2018年の目玉になる!? センチュリーとはどんなクルマ?

2018年の目玉になる!? センチュリーとはどんなクルマ?

2017年の東京モーターショーで注目を集めたクルマのひとつに、トヨタ・センチュリーがあります。すでに2代目は製造・販売を終了しており、参考出品されたモデルが3代目として2018年に発売されるのでしょうか? その前に、センチュリーがどんなクルマなのか、おさらいしておきましょう。


世界でも稀少な国家元首や財界人向け専用車

自動車先進国には、国家元首や官庁・企業などの首脳が乗るクルマがあります。こういったクルマは、大規模な市場を相手にするのではなく、フォーマルカーとして公用車の需要に応えています。センチュリーは、まさに日本を代表するフォーマルカーで、皇族や政治家、財界人を顧客としてきました。

フォーマルカーで世界的に有名なのが、1968~92年に製造されたイギリスのデイムラー・DS420です。基本的にイギリス市場のみを考慮したクルマで、長いことイギリス王室の公用車でした。そう、イギリス王室の公用車は、世界最高級といわれるロールスロイスではなく、英国最古のメーカーであるデイムラーが伝統的に使われてきたのです。

英国王室御用達のリムジンだ。日本でも結婚式場などで目にする。

イギリスのフォーマルカー、デイムラーDS420

Pictures of Daimler DS420 Executive Limousine (MkIII) 1984

かつては、他国でもこういった専用の車種がありましたが、今や世界的にも稀少な存在です。イギリスのロールスロイスやドイツのメルセデス・ベンツSクラスやBMW7シリーズ、アメリカのキャデラックやリンカーンなどは、世界に名だたる高級車ですが、当初から国際的な市場に向けて製造・販売されています。近年の自動車業界のような成り立ちでは、こういったクルマでないとビジネスが成り立たないのが現状です。

同じトヨタでも、レクサスのLSはこの部類に入ります。普通に考えれば、レクサスLSがあるのだから、センチュリーのような手間のかかるクルマは必要ありません。しかし、それでもセンチュリーを作るのは、日本文化への理解とともに、国内有数の利益を誇る企業だから実現できると、筆者は理解しております。

東京オリンピック後に登場した大型セダン

センチュリーは今から50年前の1967年11月に発売されました。1964年に東京オリンピックを開催した日本は、工業水準が大幅に上がり、それまでアメリカ車頼りだった高級車にも国産車を望む声が出てきました。

オリンピックを前に、日本の自動車メーカーでは2000ccを越える大型車の製造に着手。1963年に日産がセドリックに直列6気筒2800ccエンジンを積むセドリック・スペシャルを、1964年4月にクラウンにV型8気筒2600ccエンジンを搭載したクラウンエイトを、5月にプリンス自動車(後に日産に吸収合併)がグロリアに直列6気筒2500ccエンジンを搭載したグランドグロリアを発売しました。

通常のクラウンをベースにそのまま車体を拡大したので、不自然なほど横幅が広い。

日本初のV型8気筒エンジンを搭載したクラウンエイト

Toyota Crown Eight (S40) 1964–67 pictures

このうち、クラウンエイトは国産乗用車で初のV型8気筒エンジンを搭載し、全長を4720mm、全幅を1845mmに拡大した、大型ボディの乗用車となりました。しかし、量産車のクラウンがベースとあって、世界の高級車と比べるとまだまだであり、トヨタではより上質なクルマの開発に着手しました。

こうして1967年に誕生したのがセンチュリーです。車名は明治100年と、自動織機を発明し、トヨタの礎を築いた豊田佐吉の生誕100年に由来します。エンブレムには鳳凰が描かれました。

1960年代のクルマらしい、レトロ感がある。

登場時のセンチュリー

Toyota Century (VG20/30) 1967–78 pictures

なお、日産ではこれに先立つ1965年に、V型8気筒4000ccまたは直列6気筒3000ccエンジンを搭載する大型高級セダン、プレジデントを発売しています。

初期型と大きな違いはない。

1978年にマイナーチェンジを受けた後の外観

Photos of Toyota Century (VG35) 1978–82

小変更を重ね、ストレッチリムジンも発売

登場時のセンチュリーはV型8気筒3000ccのみで、変速機は3速ATのほか、今となっては驚くべきことに、オーナーカー向けに4速MTが設定されました。1973年のマイナーチェンジでは、エンジンがV型8気筒3400ccに変更されています。その後も排気ガス規制に対応するための変更が度々加えられました。

1982年のマイナーチェンジは大がかりで、全体的に角張ったデザインにイメージチェンジ

Pictures of Toyota Century (VG40) 1982–87

最も大きなマイナーチェンジは1982年のもので、エンジンがV型8気筒4000ccに変更されたほか、内外装を大規模に変更。角張ったデザインが流行している時代に沿って、ヘッド・テールのライトまわり、フロントグリル、バンパーなどの形状が変更され、全体的に角張ったデザインになりました。1987年にはデジタルメーターが装備され、ダッシュボードも近代的な印象になりました。

スピードメーターは、針が横にスライドする。その左にあるデジタル表示がタコメーター。

1982年にマイナーチェンジを受けた後のダッシュボード

Toyota Century (VG40) 1982–87 images

1989年にはマイナーチェンジが行われたほか、ホイールベースを650mm延長し、前後のドア間にピラーを挟んだリムジンを設定。1990年にはホイールベースを150mm延長したLタイプも追加されました。

1992年のマイナーチェンジでは、フロントグリルやホイールカバーのデザインが変更され、洗練度が増しました。また、サイドドアビーム、ハイマウントストップランプ、運転席エアバッグといった安全装備の充実が図られました。

1987年のマイナーチェンジでは、フロントグリルの形状が再度変更された。

Toyota Century (VG40) 1987–97 photos

なお、1989年には初代セルシオが発売されており、以降はオーナードライバーはセルシオを選ぶようになっていました。

センチュリーのイメージは世代によって違うと思いますが、筆者の場合、昭和天皇の大喪の礼などの車列や、中曽根康弘、竹下登といった総理大臣や政治家が乗っている映像をニュースで見た、この角張った時代のセンチュリーが一番印象に残っています。

スピードメーターはデジタル表示。

1992年のマイナーチェンジで、運転席エアバッグを装備

Toyota Century (VG40) 1987–97 wallpapers

写真はホイールベースが150cm延長されたLタイプ。

センチュリーのリアシート

Photos of Toyota Century Type L (VG45) 1990–97

30年を経て2代目にフルモデルチェンジ

筆者はずいぶんと丸くなったと感じたが、古い時代を知る人は、初代の初期型のイメージに近いと感じたようだ。

2代目となったセンチュリー

Photos of Toyota Century (GZG50) 1997

登場から30年を経て、センチュリーは初のフルモデルチェンジを行い、2代目になります。この頃のトヨタの高級車は、国際派のセルシオ(現在のレクサスLS)、国内向けのクラウン・マジェスタがともにV型8気筒でラインナップされており、このエンジンを積むだけでも先代を凌駕する高級車を簡単に作れる状況にありましたが、トヨタは何と乗用車向けでは日本初となるV型12気筒5000ccエンジンを開発し、センチュリーに搭載しました。これにより、セルシオよりも圧倒的に高い地位に位置づけられました。

白いレースのカーテンがこれほど似合うクルマは他にない。

センチュリーの佇まい、というとこんなイメージだろうか。

Toyota Century (GZG50) 1997 wallpapers

運転席・助手席のエアバッグが標準装備され、フロントドアの三角窓の廃止やカーナビの設置など、内外装ともに現代的になりました。それでも、日本のセダンらしい富士山型のフォルムを踏襲し、高級感があるものの威圧感のない、日本らしい高級車のデザインを作り上げました。

通常のセンチュリーがベースだが、外観に関しては共用している部品は少なそうだ。

宮内庁に納入された、皇族用のセンチュリーロイヤル

Pictures of Toyota Century Royal Imperial Processional Car 2006

それには、ただの政治家や財界人だけでなく、皇室の方々もお乗りになる、というこのクルマならではの需要があります。乗っている人が上品に見えるクルマだからこそ、センチュリーには孤高の美しさがあるのです。

2006年には、皇族用のリムジン「センチュリーロイヤル」が、センチュリーをベースに開発されました。こちらも、ニュース等で見たことがあるでしょう。

他のトヨタ車にはないセンチュリーの製造工程

黒や濃紺が多いが、シルバーやホワイトパールも選択できた。

Toyota Century (GZG50) 1997 wallpapers

2代目センチュリー最大の特徴が、日本車で唯一のV型12気筒エンジンです。開発主査を務めた野口満之氏のインタビューによると、セルシオとの差別化の意味でも、早い段階からV型12気筒の計画はあったといいます。

スピードメーターはデジタル表示。中央のディスプレイはカーナビで、デュアルエレクトロマルチビジョンとして後席にも装備される。

ウォールナットパネルが張られたダッシュボード

Photos of Toyota Century (GZG50) 1997

また、製造には職人による手作業の工程も多いそうです。美しい仕上がりのため、車体表面の研磨は入念に行われています。塗装も、通常のクルマでは3回塗って3回焼く塗装工程が、セルシオでは4回塗って4回焼く工程になり、センチュリーでは5回塗って5回焼く工程になっています。これを聞くと、磨き上げられた黒塗りのセンチュリーが、鏡のように美しい艶をしているのも納得することでしょう。

さまざまな高級車があるが、レクサスとも、メルセデスとも、キャデラックとも違う独自の世界観が広がる。

Toyota Century (GZG50) 1997 images

さて、2代目センチュリーは、2005年に変速機が6速ATに変更されました。また、当初は有無が選べた前後席のデュアルエレクトロマルチビジョンが標準装備になります。2008年にはディスチャージ付マルチリフレクターヘッドランプを装備。2010年にはバックガイドモニターの装備など、小変更が度々加えられています。しかし、2016年10月で2代目の生産を終了、翌2017年2月に販売も終了しました。

3代目はハイブリッド車に進化

センチュリーの次期型を模索する動きとして、2007年の東京モーターショーに、製造元の関東自動車工業が出品した「プレミアムセンチュリー」があります。通常のセンチュリーをベースに、フロントグリルや内装が変更されています。

また、2011年の東京モーターショーでは、センチュリーの名前は使わず、「FSハイブリッドコンセプト」の名で、センチュリーの後継を感じさせるセダンを参考出品しています。

2017年の東京モーターショーで参考出品された、次期型センチュリー。

東京モーターショー 2017 トヨタブース フォトギャラリー | トヨタグローバルニュースルーム

しかし、2017年の東京モーターショーでは、トヨタ本体から次期型センチュリーが出典されました。エンジンはV型8気筒5000cc+ハイブリッドシステムになります。おそらくレクサスLS600hに搭載されるものをデチューンして搭載するのでしょう。なかなか縁のないクルマですが、2018年年央予定とのこと。期待して待ちましょう。

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