清宮克幸 早稲田大学ラグビー部監督5 「NOTHING TO LOSE」

清宮克幸 早稲田大学ラグビー部監督5 「NOTHING TO LOSE」

2004年度、早稲田大学ラグビー部は、全国大学選手権で優勝。 日本選手権でも社会人チーム:タマリバクラブを撃破したが、トップリーグチーム:トヨタ自動車には惨敗した。 2005年度の目標は、「打倒・トップリーグ」だった。


夏合宿 ついに関東学院に勝ち越し

2005年8月7日、早稲田大学ラグビー部は夏合宿のために長野県上田市の菅平公言へ出発した。
菅平高原の旅館にとって8月は、ラグビー夏合宿だけでなく、一般的にも観光シーズンでで需要も高い。
宿の数が限られているので、関東学院、明治、法政など強豪大学でさえ、各旅館の所有するグラウンドを借りて練習する。
その傍らでは、農家の人達が野菜をつくっておられた。

早大菅平セミナーハウス

しかし早稲田大学は、宿泊所もグラウンドも自前の施設だった。
「早大菅平セミナーハウス」 が合宿拠点となる。
隣接する自前のグラウンドは土1面、芝2面。
上井草のトレーニング機器がすべて運び込まれトレーニングルームがつくられた。

多くの大学ラグビー部が、長野県菅平高原で夏合宿を行う。
そして高原に点在するグラウンドで、連日練習試合が行われる。
その中で最大の注目カードは、8月の第3日曜日に行われた早稲田 vs 関東学院。
ここ4年間、全国大学選手権決勝で対戦した関東学院と早稲田は、夏の菅平で勝った方が、その年の決勝を制して大学日本一になった。
関東学院は、過去8年連続で大学選手権決勝進出、 優勝5回、準優勝3回。
しかし過去4年、関東、早稲田、関東、早稲田と2勝2敗だった両校の夏合宿の練習試合は、2005年は早稲田が初めて連勝し、3勝2敗と勝ち越した。

ケンブリッジ大学に楽勝

2005年9月18日、早稲田大学ラグビー部は、ケンブリッジ大学ラグビー部と対戦し、33対8で完勝した。
しかしこの年のケンブリッジは弱かった。
早稲田だけでなく、関東学院、法政にも負け、日本で3連敗していた。
清宮は、絶対に強いと思っていた相手にアッサリ勝ってしまったことで、チームがここまで維持していたいい緊張感と熱意が少し切れてしまったと思った。
そして、せっかく仕上がりつつあったチームがフヌケになってしまうのを恐れ、急遽、社会人チーム:東芝府中Bとの練習試合を入れた。

ボロ負け

関東大学選手権リーグ戦がスタート。
2005年9月25日、 早稲田 vs 立教、78-10、2005年10月01日、早稲田 vs 青山学院、99-19と早稲田大学ラグビー部は公式試合を2連勝した。
そして2005年10月10日、東芝府中グラウンドで東芝府中Bチームと対戦した。
練習試合、しかもしかも雨降っているにもかかわらず観客席は満席。
おそらくその多くはワセダファンだろう。
試合はモールで早稲田が先制。
しかし直後に東芝に追いつかれ、そして逆転されるも、再び早稲田はモールを押し込んでトライ。
前半を10対17で折り返す。
後半、早稲田はお家芸の展開ラグビーでトライ。
しかしその後、東芝が畳み掛けるように得点を重ね、最終的に17対67。
早稲田大学ラグビー部の完敗だった。

勝利のためなら危険もかえりみない

今シーズン、初めての敗戦で、選手たちの気持ちは劇的に変わった。
練習の必要性を強く感じ、何が足りないのか、何に力を入れたらいいのか考えた。
その結果、封印していた練習を復活させることを決めた。
コンタクト・スーツを着てのアタック・アンド・ディフェンス。
すなわち試合形式の練習だった。
それまでシーズンの最大の目的を達成するために、いかにケガ人を出さずベストメンバーで試合に臨むかが課題となっていた。
そうすると練習メニューも変わり、部内の試合は減っていき、社会人チームへの出稽古もストップされた。
それ以前は決勝戦が近づいてもアタック・アンド・ディフェンスなどのハードな練習をやっていた。
それは、激しさを前面に押し出すことこそ勝つ要因だと信じていたからだった。
それが、いつの間にかベストメンバーを組めれば絶対に負けないようになり、コンディションと安全第一として危険度が高い練習を控えるようになっていた。
そして東芝のBチームに負けてしまった。
しかもこの年は全国大学選手権優勝に加え、社会人のトップリーグベスト4に勝つことが早稲田の目標だった。
高いところを目指すなら危険な練習も必要だと気づいたのだ。
こうして清宮と早稲田の選手たちは練習をハードな内容にすることを決めた。

学生日本一に

2005年12月4日、早稲田大学 vs 明治大学。
昼間なのにあまりの暗さに照明がつくほどの雨だった。
前半、「前へ」とフォワードで突進する早稲田と、ペナルティーゴールを狙う明治という真逆の展開。後半
早稲田が縦横無尽に3トライ奪い、勝敗はほぼ決したものの、残り10分で明治は早稲田を自陣ゴール前にくぎ付けにし、本来の早明戦っぽい展開になった。
しかし早稲田の集中力はとぎれることがなlく、インゴールを背負って、タックルに次ぐタックル。
心は熱く頭はクールに、早稲田は「らしさ」を存分に発揮し40-3で明治を圧倒した。
以下、翌日のデイリースポーツ。
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関東大学ラグビー対抗戦グループ早大-明大が4日国立競技場で行われ、すでに5年連続18度目(リーグ通算33度目)の優勝を決めている早大が計6トライを奪う猛攻で40-3で完勝。
対抗戦では初となる5年連続の完全優勝を遂げた。
また対抗戦36連勝、清宮克幸監督就任後は35戦全勝と無敗記録を更新。
試合後、清宮監督は早大だけが突出する現状を嘆きライバル校にカツを入れた。
試合後の会見場は清宮監督の独壇場だった。
「お互い高いレベルの競い合いになら歴史に名を残す名監督と喜ぶが、年々、観客数が減っていく早明戦じゃ困る。
4年間も同じことを繰り返している」
と語気を荒げた。
相手をおとしめるつもりはない。
早大はこの試合まで対明大戦通算44勝34敗2分けと競い合ってきた。
清宮監督には両校が大学ラグビー界だけでなく日本ラグビー界を引っ張ってきたという思いがある。
それだけに最後はレギュラーを7人も交代させながら1トライも返してこなかったライバル校が歯がゆくてならなかった。
「どうなってるんだ。
残念です。」
今季限りで任期が切れる指揮官の表情は寂しげでさえあった。

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