あがた森魚
日本の音楽シーンにおいて、あがた森魚は特異な人といっていいのではないかと思います。独特な音楽性もさることながら、音楽性と共に大胆にイメージを変えており、それはもう驚くばかりです。

あがた森魚
あがた森魚は1970年8月4日に自主制作盤によるアルバム「蓄音盤」で世に出ますが、やはり一般的に知られるようになったのは1972年9月10日にメジャーデビューとなったアルバム「乙女の儚夢」からシングル・カットされた「赤色エレジー」の大ヒットからでしょう。

乙女の儚夢
「赤色エレジー」は、当時で50万枚も売り上げています。
しかし、その後はヒットに恵まれず1980年4月にリリースした「乗物図鑑」を最後に一旦ソロ活動を停止し、何ともキッチュなバンドを結成し世間を驚かせることになるのですが、それが「ヴァージンVS」です。
ヴァージンVSヴァージン
それまでのあがた森魚とは全く違う音楽性を持ったヴァージンVS。それは意図的だったのでしょう。あがた森魚はA児と名乗ります。結成は1981年。デビューシングルは同年の「ロンリー・ローラー」でした。
この曲はフジテレビ系のテレビドラマ「探偵同盟」の主題歌として採用されました。事務所も力が入ってますね。それに応えるようにこれは佳曲ですよ。永遠の青春ソングです!
そしてアルバムも同年6月1日に「ヴァージンVSヴァージン」がリリースされました。

Virgin VS Virgin
アルバムには2枚目のシングル「さらば青春のハイウェイ」も収録されています。
この曲もフジテレビ系のテレビドラマ「翔んだライバル」の主題歌となっています。これも良い曲ですよねぇ。更にアルバムには未収の3枚根のシングル「サントワマミイ」もフジテレビ系のアニメ「みゆき」の挿入歌として使われています。
1stアルバム「ヴァージンVSヴァージン」リリース時のメンバーは以下のとおりです。
A児(あがた森魚):Vocal
木村しんぺい:Drums
久保田さちお:Guitar,Chorus
ツッチー・まこと:Bass
ライオン・メリー:Synthesizer
ひかる:chorus
STAR☆CRAZY
4枚目のシングル「夢のラジオシティ」を含むセカンドアルバム「STAR☆CRAZY」は1982年7月25日のリリースです。

STAR☆CRAZY
「夢のラジオシティ」もまたフジテレビ系のアニメ「みゆき」挿入歌です。
そしてアルバムにも収録されている5枚目のシングル「コズミック・サイクラー」。これぞ隠れた大名曲。フジテレビ系のアニメ「うる星やつら」挿入歌で、後に歌詞を一部変更して「星空サイクリング」となります。
乗物デラックス
1982年にはもう一枚アルバムをリリースします。「乗物デラックス」がそれで、乗物に関わる曲が収められており、コンセプトアルバムと言えますが、既存の曲ですのでベストアルバムともいえるものとなっています。

乗物デラックス
当時はアニメ「うる星やつら」のエンディング・テーマ曲として「星空サイクリング」が使われていたこともあっての企画アルバムだったのでしょうが、ヴァージンVSには本当に乗り物に関する曲が多いですね。
羊ヶ丘デパートメントストア
1983年にはアルバムのリリースはなく、1984年7月25日にサウンドトラック「 Radio City Fantasy」をリリースした後、同年ヴァージンVSは解散してしまします。
7枚目にして最後のシングルとなったのは1984年の解散後にリリースされた「エアプレイン」で、最後とは言え、ヴァージンVS結成前からあった曲でした。
それにしてもこの曲を除きすべてのシングルがテレビ番組とタイアップされてるなんてスゴイですよね。
発売こそ1987年2月25日となるものの解散前に既に録音が完了していたアルバム「羊ヶ丘デパートメントストア」。これがラストアルバムとなります。

羊ヶ丘デパートメントストア
鈴木慶一と作り上げた傑作。ここにしかない音が詰まっている。慶一氏は丁度水族館レーベルetcでニューウェーブ以降の方向性を模索していた頃。楽曲も素晴らしく、個人的にはVerginVSの最高傑作。
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プロデュースはムーンライダーズの鈴木慶一で、彼の個性が色濃く出た内容となっており、初期と比べると随分落ち着いている感じです。
最後まで完成度の高い素晴らしい曲を残してくれたヴァージンVS。永遠の輝きを持った青春バンドです。