2005年11月3日-6日、荒川は、世界6ヵ国で行われるグランプリシリーズ第3戦、中国北京大会に出場。
レベル4を目指してきた技がどう評価されるのかがテーマだった。
荒川はショートは3位。
フリーで逆転を狙った。
(試合はショートプログラムとフリーの総得点で競われる。)
しかしスピンの判定はレベル3。
逆転ならず3位となった。
自分らしく滑りたい
中国の大会から1週間後、荒川はネットカフェで、ファンからのメッセージを読んでいた。
そのときあるメッセージに出会った。
「点数を競うのはスポーツとしては当然です。
・・・・
でも美しくあって欲しいなと。
たくさん回転するよりも、優雅に舞う姿が素敵だなあと思います・・・」
技のレベルを上げることに専念してきた荒川に、自分らしく滑りたいという気持ちが蘇ってきた。
しかし美しく滑ることが必ずしも得点に結びつかない新採点法。
次のフランス大会は1週間後だった。
スピンでレベル4獲得
2005年11月17日-20日
グランプリシリーズ第4戦フランス大会
荒川は、中国大会では、最後のスピンを前方向の回転から入ったが、この大会では「バックエントランス」といって、後ろ方向への回転から入ることにした。
バックエントランスは難易度の高い技術なため、これでレベルが1つ上がる。
そしてフリーの演技の最後のスピンをバックエントランスから入り、すべての姿勢で確実に2回転以上し、レベル4と判定された。
しかし荒川の順位は3位だった。
優勝は浅田真央。
浅田は難易度の高いジャンプで高得点を獲得した。
新採点法では、トリプルアクセルはの点数は7.5。
スピンのレベル4の点数は3.5。
ステップのレベル4は3.4
スパイラルのレベル4は3.4。
ジャンプが得意な選手は有利だった。
スパイラル レベル4
12月、オリンピックまで2か月。
荒川はこれまでレベル3だったスパイラルの改造に着手した。
滑りながら足を手を放す新技でレベル4を目指した。
たとえ点数に結びつかなくても・・・・
1月
オリンピックを目前に控え、フリーの曲を、一昨年に世界選手権で優勝した時の曲「トゥーランドット」に変更した。
そして自分の演技の象徴、イナバウアーを、たとえ点数に結びつかなくても、オリンピックで復活させることを決めた。
トリノオリンピック開会式の偶然
トリノオリンピック開会式で、偶然、イタリアのオペラ歌手が「トゥーランドット」を歌った。
しかし荒川は運命的なものを感じたという。