『好奇心が原動力』高畑勲・宮崎駿両監督の先輩アニメーター『大塚康生』のワクワクする仕事術!

『好奇心が原動力』高畑勲・宮崎駿両監督の先輩アニメーター『大塚康生』のワクワクする仕事術!

『未来少年コナン』や『カリオストロの城』の作画監督で知られる『大塚康生』さん。のびのびとした画風・ダイナミックな動きを取り入れたアニメーションは、大塚さんの人生の生き方、考え方そのものが反映されていました。大塚さんの類稀なる画力、機関車・ジープへの愛情、そして宮崎駿・高畑勲両監督と過ごしてきた若き日々を知っていただけたらと思います。


ここまで精密に描写していては、尋問されても仕方がないくらいですね。
実際、スケッチブックを取り上げられても、大塚さんはまた違うスケッチブック(自分で裏紙を綴じて作ったもの)を持って、次の日には出かけていたそうです。
大塚さんのタフさには恐れ入りますね。

ちなみに、このトラックは後年、「カリオストロの城」で登場してくるんですよ。

「カリオストロの城」
銭形率いる埼玉県警の機動部隊トラック

大塚少年の好奇心「他の人はどんな絵を描くのか」

蒸気機関車と軍用車のスケッチ三昧だった大塚少年。
でも実はそれだけでなく、他にも雪舟の墨絵や仏像を描いたり、のらくろを描いたり、風刺漫画を切り抜いて集めたり、その関心は多岐にわたっていました。
そんな中で、「他人がどんな絵を描くのか」ということにも関心を持っていて、こんな実験をしたことがあるそうです。

昭和19年に、大塚さんの学校を含めて、山口市内の全小学校に戦闘機「鐘馗」の写真が配られたことがあったそうです。
大塚さんは同級生全員に、「この写真を見て絵を描いてほしい」と頼みました。
ほとんどの人が協力してくれて、たくさんの「鐘馗」の絵が集まりました。
たくさんの友だちの絵から、大塚少年は何を読み取ったのでしょう。
しかもそうした試みを、中学生の時も2回行っているそうです。

陸軍二式単座戦闘機 「鍾馗」

将来、アニメーションの道へ進むことなど考えてもいなかった頃に、「人が絵を描くこと」の本質に迫る試みをしていることがすごいと思います。
少年時代の観察・分析は、作画監督になって、アニメーションに関わる大勢の個性ある人たち、中でも宮崎駿さんと高畑勲さんと共に作品を生み出す時に、大いに役立ったのですね。

異色の経歴、麻薬取締官事務所に勤めていた時期もあった

大人になった大塚さんは、初めに山口県庁の統計課に勤め始めます。
けれど、この頃の大塚さんの希望は「政治漫画家」になることでした。
そのためには何としても東京に上京したい。
上京する口実として、厚生省の試験を受けることを思いつきます。
結果は見事合格!
そして配属されたのは、なんと厚生省麻薬取締官事務所でした。

だから次元の動きが、生き生きとして描けるんですね!納得。

しかしその後、過労で結核にかかり、2年間の療養生活を送ることになってしまいます。その時期は読書三昧だったそうです。
体の調子が良くなってきたころ、映画館で、ロシアのアニメ映画「イワンと仔馬」やフランスのアニメ映画「やぶにらみの暴君」を観てアニメーションに興味を持ち始めます。
奇しくも、その頃に読売新聞に載っていた東映動画の小さな記事を見つけ、アニメーションの世界へ転職を決意するのです。

アニメーター大塚康生

東映動画に入り、仕事に明け暮れた大塚さん。
もともと画力がある上に、「作動原理」をふまえた人物の動きを正確につかむ能力と合わせ、大塚さんはアニメーターとしてメキメキその頭角を現していきます。

大塚さんは、例えば「物を持ち上げる」「投げる」そんな何気ない動作ひとつにも、隠された重みや人の筋肉の動き、息遣いなどに着目して描こうとしました。
悲しみから湧く力、喜びをどうしても体で表したい時、怒りの仕草など、自分で動いたり、人が動くのを観察したりして、演技として考えながら絵を描いたのです。
時にはやりすぎなくらいダイナミックで、コミカルな表現は後に「大塚アクション」と命名されました。

「足の指だけで飛行機につかまるなんてありえなーい!」
子どもながらに思っても、コナンならできるのか!と笑ってしまったシーン。

大塚アクション

ものすごく高いところから、ラナを抱いて飛び降りて、足から着地したシーン。
超人ハルクのようですね。

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