アメリカングラフィティ
監督、脚本を務めたジョージ・ルーカスの青春時代を投影した、アメリカ人なら誰もが持つとされる体験を描いた作品。それが青春映画の名作中の名作「アメリカン・グラフィティ」です。

アメリカングラフィティ
今さら説明の必要がない認知度の高い映画ですが、一言でいえば、高校卒業後の一夜を描いた青春群像劇です。恋と車とロックンロールが今でも色あせることなく、どこかほろ苦く描かれています。
シックスティーズ
映画は1962年の田舎町が舞台となっています。60年代と言うとサイケデリックにヒッピー。ファッションもパンタロンやインディアン風ヘアバンドなどが思い浮かびますが、映画はどちらかというと日本人が思い描くフィフティーズに近いかと思います。

ドジだけど憎めない男の子テリー・フィールズを演じたチャールズ・マーティン・スミスのファッションなどとてもクールですね。
そしてまた車が最高なんです。

主人公たちが入り浸る「メルズ・ドライブイン」というのが出てくるのですが、こんなのが高校時代に近くにあったらそりゃ入り浸ってしまいます。
ポスターにあるローラースケートを履いたウエイトレスがいる店ですね。
因みにこの店はサンフランシスコに実在したのだそうですよ。

Mels Drive-in
日本人がイメージするアメリカのフィフティーズそのものって感じではありませんか?もっとも60年代とはいえ、62年ですからね。アメリカがベトナム戦争の泥糠にはまり込む前。まだドラッグも蔓延していない頃のお話です。
オールディーズ
この映画の特徴として、現在ではオールディーズと呼ばれている当時ラジオでよくかかったヒット曲が全編にわたって流れています。

「アメリカン・グラフィティ」オリジナル・サウンドトラック
映画で使用されたのは当時ラジオでよくかかったヒット曲とうことで、50年代に発表されていた曲もあるのですが、呆れるほどに名曲揃いです。
いきなり「ロック・アラウンド・ザ・クロック」で始まるというのも気が利いています。
冒頭、「メルズ・ドライブイン」の前で話をするカート、スティーヴ、テリーにジョンを加えた4人が中心人ですね。で、ジョンが乗るのはフォード・デュース・クーペ。これがまた気分です。
日本で乗るには勇気がいる車ですね。というか無理でしょう。で、デル・シャノンの1961年のヒット曲「悲しき街角」。いい感じですよねぇ!
ロックンロールといえば、それはやっぱりダンスですね。ダンスシーンに使われる「アット・ザ・ホップ」ですが、これはもう見ているだけで楽しくなります。
テリーがスティーヴの車を使ってデビーをナンパするシーンです。
デビーを車に乗せたものの、他の男から声をかけられ戸惑うテリー。
チェリーコークをやめてウィスキーを買いに行くことになるのですが、そこでひと波乱おきることに。。。
クライマックスはジョンと若き日のハリソン・フォード演じるボブのカーレースです。しかし、まぁ、ロックンロールをバックに一晩中恋と車の話だけという映画なんですよね。そして、それが最高なんです。これが1962年のアメリカの青春そのものなのでしょう。
ところでずっとロックンロールが流れているのは夜通しラジオのDJが曲を流しているという設定があるためです。その当時人気のDJだったウルフマン・ジャックを本人が演じています。
最後は、これで青春に終わりを告げるというほろ苦い旅立ちのシーンです。エンディングで流れるのはビーチ・ボーイズの「オール・サマー・ロング」。夏の終わりではなく、いつまでも夏が終わらないでほしいと願う曲です。そしてこの曲のリリースは1964年。つまり映画の設定時にはなかった未来の曲なんですね。
最も古い1954年の「ロック・アラウンド・ザ・クロック」をオープニングに使い、未来の曲でしめる。ジョージ・ルーカスの気持ちが痛いほど伝わります。
これだけ多くの曲を使っているのですから、長らくビデオ化ができなかったのは音楽の権利上の問題というのも納得です。
アメリカというイメージの持つ全てのエンターテイメントの色合いが当時のヒットソングと共に綴られていくアメリカの若者たちの青春なる世界がドキュメンタリーチックに、リアルな手法で描き出されている。
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