京都から山形に北前船で伝わった雛文化、デザインが独自すぎる山形県鶴岡市の「ひな菓子」について。

京都から山形に北前船で伝わった雛文化、デザインが独自すぎる山形県鶴岡市の「ひな菓子」について。

3月といえば桃の節句。雛祭り。今回はそんな雛祭りのグルメについて。個人的にオススメな、伝統も歴史もあり、かつデザインが独自すぎて素敵なお菓子をご紹介したいと思います。それは、山形県鶴岡市の「ひな菓子」です。


2月も下旬に入り、そろそろ春めいて頂きたいこの頃。来月はきっと暖かい・・・そう思いたいこの頃です。そんな3月といえば、桃の節句。雛祭り。女の子の健やかなる成長を祈って雛人形を飾り、皆でその季節の食べ物などを楽しむ、そんな日になるかと思います。そして今、街中のいたるところで雛あられや菱餅などの雛祭りでしか食べないお菓子が売られています。

今回はそんな雛祭りのグルメについて。個人的にオススメな、伝統も歴史もあり、かつデザインが独自すぎて素敵なお菓子をご紹介したいと思います。

それは、山形県鶴岡市の「ひな菓子」です。

山形県鶴岡市の「ひな菓子」

『なぜ山形県鶴岡市?』とお思いになる方もいらっしゃるかと思いますので、大雑把に鶴岡の説明をいたします。鶴岡といえば徳川四天王―酒井忠次・本多忠勝・榊原康政・井伊直政―の筆頭・酒井家が納めた土地。酒井家は酒井忠次の嫡流・左衛門尉酒井氏ですので、譜代大名(徳川氏の家臣団の中から大名に取り立てられた者)の中でも名門の家柄と言えます。この酒井家が治めたのが庄内藩でして、庄内(現在の鶴岡)を拠点にず~っと庄内一帯を治めました。実はこの酒井家、江戸幕府による転封(てんぽう。国替え)が一度もなかった数少ない譜代大名の一つとしても知られています。

ところでこの庄内藩。庄内地方の酒田が北前船の寄港地として大いに栄えたこともあり、都(京都)の文化や各地の文化が伝わりました。そんな中、雛祭りの行事も道具も代々大事に受け継がれたため、享保雛や芥子雛など日本の雛人形の歴史を語るにははずせない地域となっております。そしてお菓子も、です。

北前船によって京都から伝わった鶴岡のひな菓子文化

鶴岡のひな菓子文化は、この北前船によって京都から伝わったといわれております。大雑把に言うと、お雛様(7段飾りとかの)に練り切りの生菓子を供える風習が伝わっており、この生菓子が素敵に面白い。元々は日持ちがする干菓子や飴細工が主流だったそうですが、昭和に入ってから生菓子も作られるようになったそうです。中はあずき餡、外は白餡に色をつけて…と見た目はカラフルに華やかです。そしてその生菓子で何を作るかというのが素敵ポイントです。

鶴岡のひな菓子は地域の特産品がモチーフ。一言でいうと簡単に感じると思いますが、さあその特産品とは何か?というと

とにかく多い!というか、魚や野菜などを生菓子で再現しているのです。これが結構、いや、かなり可愛い造詣なんです♪ミカンは何故か必ずチョビッと皮がめくれています。チョビッとめくれた皮とそこから覗き見えるミカンの房・・・自然な感じに作りあげる職人技にキュンキュンします。

ちなみに、鶴岡の雛祭りは新暦の3月と旧暦の3月=新暦の4月の2回行われます。これも他の地域とは違うかもしれません。2回雛祭りがあるということで、ひな菓子も3~4月にわたって販売されております。市内の和菓子屋さんの通販もあったりしますので、東京でもこの一風変わった生菓子・・・チョビっと皮がむけたミカンや魚の切り身やナスなどの生菓子を楽しめるかと思います。

京都から山形に北前船で伝わった雛文化をぜひ生菓子で味わっていただきたいなと思う自分です。特にミカンをー!

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