シュガー・ボイスと呼ばれる独特な声と美貌で80年代にオジサマ達のアイドルとなったジャズ・ボーカリスト阿川泰子

シュガー・ボイスと呼ばれる独特な声と美貌で80年代にオジサマ達のアイドルとなったジャズ・ボーカリスト阿川泰子

ジャズとはなかなか注目されることがないジャンルですが、80年代に驚異的なヒットを飛ばした阿川泰子。その美貌と甘くセクシーな歌声は仕事に疲れたオジサマ達を優しく癒してくれました。


阿川泰子

80年代にジャズ・ボーカルブームを巻き起こした阿川泰子。独特な歌声は「シュガー・ボイス」と称され、その美貌とも相まって「オジサマ族のアイドル」などと呼ばれました。

本名:佐藤 康子
生誕:1951年10月16日

阿川 泰子

1978年のデビューアルバムから1982年の6枚目のアルバムまでの累計が90万枚を超えたのだそうです。この数字はジャズ・ボーカリストとしては驚異的なものとなっています。

日本のジャズ・ボーカル史を塗り替えた阿川泰子の初期6枚のアルバムをご紹介します。

Yasuko“Love-Bird” ~ FLYIN’OVER ~ SWEET MENU

女優としてデビューした阿川泰子がジャズと出会ったのは1973年。翌年には「鈴木章治とリズム・エース」の専属シンガーとなっています。
その後ソロ・シンガーに転身し、1978年にファースト・アルバム「ヤスコ/ラブバード」を発表します。

  1. オーヴァーチュア~ファースト・オフ
  2. コンファイド・イン・ミー
  3. グッド・ライフ
  4. ブルー・ムーン
  5. 縁は異なもの
  6. 手紙を書こう
  7. トゥー・シャイ・トゥ・セイ
  8. 春の如く
  9. やさしき伴侶を
  10. ウェイヴ
  11. フィナーレ~ファースト・フルーツ

Yasuko“Love-Bird”

大人っぽく見えますが、阿川泰子この時24歳。初々しさはありますが、歌い方は既に確立されています。見事なデビュー・アルバムというほかはありませんが、ジャケットがいかんわな。

女豹を思わせるこの写真は、メイクといい表情と言い当時の化粧品会社の広告そのまんまです。流行を意識したということでしょうが、阿川泰子にこのイメージは合わないですね。

同年にはセカンド・アルバム「Flyin' Over」も発表しています。

  1. ザ・ジェントル・レイン
  2. アイ・キャン・フライ
  3. ラ・ラ・ミーンズ・アイ・ラブ・ユー
  4. フールズ・ラッシュ・イン
  5. サウンズ・オブ・ラブ
  6. アイ・オンリー・ハブ・アイズ・フォー・ユー
  7. ジャスト・イン・タイム
  8. ギブ・ミー・ザ・シンプル・ライフ
  9. アズ・タイム・ゴーズ・バイ
  10. エンジェル・アイズ

FLYIN’OVER

ファーストアルバムでデザイナーも反省したのかグッと落ち着いた感じのジャケットになっていますね。しかし、これは、落ち着いたというよりも暗い。
キュートでチャーミングな歌声がこのジャケットからは想像しづらいですが、これは良いアルバムですよ。サラリーマンの方々はきっと癒されます。

そして翌年の1980年に出たのが3枚目のアルバム「SWEET MENU」です。

  1. ホワイ・ドント・ユー・ムーブ・イン・ウィズ・ミー
  2. キャプティブ(オブ・ユア・スマイル)
  3. イッツ・マイ・ハウス
  4. ハード・タイムズ
  5. ヒアズ・ザット・レイニー・デイ
  6. ワンス・アポン・ア・サマータイム
  7. ネバー・レッティング・ゴー
  8. レインボー・オブ・ラブ
  9. ニューヨークの想い
  10. レッツ・ラブ

SWEET MENU

ジャケット如何ですか?いいですよね。明るく、モダンでポップです。そして阿川 泰子の表情は色っぽい!

JOURNEY

最初の3枚のアルバムはどれも悪くありません。いえ、むしろ良いです!今聴くと歌声が新鮮で聞き飽きることがありません。
が、阿川泰子がブレイクしたのは1980年に発売された4枚目のアルバム「JOURNEY」であり、一般的に言ってこれが彼女の初期の代表作でしょう。

1. スター・ダスト
2. ララバイ・オブ・バードランド
3. ムーンライト・セレナーデ
4. イン・ア・センチメンタル・ムード
5. テイク・ジ “A” トレイン
6. ラバー、カム・バック・トゥ・ミー
7. グッド・バイ
8. センチメンタル・ジャーニー
9. ユード・ビー・ソー・ナイス・トゥ・カム・ホーム・トゥ
10. ウィスパー・ノット
11. マイ・フーリッシュ・ハート

JOURNEY

本作はナント9万枚も売り上げたそうです。当時のジャズボーカルものは最高で5万枚、平均で1万5000枚程度だったといいますから驚きですね。

彼女は、オリジナル曲を歌うのではなく、ほとんどが現代的にアレンジされたスタンダード曲だったというところに受け入れられた要因があるかと思います。
このアルバムも同様で、「スター・ダスト」、「ムーンライト・セレナーデ」、「センチメンタルジャニー」といった耳馴染みのある曲がセンス良く(聴きやすく)収められています。

SUNGLOW

個人的な好みではありますが、1981年に発売されたアルバム「SUNGLOW」こそが初期の代表作ではないかと思っています。
先ず、なんと言ってもジャケットが最高ですね。

1. スキンドゥ・レ・レ
2. ジス・サイド・オブ・フォーエバー
3. シニア・ドリーム
4. ソング・オブ・ザ・ウェイブス
5. ヒア・アンド・ナウ
6. パードン・マイ・イングリッシュ
7. シネマ
8. イン・ザ・ネーム・オブ・ラブ
9. アイランド・ブリーズ

SUNGLOW

内容的にも、いすゞ自動車 ピアッツァのCMとして使われた「She~Senior dreams」をはじめとして心地よい曲が多数収録されています。
ジャケガイのすすめとは、まさにこのアルバムのことですね。

そして、「She~Senior dreams」と並んで阿川泰子の代表曲である「Skindo-le-le」は聴きどころですね。和モノ・ブラジリアンの最高峰との呼び声が高い曲でもあります。

SOFT WINGS

初期の黄金時代の最後を飾るのは1982年の「SOFT WINGS」です。ジャケットからは想像できませんが、ライブ・アルバムです。

  1. OVERTURE(THE DEPART
  2. IT MIGHT AS WELL BE
  3. LOVE IS HERE TO STA
  4. WHEN YOU WISH UPON
  5. SUMMERTIME
  6. ’S WONDERFULL
  7. ザ・マン・アイ・ラヴ
  8. MY FUNNY VALENTINE
  9. メドレー : DEAR HEART 他
  10. SKINDO LE-LE
  11. TAKE THE ‘A’TRAIN
  12. WHO CAN I TURN TO

SOFT WINGS

このタイミングでのライブ・アルバムは、一区切りつけたかったのかもしれませんね。
「Skindo-le-le」こそ収録されていますが、気負うことなく、奇をてらうことなく心地よくスタンダードナンバーを歌っています。

その後、1987年からは古舘伊知郎と共に7年半も司会を務めたテレビのトーク番組「オシャレ30・30」によって阿川泰子はお茶の間にも浸透していくことになります。

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