生物特性がヒントになった便利グッズあれこれ②

生物特性がヒントになった便利グッズあれこれ②

生物特性がヒントになった便利グッズあれこれ①で紹介出来なかった便利グッズを厳選して御届けします。


新幹線は生物特性利用物の宝庫 !!

新幹線500系

新幹線500系のパンタグラフはフクロウ???

上記の写真は新幹線500系と言い、現在は引退した新幹線の一つです。1990年、JR西日本で新たな新幹線開発プロジェクトとして「最高速度300キロを目指す新型新幹線500系」が立ち上がりました。当時、東京-博多間の移動にかかる時間は、新幹線で6時間、飛行機では1時間半でした。JR西日本は、運送業界で勝ち残るために、高速新幹線の開発を目指していたのですが、問題は山済みでした。
時速300km以上で走らせること自体は技術的にそれほど難しい課題ではありませんでしたが、一番の問題は“騒音”でした。日本の新幹線は住宅のすぐ脇を走っているのですが、速さを求めれば求めるほど、新幹線の音も大きくなるのでした。
日本の騒音基準は世界一厳しいといわれ、25m離れた地点で家庭用掃除機と同程度のレベルを要求されるので。新幹線の音をそこまで小さくするのは並大抵のことではなく、なかでも一番の問題がパンタグラフと呼ばれる集電装置でした。
車体から発生する音は、突起物をなくして空気抵抗を少なくするなどの工夫で大分改良されていましたが、パンタグラフはもともと車体から突き出た構造のため、どうしても空気が乱れて音が大きくなります。それをいかに防ぐかがポイントでした。空気抵抗を少なくするために、パンタグラフを翼型へと改良。しかし、やはり突き出た支柱の音までは防げなかったそうです。
しかし、ヒントは意外なところから見つかりました。
開発者の一人が 「鳥のなかでもっとも静かに飛ぶのがフクロウだ」という話を聞き込み、研究してみると、確かにタカなどと比べて空気抵抗が少ない。風を当ててみても、タカだとうるさく音がするのに、フクロウの羽は音がしないということを発見したのでした。
フクロウの風切羽には他の鳥にはないセレーションと呼ばれるギザギザがあり、これが空気をうまく逃がして抵抗を少なくするのだという。獲物に静かに近づく自然の工夫でした。
これをパンタグラフに応用することで、騒音軽減に寄与することになりました。

フクロウはサイレントキラー!!

フクロウ

支柱の側面の突起物が空力騒音を30%も減らすんです!!

新幹線500系のパンタグラフ

新幹線500系のあの長~いノーズはカワセミのくちばしが起因です!!

新幹線500系には、もう一つ鳥の特性を元とする機能が取り入れられている。それはカワセミのクチバシです。
新幹線が高速でトンネルに突入すると、空気の圧縮波が生じて出口付近で一部放出され、非常に大きな音がします。俗に“トンネルド~ン”と呼ばれる現象です。開けた空間から狭いトンネルに突入すると大きな抵抗の変化が存在するからである。
これを解決するため、抵抗の大きな変化を常時経験しているカワセミに白羽の矢が立ちました。カワセミは高速で水中に飛び込んで魚を獲りますが、そのとき空気中と水中で1000倍もの抵抗差が生じています。にもかかわらず、水しぶきが極めて少ないのです。つまり、カワセミのクチバシの鋭い形は、水の抵抗をもっとも小さくする形状だったのである。大がかりな実験装置の測定と、スーパーコンピューターによる解析が導き出した新幹線の先頭形状は、カワセミのクチバシに極めて近似しており、開発者のひらめきが正しいことが裏付けられた。極力抵抗を軽減するため、車体の断面も円形にし、それにより走行抵抗が30%減り、トンネル出口での騒音が解決、消費電力も15%減ったそうです。

カワセミ

カワセミの水中ダイブの瞬間

ちなみに研究成果が逆に生物特性そっくりになる場合がある!!!

新幹線700系

上記の写真は新幹線700系と言い、2019年に引退する予定の新幹線です。新幹線500系の際にも説明しましたが、列車が高速でトンネルに突入するときに発生する音を抑えるため、流体力学の観点から研究と実験を繰り返すなかでこのような列車形状になって行きました。
ところで、この新幹線の長い先頭部分が何かに似ていませんか?? カモノハシの口にそっくりですよね!!。 カモノハシはえさを得るため、えさに気づかれないように水中をかなりの高速で、しかも音を立てずに泳ぐ能力があるのですが、まさに研究成果が生物特性に近づいてしまった例ではないでしょうか!!

カモノハシの水中写真

汚れにくいカタツムリの殻

カタツムリの殻が汚れにくいことはご存知でしょうか?これらは自ら石鹸液や分泌液を出して洗い流すのではないにもかかわらず、いつもピカピカできれいな表面を保っている。カタツムリの殻の表面では、油汚れも雨が流してくれるのである。
カタツムリの殻は炭酸カルシウムでできている。では、炭酸カルシウム100%でできている方解石とカタツムリの殻の比較をしてみましょう。水の中に方解石とカタツムリの殻を浸し、それに油滴を付けてみると、方解石には油が付着するが、カタツムリの殻では油が付着することはないが、水中で、油滴はコロコロと殻の表面を転がっているのである。
カタツムリの表面を電子顕微鏡で見てみると、数十ナノメートルからミリメートルにいたる小さな凹凸がたくさん存在しているが、水中で油滴が殻の表面に付かないのは、その表面の小さな凹凸が大きく影響している。
汚れがつきにくく取れやすいカタツムリの殻の表面を応用したこの技術は、すでに家庭のキッチンシンクやビル外壁に使われ始めている。

カタツムリ

カタツムリの殻の電子顕微鏡写真

カタツムリの殻と汚れの関係図

ハエトリグサを研究して、電源なしで動く電気機器やスイッチを開発することができるかも!!

ハエトリグサ

ハエトリグサは北アメリカ原産の食虫植物で、虫を捕まえ、それを消化吸収して成長します。栄養が少ない湿原で生きていくために、虫を獲って栄養を補っていると考えられています。
食虫植物の虫の獲り方には色々あり、ネバネバ液を出して捕まえるモウゼンゴケや、落とし穴に虫を落とすウツボカズラなども知られていますが、ハエトリグサは唯一、自ら動いて虫を捕まえる植物であり、その仕組みは実に巧妙です。
ハエトリグサの二枚貝状のような葉(捕食葉)の内側は赤みを帯びており、葉の内側から虫が好みそうな蜜を出します。また、捕食葉の内側縁には3対の毛(感覚毛)がついていて、赤い色と蜜でおびき寄せられ、虫が30秒以上感覚毛に2度触れると、葉が閉じて虫をはさみ込みます。葉が閉じる速さは100ミリ秒(ミリ秒=1秒の1000分の1)で、目にも留まらぬ速技です。
植物にとって、動くことは莫大なエネルギーを消耗するので、空振りは致命傷となります。風で木の葉や水滴が飛んできただけでは決して葉を閉じず、虫がじたばたする時の2回目の刺激で確実に閉じて獲物を仕留められるよう、ハエトリグサは刺激をきちんと1回、2回と記憶しているのです。

詳しいメカニズムや伝達回路は未だ分かっていないのが現状!!

オジギソウと同様に、ハエトリグサも機械的な刺激によって発生する活動電位から成る信号によって、細胞内で膨圧の急低下が生じた結果、葉の内外で圧力の差が起きてすばやく葉が閉じる仕組みになっていますが、その詳しい伝達回路は未だ分かっていないのが現状です。
近い将来、ハエトリグサを研究して、電源なしで動く電気機器やスイッチを応用開発することができるかもsれませんね!!

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