荒川静香 2006トリノ、逆転の金メダル  「今までのことを振り返らずに、今が1だと思って、毎日そこから進んでいこうと・・・それだけですね。」

荒川静香 2006トリノ、逆転の金メダル 「今までのことを振り返らずに、今が1だと思って、毎日そこから進んでいこうと・・・それだけですね。」

5歳からフィギュアスケートをはじめ、10歳で3回転ジャンプを跳び「天才少女」といわれた。 22歳で世界チャンピオンとなった後、採点法が改められ惨敗。 荒川静香は1からやり直し始め、2006年のトリノオリンピックでは、点数にならないイナバウアーを出しながら、見事金メダルを獲得した。 それは受け入れる強さと自分らしさを追い求めてつかんだ逆転の金メダルだった。


新採点法、惨敗

しかし世界チャンピオンになったことで心が揺れた。
「1回、自分の満足する演技をしたいという目標が達成されてしまって・・
その後に目標を見つけることができなくて・・・。」

翌年、新採点法が導入され、2005年の世界選手権は9位に終わった。
このことが荒川の奮起を促した。
「あ、これじゃ終われない。
もう1回、自分で満足するところまでいって終わりたい。」

新採点法

2004年、世界チャンピオンとなった荒川は、美しく華麗な演技は高い評価を受けた。
しかし2006年のトリノオリンピック前に、採点法が大きく変わり、得意のイナバウワーやスピンに得点につかなくなった。
新採点法にになったきっかけは前回のソルトレークシティオリンピックだった。
審判が不正な圧力を受け、不正な判定が行われた。
ショートプログラムを1位で通過したロシアのペアは、フリースケーティングで男性が1回だけジャンプ着氷時にステッピングアウトしてしまった。
続いて滑ったカナダのペアはノーミスで演技を終えた。
会場の誰もがカナダ組も優勝を確信した。
しかし採点では9人のジャッジのうち5人がロシア組に1位をつけ、カナダ組は銀メダルとなった。

過去の採点法では、芸術点だけでなく、技の難易度をみる技術点にも明確な基準がなかった。
新採点法では、技術点に具体的な基準が設けられた。
評価の対象となる技は、女子の場合、以下の4つに絞られた。

ジャンプ(空中で回転を行う)
スピン(氷上で回転する)
ステップ(スケートのエッジを使い複雑なターンを行う)
スパイラル(足を腰より高く上げながら滑る)

ジャンプは、種類と回転数によって、スピン、ステップ、スパイラルは、難易度によって、1~4のレベルに分類され得点が与えられる。
最も高いのがレベル4。
難易度を判定する条件も、姿勢を保つ時間、姿勢を変更する回数など、明確化された。
試合会場に技だけでみる技術判定員も新たに置かれ、技はムービーでチェックされる
課題を正確に熟し、技のレベルを上げることが、これまで以上に勝敗を左右することになった。

イナバウアーは得点にならない

新採点法では、イナバウアーは得点にならなかった。
美しい姿勢を長い時間を続けても、姿勢を変えない限り高い評価は得られなくなったのである。

荒川は、難易度の高いジャンプ技を持っていない。
しかしステップ、スピン、スパイラルは得意だったので、この3つでレベル4を目指した。

スピンは、演技の中で最も多く用いられる。
レベル4をとるには、スピンの姿勢を4回変える必要があり、しかもそのうち2つは難易度の高い姿勢をとらなくてはいけない。
荒川は、ヒールマンスピン、ドーナツスピンを組み込んだ。
極めて複雑で難しい構成だった。
「今までは私にとってはスピンは休むところだったんですけれど、今はもう技の1つ1つが失敗するかしないかの緊張するところになってしまったので・・・」

西東京市で「ジャパンインターナショナルチャレンジ2005」が行われた。
荒川は、今シーズン初めての試合で、初めて技術判定員の前で演技した。
そして最後のスピンが、レベル2と判定された。
新採点法では、スピンで2回転以上しないと1つの姿勢をみなされない。
荒川はキャメルスピンが、2回転する直前で次の姿勢に移ったため回転不足とみなされた。
この試合、1位は、イリーナ・スルツカヤ(ロシア)、荒川静香は2位、そして3位は安藤美姫だった。
荒川は、自分の中では2回転したつもりだった。
以後、確実に2回以上回転するために練習で、
「イーチ、ニィー、サーン」
とゆっくり数えながらスピンした。

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