【ガッチリ作られた】最後のJR東日本の電車
国鉄207系900番台は、1986年に国鉄が製造した、通勤型電車です。
この207系900番台は、10両編成1本のみが製造され、2009年12月5日まで走り続け、2010年1月6日に廃車されました。
現在でもJR西日本で207系は活躍していますが、ここで取り上げる207系「900番台」とは、まったく別の種類の電車です。
207系900番台
207系通勤形電車 - 日本の旅・鉄道見聞録
泣いても笑っても、これに映っている1編成しか存在しません。まさに「世界にひとつだけの花」ですね。
JR西日本の207系
ツイッターからの引用です。面白い。
JR東日本で造られた初めての通勤型電車は、209系です。
207系900番台は、ファンの間では、「きちんとしたコンセプトで造られた最後の通勤型電車」と言われています。
このことを理解するためには、その後に登場した209系の開発コンセプトをご案内する必要があります。
JR東日本209系電車 - Wikipedia
それまでの電車は、古いものを修理して、大事に長期間使っていくというコンセプトが主流でした。しかし、この209系からは、はっきり言えば「使い捨て」という、まったく新しいコンセプトで設計がなされました。つまり、古くなったら「捨てちゃえ」というコンセプトだとファンには揶揄され、その結果、使い捨てカメラ「写ルンです」になぞらえて、209系以降の系列を、「走ルンです」と言われています。つまり、造りは簡素で、とりあえず「走ることは走りますが、使い捨てですよ」と、ファンの間では半分冷たい目で見られました。
ただ、それには当時の時代背景があります。
財政難で民営化された国鉄から古い車両を引き継いで電車を走らせていましたが、「うるさい音」「固い座席」「いつまでたっても同じデザイン」そして何より、「電力消費が大きい」という難点を抱えた運用であった中で、利用者からは、もっと新鮮なイメージのものを求められるようになってきていました。時は1980年代後半、イケイケのバブル経済の世の中のイメージにも、旧来の国鉄車両は、特に毎日乗る通勤客には不評だったのかもしれません。
そのため、209系以前の設計で最後の系列になるこの「207系900番台」が、使い捨てを前提としない設計の電車として最後の電車になる、と見られています。
ピューウウウ!ピューン!ピューン!ピューン!・・・という発車音
この207系900番台以前にも、201系や205系なども、発車する時に、小さく「ミー」と鳴る電車はありましたが、この207系900番台は、非常に独特な音を出して発車します。言葉に表すのは難しいのですが、「ピューウウウ!ピューン!ピューン!ピューン!・・・」と、音が変化する電車でした。
当時筆者は千代田線沿線に住んでいたのですが、家の外からいきなりこの音が流れてきたときは、衝撃を受けました。
今でこそ音が鳴る電車はもう当たり前になっていますが、当時は千代田線の6000系の「爆弾ドア」など、実際に機械が動く音が中心だったので、この「コンピューター・ミュージック」には、近未来の接近を感じる、何とも表現のしようのない、はじめて見るものの感覚を覚えました。
どんな音か録画された動画がありますので、ご紹介します。