80年代、やたらと流行ったワンポイントの刺繍ロゴたち
少年時代に靴下やポロシャツでやたらと流行ったワンポイントの刺繍ロゴたち。
なかでも白い靴下に刺繍で入ったワンポイントロゴは定番だった。
左右で違うブランドの靴下を履いてしまい、恥ずかしかったなんて思い出も…
なんというメーカーなのか、どんなブランドなのか。
そんなことも一切気にせずに身に着けていた少年時代。
当時流行った懐かしのロゴブランドたちについて紹介していく。

小学生は半ズボン+白ソックスが定番だった。
傘のロゴ、アーノルドパーマー。

アーノルドパーマーのロゴ
ブランド名は、伝説のプロゴルファー『アーノルドパーマー』から

アーノルド・ダニエル・パーマー(Arnold Daniel Palmer)
伝説のプロゴルファー、アーノルドパーマーにちなんだブランド。
1970年代の日本は空前のゴルフブームを迎えていた。
そこでレナウン商品企画室マーチャンダイザーの出来宏昭によって開発され、アーノルドパーマー本人をCMに起用することで、イメージをブランドに重ねた。
老若男女を対象に商品展開した日本初のトータルファミリーブランドであった。
時代性を反映した日本独自のブランド「アーノルドパーマー」は、瞬く間に人々の心をとらえて大ヒット。
戦後最大のブランドとして大成功をおさめ、傘のロゴマークはありとあらゆるアイテムとなって、70~80年代の日本中に溢れた。
ライセンス展開も拡大する一方で、あまりにも氾濫しすぎたアーノルドパーマーは飽きられ、やがてブランドとしては低迷を迎えてしまう。
業績が悪化し企業として傾いていたレナウンからは、優秀な人材が続々と他社アパレルに流出。
倉庫整理をしていたときに、ブランドが開発された当時の原画等がたくさん見つかった。
そこで、当時の商品を忠実に復刻したところ、現代の若者の心にヒット。
こうして2010年代前半になって、ブランド・アーノルドパーマーは復活した。
氾濫しすぎたことや安易なライセンス路線といったことが、せっかくのブランドをダメにしてしまった前回の教訓から、今回は開発当時のクオリティを崩すことなくブランドを守る路線に変更。
ブランド名もアーノルドパーマー・タイムレスとし、ロゴマークも従来の4色の傘に加えてモノクロの傘のロゴマークも登場した。
販路も百貨店ではなく、高感度なセレクトショップ中心に展開することで、ブランドとして新生している。
(公式ブランドサイト)アーノルドパーマータイムレス | arnold palmer timeless
パイプのロゴ、TOROY(トロイ)。
1937年サンフランシスコで産声を上げたブランド『Tory Bros(トロイブロス)』。
その日本での展開を行っていた会社が袂を分かち商標訴訟を経て、1968年に立ち上げたブランドが『TOROY(トロイ)』である。

TOROY(トロイ)のロゴ
ゴルフブランドから火が付いた第一次ワンポイントロゴブームで知名度を上げ、80年代の第二次ワンポイントロゴブームで再びブレイクした。
2005年に生まれ変わった新しいパイプマークは、パイプを喫煙の道具としてでなく自然体で解放されたリラックスした時間をあらわしているという。
現在、TOROY(トロイ)は幅広い商品ラインナップを揃え、トータルブランドへと成長。
[リラックス]をコンセプトにしたライフスタイルをご提案している。
(公式ブランドサイト)トロイ|TOROY
ペンギンのロゴ、マンシングウェア。

マンシングウェアのロゴ
マンシングウェアの歴史は長く、1886年にアメリカで誕生。
当初はアンダーウェアメーカーであったという。
1955年、世界で初めてゴルフ専用ウェアを誕生させた。
翌年ペンギンマークを生み出し、その愛らしさで大統領やハリウッドスターまで愛用する有名ブランドに成長した。
日本にはデサントが総販売代理店として1964年に登場。
70年代のゴルフブームに乗って、ゴルフウェアだけでなくライフウェアとしても人気に。
現在でも、可愛らしいペンギンマークによって、ワンポイントロゴの入った靴下を愛用する女子中高生も多い。
(公式ブランドサイト)マンシングウェア|Munsingwear
ワニのロゴ、ラコステ&クロコダイル。
ワニをロゴのモチーフにした両ブランドだが、全く別のブランドである。

ラコステのロゴ

クロコダイルのロゴ
ワニのロゴを巡って、この両社で長いこと訴訟が行われていた。
その顛末については、下記の記事にて紹介。
違いは何?ワニのロゴで有名な「ラコステ」と「クロコダイル」二つのブランドによる長年の因縁…。
熊のロゴ、ゴールデンベア。

ゴールデンベアのロゴ

ジャック・ニクラス (Jack Nicklaus)
日本の老舗アパレルメーカー、株式会社コスギが1970年代からジャック・ニクラウスと契約を結び、ゴルフウェアを販売し、ゴルフブームの中で爆発的に売れた。
1985年には、ニクラウスの愛称「ゴールデン・ベア」に因んだスポーツウェアブランドを展開。
その後、スポーツウェア以外のファッションウェアまで領域を広げて、「品格」「家族愛」「先進性」という3つのコンセプトのもと、上質でリーズナブルなアメリカンカジュアルを提案している。
(公式ブランドサイト)ゴールデンベア Golden Bear
『二匹の竜』紋章のロゴ、McGREGOR(マックレガー)。

マックレガーのロゴ

ジェームス・ディーンが着用したアンチフリーズジャケット
1920年代、米国ファッションは英国の後追いをしており、一流品はすべて欧州からきたものであったた。
そこで、スコットランド生まれで米国育ちのデビッド・D・ドニガーは、ゴルフソックスや帽子などの輸入業の際に英国伝統のグレガー家のチェック柄、王冠、紋章を商品PRに活用。
そして1921年、それらをブランドのアイコンとした「マックレガー」が誕生した。
時代のニーズをつかんだマックレガーは、米国有数のスポーツウェア&カジュアルウェアブランドに成長していく。
1961年、日綿実業株式会社(現・双日株式会社)がライセンス契約締結、マックレガーが日本に上陸。
カジュアルウェアの概念がなかった当時の日本で、マックレガーは爆発的にヒット。
1965年には双日インフィニティの前身であるニチメン衣料を設立し、ブランドを定着させていった。
現在もアメリカンカジュアルの代表的ブランドとして、歴史と伝統を大切に継承しながらも、トレンドを取り入れることで、洗練されたカジュアルウェアを提供している。
(公式ブランドサイト)McGREGOR - マックレガー
風見鶏のロゴ、ウェザーコック

ウェザーコックのロゴ
1920(大正9)年創立の靴下(ソックス)、ストッキングを始めとするフットウェアに主軸をおくアパレルメーカー、株式会社ナイガイによる取り扱いが確認されている。
靴下・ソックス・ブランド ナイガイ
懐かしのロゴブランドをチェックしてみよう。
こうして振り返ってみると、70年代のゴルフブームがいかに凄かったかがよくわかる。
その当時、少年だった私はゴルフを見てもいなかったので何のブランドなのか知りもせず着用していたが…。
上記に挙げたブランド以外にも、アディダス・ナイキ・プーマなどの純スポーツメーカーのワンポイントロゴが入ったポロシャツや靴下は80年代以降大人気であった。
さらに、フレッドペリーやラルフローレンなどがポロシャツを中心に人気を誇った。
90年代中盤以降になると、アーノルドパーマーやラコステなどは「おっさんくさい」と若者に敬遠される流れも起きてしまったが、2000年以降に起きている'80s、'90sリバイバルの流れに乗って復活を遂げているブランドも多い。
「あれって、廃れたおっさんブランドなんじゃないの?ダサいでしょ。」と決め付けてしまってはもったいない。
今さら、半ズボンにワンポイント刺繍ロゴの白ソックスで街に出たら捕まってしまいそうだが、進化を遂げた懐かしのブランドアイテムを着用してみるのも楽しいのではないかと思う。