を崩壊させようとするメトロン星人の戦略に、ミドルエッジ世代の子供たちは皆恐ろしさを覚えたものだった。
そんなウルトラセブンの中の名エピソード、果たしてこのコミカライズ版では、どの様にアレンジされているのだろうか?
注:桑田次郎版『ウルトラセブン』概略については、前回の記事をご参照下さい。
コミカライズ版『ウルトラセブン』のエレキングが異常に狂暴で怖い!その意外な理由って? - Middle Edge(ミドルエッジ)

収録コミックス表紙と扉絵
前回の「湖のひみつ」に続いて紹介するのは、サンコミックス版『ウルトラセブン』第3巻に収録されている、コミカライズ版の第9話「狙われた街」。
北川町という架空の町で連続して起こる、殺人・爆破などの凶悪な事件。実はそれがメトロン星人がタバコに仕込ませた物質により、人類を狂暴化させる作戦だった、というストーリーは、ミドルエッジ世代なら良くご存じのはずだ。
前回ご紹介した「湖のひみつ」コミカライズ版でも、あのエレキングを凶暴な怪獣として描いた桑田先生だけに、実はこの名エピソードでも、我々の期待を裏切らない大胆なアレンジが成されている。
果たして、その内容とは?
第9話「狙われた街」コミカライズ版内容紹介]

お父さんのためにタバコを点けてあげた、ミヨちゃんの様子がおかしくなり・・・。

いきなりオノ!

お父さんが一撃で・・・。

父親に続いて母親も!
お父さんのために、タバコに火を点けてあげたミヨちゃんが、いきなりオノを振り上げて父親を惨殺!そのまま別室に寝ている母親も血祭りにあげるという、衝撃の描写で幕を開ける、この「狙われた街」。
なぜ、普通のサラリーマン家庭の居間にオノが?
そんな大きな疑問を忘れてしまうほどのこの惨殺シーン。放送当時としてもこれはかなり衝撃的な描写だったに違いない。
こうして、子供向けのテレビ番組では映像化不可能な部分にまで挑戦した桑田次郎先生のアレンジは、この後更に凄いことになっていく。

他にも、続発する凶悪事件の数々。

続発する凶悪事件は、全て北川町で起こっていた!
ミヨちゃんの事件以外にも、駅で日本刀を振り回す男や旅客機で爆弾を爆発させた男など、凶悪な事件が連続して起きていることに気がついたウルトラ警備隊。しかもそれらの事件が、北川町で集中して起きていると判明。さっそく事件の真相を追ってウルトラ警備隊は現地に調査に向かうことに。

ライフル魔に銃撃を受けたフルハシ隊員を救う、ウルトラセブン!

しまった!で済むのか?
北川町で調査を続けるモロボシ・ダンたちを、ビルの屋上に潜んだライフル魔の銃弾が襲う!撃たれてビルから転落するフルハシを、間一髪で助けるウルトラセブン。
とっさにライフル魔の銃を、エメリューム光線で狙ったセブンだったが、誤ってライフル魔にも当ててしまうことに・・・。

フルハシ隊員までも狂暴に!

メトロン星人登場!
なんと、銃は溶けてしまったが、幸いライフル魔には深いダメージは無かった!
この後は、ほぼテレビ版と同じ展開となるが、メトロン星人とダンが例のちゃぶ台を囲む名シーンが登場しなかったのは残念!
メトロン星人のデザインも、今回は殆どテレビ版を踏襲した物となっており、前回紹介したエレキングのデザイン変更に対するお詫びが掲載された点を考えると、怪獣や星人のデザイン変更は色々と問題があったことが伺える。
最後に
いかがでしたか?
当時のテレビでも表現が難しい内容にアレンジした、桑田次郎先生の漫画家魂がヒシヒシと伝わってくる、この「狙われた街」のエピソード。ところが現在では、駅で日本刀を振り回す事件などは起きて不思議は無い。実際先日も、派出所の巡査が相次いで襲われるなど、もはやこの当時の空想の世界が現実のものとなって来ている現在の状況には、非常に恐ろしいものがある。
メトロン星人の侵略がリアルに感じられる様な現代だからこそ、是非読み返して頂きたいこの名エピソード。古書店やヤフオクなどで探してみることを、オススメします。