『大塚康生さん』ってどんな人?



高畑勲・宮崎駿監督が語る『大塚さん』とは

アニメーションの面白さ、動かすことの面白さを教えてくれた人だね。 やればやるほど動きのことがわかってくる。(中略) その入り口を教えてくれたのが大塚さん。
DVD『大塚康生の動かす喜び』(ジブリがいっぱいCOLLECTIONスペシャル)宮崎駿監督 インタビューより
高畑・宮崎両監督の絶大な信頼を得ている大塚さん。
とても興味のわく人物です。その人となりを、少年時代から振り返ってみましょう。
機関車に夢中だった少年時代

宮崎駿の"師匠"の原点は蒸気機関車だった | 旅・趣味 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

子どもが描いたとは思えないほど正確なスケッチ
機関車から学んだ『作動原理』の重要性
大塚さんが、数多くの蒸気機関車を描くことで強く学んだことがあります。
それはどんなものにも、動くためには「作動原理」や「構造原理」が働いており、それをきちんと知って描かないと納得のいく絵が描けないということでした。
特に蒸気機関車は、この「作動原理」がむき出しです。
大塚さんはスケッチしながら、どうやって動くのが目の当たりにして覚えてきました。
これは機械だけでなく、人間の動作にもあてはまることです。
この経験は、アニメーターになってからの大塚さんの仕事を支える、大きな柱となりました。
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大塚少年の好奇心「他の人はどんな絵を描くのか」
蒸気機関車と軍用車のスケッチ三昧だった大塚少年。
でも実はそれだけでなく、他にも雪舟の墨絵や仏像を描いたり、のらくろを描いたり、風刺漫画を切り抜いて集めたり、その関心は多岐にわたっていました。
そんな中で、「他人がどんな絵を描くのか」ということにも関心を持っていて、こんな実験をしたことがあるそうです。

陸軍二式単座戦闘機 「鍾馗」
将来、アニメーションの道へ進むことなど考えてもいなかった頃に、「人が絵を描くこと」の本質に迫る試みをしていることがすごいと思います。
少年時代の観察・分析は、作画監督になって、アニメーションに関わる大勢の個性ある人たち、中でも宮崎駿さんと高畑勲さんと共に作品を生み出す時に、大いに役立ったのですね。
異色の経歴、麻薬取締官事務所に勤めていた時期もあった


しかしその後、過労で結核にかかり、2年間の療養生活を送ることになってしまいます。その時期は読書三昧だったそうです。
体の調子が良くなってきたころ、映画館で、ロシアのアニメ映画「イワンと仔馬」やフランスのアニメ映画「やぶにらみの暴君」を観てアニメーションに興味を持ち始めます。
奇しくも、その頃に読売新聞に載っていた東映動画の小さな記事を見つけ、アニメーションの世界へ転職を決意するのです。
アニメーター大塚康生
東映動画に入り、仕事に明け暮れた大塚さん。
もともと画力がある上に、「作動原理」をふまえた人物の動きを正確につかむ能力と合わせ、大塚さんはアニメーターとしてメキメキその頭角を現していきます。


大塚アクション

『カリオストロの城』をめぐるエピソードいろいろ
この映画は宮崎駿の第一回劇場監督作品となっていますが、当初は作画監督の大塚康生さんが監督をする予定でした。
ところが先にあがってきた映画のシナリオは、キャラクターの解釈も軽く、大塚さんが納得する内容ではありませんでした。
監督を引き受けた宮崎さんは、早速『カリオストロ』のイメージボード作りを始めます。
車が得意な大塚さんの特徴を生かすアイデアを考えていたようです。

フィアット500 大塚康生ルパン三世作画集

愛車フィアットと若き日の 大塚康生さん

シトロエン・2CV

宮崎駿監督と2CVシトロエン

鈴木敏夫プロデューサーから見た大塚さんと宮崎さん

ほぼ日刊イトイ新聞 - ジブリの仕事のやりかた。
『カリオストロの城』ポスター裏話

