岡田有希子
「ポスト松田聖子」の一番手として1984年に颯爽とデビューした岡田有希子。プロダクションのバックアップも完璧で瞬く間にトップアイドルへと上り詰めたのですが、活動期間は僅かに1年9ヶ月程。短い。余りにも短いですね。その割に印象が強いのは、あまりの可愛らしさとヒット曲が多いからかもしれません。

岡田有希子
岡田有希子が生前に発表したシングルは全部で8枚。意外なアーティストが提供したこれらのシングルは、どれもよく出来たアイドルポップです。
ファースト・デイト
所属事務所はサンミュージック。大手です。そのせいか、1984年4月21日に発売されたデビュー・シングル「ファースト・デイト」はグリコ「カフェゼリー」のCMソングとして採用されています。
まぁ、何と言いますか、このあどけなさが最高なわけです。この曲は、当時の人気の音楽番組だった「ザ・ベストテン」のスポットライト・コーナーでも取り上げられましたが、その際に司会の久米宏がデビュー曲「ファースト・デイト」を「ファースト・レディ」と間違え、黒柳徹子は「おかだうきこ」と呼び間違えるという災難に見舞われています。ひどい。
だからと言うわけでもないのでしょうが、「ファースト・デイト」はオリコンで20位止まりと、期待ほどの成功とはいえませんでした。

ファースト・デイト
この曲は作詞・作曲ともに竹内まりやが手掛けています。竹内まりやとの相性は良かったのでしょう。シングルで5枚もコラボしています。
リトルプリンセス
引き続き作詞・作曲を竹内まりやが担当した1984年7月18日発売の2枚目のシングル「リトル プリンセス」。
シングルの中で唯一タイアップされていないのがこの曲で、「ファースト・デイト」よりも伸びたもののオリコンで14位。まだ岡田有希子の魅力全開とはいかないようです。
しかし、「リトルプリンセス」以外のシングルが全部タイアップされているというのもスゴイ話ですよね。
恋、はじめまして
学園三部作の三作目「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」は、1984年9月21日の発売でした。この曲はついに念願のオリコンのトップ10(最高位7位)に入るヒットとなり、岡田有希子はトップ・アイドルの座につくことになりました。
「-Dreaming Girl- 恋、はじめまして」のヒットによりこの年の新人賞を総なめにしています。
第15回日本歌謡大賞 放送音楽新人賞候補賞・優秀放送音楽新人賞
第13回FNS歌謡祭 優秀新人賞・最優秀新人賞
第26回日本レコード大賞 新人賞・最優秀新人賞
第10回あなたが選ぶ全日本歌謡音楽祭 銀賞・最優秀新人賞
それにしても竹内まりやとの相性の良さが良く表れた曲ですね。曲もいいですが、歌いっぷりが軽やかで見事!
二人だけのセレモニー
4枚目にして 竹内まりや から作詞: 夏目純、作曲:尾崎亜美と移ります。編曲を松任谷正隆が担当していますが、これはどう聞いても尾崎亜美ですね。尾崎亜美の個性全開といった曲ですが、岡田有希子によくあっています。
尾崎亜美といえば、自身でも「マイ・ピュア・レディ」を大ヒットさせ、松田聖子の「天使のウィンク」、杏里の「オリビアを聴きながら」、観月ありさ の「伝説の少女」などなど多くの提供曲でも知られています。知られてはいますが、それでももっと評価されてもいいと思うミュージシャンですね。
Summer Beach
「二人だけのセレモニー」がオリコン4位と好評だったこともあるのでしょう、5枚目のシングル「Summer Beach」も尾崎亜美が手掛けています。
しかも今回は作詞・作曲共に尾崎亜美、編曲はお馴染み松任谷正隆です。これまたオリコンで5位となるヒットを記録しました。
心なしか元気がないような。それは楽曲のせいなのか、はたまた岡田有希子の体調が悪かったのか。いや、やはりこれはヒットはしたものの楽曲が弱い。アイドルのサマーソングはもっとポップであってほしいものです。
特筆すべきは岡田有希子がこの曲からショート・ヘアにしたということでしょう。
哀しい予感
前作の「Summer Beach」が夏用。新曲は秋用ということになるわけですが、実際に発売されたのは1985年7月17日ですから、まさに夏ど真ん中。ザ・真夏です。そこにもってきてタイトルからしていかにも秋を感じさせる「哀しい予感」とは。
これはどうなんでしょうね。しかし、オリコンで7位と健闘しました。
カップリングの「恋人たちのカレンダー」と共に 作詞・作曲は竹内まりや です。もどっています。編曲はもちろん松任谷正隆。ユーミンの旦那さんです。
まぁ、地味な感じではありますが「哀しい予感」は確かにいい曲ですよね。竹内まりや の「純愛ラプソディ」に似たタイプの曲ですね。このシングルは竹内まりや ファン注目ですよ。
Love Fair
1985年10月5日に出た7枚目のシングル「Love Fair」は、作詞・作曲共に かしぶち哲郎 です。な、な、な、なんで!と思わず椅子から飛び上がってしまいそうになりますね。
かしぶち哲郎 といえば、ムーンライダーズの人です。そして編曲は松任谷正隆でユーミンの旦那さんです。
いい曲です。しかし、キャッチーなメロディーはあるものの、難しい曲ですよね。作ったのがムーンライダーズの人ですからねぇ。プログレの人ですから。。。岡田有希子たいへんだったんじゃないかと思います。
カップリングは「二人のブルー・トレイン 」で作詞: 竹内まりや、作曲: 杉真理、編曲はやっぱり松任谷正隆なのですが、こちらの方が全然ポップです。杉真理ですからね。ポップの人ですから。
くちびるNetwork
8枚目のシングルにしてラスト。それが岡田有希子の最大のヒットとなった「くちびるNetwork」です。オリコンで初の1位を獲得しています。
素晴らしい!の一言ですね。まったくスキのない楽曲。ちょっとエロチックな詩に驚きますが、これがまた小悪魔的でGOOD。担当したのは松田聖子です。竹内まりや には書けないでしょうね。
そして気品がありポップな曲を作ったのは尾崎亜美でも杉真理でもなく坂本龍一です。うん、素晴らしい。そして編曲を松任谷正隆ではなく、かしぶち哲郎が担当しています。
「くちびるNetwork 」は1986年1月29日に発売され人気絶頂時の同年4月8日に岡田有希子は自殺してしまいます。「くちびるNetwork 」が収録され3月に発売されたアルバムは「ビーナス誕生」。まさにこれからという時でした。