レクサスに最初からラインナップされた車種のひとつ
2005年に日本でも展開されたレクサス。その始まりは北米市場で、1989年にブランドが立ち上げられました。このブランドのために長い年月をかけて開発された高級車、レクサスLS400(日本ではセルシオの名で発売)が基幹車種なのですが、これだけでは販売台数に限りがあるため、下のクラスのセダンとしてレクサスES250が用意されました。
この車種は、1986年に発売された3代目カムリをベースとしたもの。カムリは、日本では4ドアセダンと4ドアハードトップ(V型6気筒エンジンのプロミネントのみ)で、北米市場ではセダンとステーションワゴンが発売されていました。
レクサスESは、北米未発売の4ドアハードトップとしてカムリと差別化。日本ではラインナップしていないV型6気筒2500ccエンジンを搭載し、変速機は4速ATと5速MTが選択できました。内装には本革張りシートなどを採用して、レクサスに恥じない内容に仕立てられました。

1989年に発売された初代レクサスES250
Images of Lexus ES 250 1989–91
カムリをベースに内外装を専用に仕立てた2代目
初代レクサスESは、モデル途中のカムリを流用したものだったため、1990年にカムリがモデルチェンジしたのに伴い、レクサスESも短期間で次世代型になりました。こうして1991年9月に2代目がデビュー。エンジンは3000ccが採用されたため、名称がレクサスES300に変更されました。
エンジンをカムリ・プロミネントの2000ccと2500ccに対して3000cc一本とし、ボディを3ナンバーサイズに拡大。内装には専用のダッシュボードを用意したほか、セルシオと同様の自発光式オプティロンメーターを装備するなど別物に仕立てられました。
この2代目レクサスES300は日本でも「ウィンダム」の名で発売されました。初代と同じく、カムリのV型6気筒エンジン搭載車、カムリ・プロミネントがプラットホームのベースで、クルマ好きであれば同系統であることが外観を一目見れば分かるほどでした。日本での販売店は、カムリと同じカローラ店になりました。

2代目レクサスES300を日本向けにした初代ウィンダム
Toyota Windom (CV10) 1991–96 wallpapers

初代ウィンダムのリアスタイル
Toyota Windom (CV10) 1991–96 photos

ベースとなったカムリ・プロミネント
Toyota Camry Prominent (SV30) 1990–94 pictures

北米向けのレクサスES300
Pictures of Lexus ES 300 1992–96
一般人が登場するCMで若い高収入者にアピール
ウィンダムのテレビCMでは、アメリカの医師、実業家、大学教授、国際線の機長などを起用し、かの国の若い成功者がレクサスES300を選んでいることアピール。「レクサスES300=日本名ウィンダム」とナレーションし、最後にネイティブな発音で「Are You WINDOM?」と締めるCMを流していました。インパクトのあるCMだったので、記憶に残っている人も多いでしょう。
日本でも300万円台で乗れる“レクサス”は、「クラウンを買える年収だけど、オヤジくさいセダンやRVは嫌だなぁ」という30代後半~50代の高収入者を中心に売れました。
カムリと同じハードトップボディは、全長・全幅ともに3ナンバーサイズに拡大することでスタイリッシュになりましたが、キャビンのベースは5ナンバーサイズのカムリなので、室内の狭さは否めませんでした。
1993年8月のマイナーチェンジでV型6気筒2500cc車が追加されました。これに伴い、翌年にフルモデルチェンジしたカムリでは、V6エンジン搭載車が廃止されています。

カムリとは違う素材で仕立てられたウィンダムの内装
Toyota Windom (CV10) 1991–96 wallpapers

落ち着きと上質感があるウィンダムの内装
Images of Toyota Windom (CV10) 1991–96
toyota windom ad - YouTube
キープコンセプトで 2代目ウィンダムに進化
ウィンダムは1996年8月に2代目にフルモデルチェンジします。レクサスES300も同年9月にフルモデルチェンジし、3代目となりました。当時のトヨタとしてはやや長めの、5年のモデルサイクルでした。
デザイン的にはキープコンセプトで、先述の通り、カムリからV6エンジン搭載車が廃止されたことでクルマの位置付けもはっきりとしました。北米向けは3000ccのみでしたが、日本向けは引き続き3000ccと2500ccの2本立てで、引き続きカローラ店の最高級車としてラインナップされました。
1999年にはマイナーチェンジを実施。また、1999年(前期型)、2000年、2001年には、高級バッグなどで日本でも人気のコーチの皮革を使用した特別限定車コーチエディションを設定しました。
ウィンダムの人気は、この2代目のマイナーチェンジ頃まででしょう。この頃になると不況が著しくなり高級車市場が縮小。ウィンダムの人気にも陰りが見えてきました。

デザイン的にはキープコンセプトとなった2代目ウィンダム
Toyota Windom (MCV20) 1996–2001 images

直線的なデザインになり、初代よりも“和風”な印象になった2代目ウィンダム
Toyota Windom (MCV20) 1996–2001 images
ウィンダムは3代目で日本市場から消滅したが……
2001年にウィンダムは3代目にフルモデルチェンジしました。今度は4ドアセダンとなり、全幅・全高ともに拡大され、まさにアメリカンなサイズになりました。日本の3ナンバー車が大幅に増えて10年経ちましたが、さすがにこのボディサイズは大きすぎたのか、高級車市場やセダン市場の縮小もあり、パッとせずに2006年1月30日にフルモデルチェンジした7代目カムリに統合されて日本での販売が終了しました。

日本における最終モデルとなった3代目ウィンダム
Images of Toyota Windom (CV30) 2002–06
しかし、3代目ウィンダムこと4代目レクサスESは、ボディが大きくなって大柄なアメリカ人が乗るには適度なサイズになったことで、これまでに以上の販売台数を記録。2006年に5代目、2012年に6代目と順調に代を重ね、今回の7代目の披露となりました。

2006年に登場した5代目レクサスES350
Images of Lexus ES 350 2006–09
これまで日本向けのレクサスでは、ハイブリッドのHSとハッチバックのCT以外は後輪駆動にこだわってきて、世界的な人気車種だったレクサスESは日本市場に導入されずにきました。しかし、7代目ESは2018年秋に日本にも導入されると言われています。ウィンダムとしての登場から22年。レクサスESの凱旋に注目しましょう。

2012年に登場した6代目レクサスES350
Pictures of Lexus ES 350 2012