ビートたけし原作の宗教を扱ったコメディ映画『教祖誕生』
1993年11月20日公開の映画『教祖誕生』。
ビートたけしの小説が原作。なお本人も出演している。
北野武監督の下で助監督を務めていた天間敏宏監督の第一作で、北野組のスタッフ、キャストが多く関わっている。
また、脚本は加藤祐司と中田秀子の共同。音楽は元チェッカーズの藤井尚之が担当している。

ビートたけし著 『教祖誕生』
本作はコメディであり、シニカルな視点で、有象無象の新興宗教団体が描かれている。
ユーモア溢れる皮肉を通じて、本作で登場する教団内の凶暴性を際立たせるなど、シリアスな面も合わせ持った映画である。

映画 『教祖誕生』
『教祖誕生』 あらすじ

真ん中が萩原聖人演じる高山和夫

右が教祖様(下条正巳)、左が教団を操る司馬大介(北野武)

教団に全てを捧げ、教祖様を崇拝している駒村哲治(玉置浩二)
下條演じる教祖は、元ホームレスの老人だ。
彼はサクラを使って、車椅子の人の脚を治す「お手当て」の儀式を、その内に本気で使えると錯覚し、末期がん患者などに独断で施したりする。
しかし、「お手当て」の際に使用する光(実際にはバッテリーによる電光)を相当量がん患者に浴びせてしまい、死なせてしまう(遺族にはバレなかった)。
それらの彼の行為は、人の為に尽くすといった心やある意味で人間性を捨て去るという超越者的な要素はなく、ただの功名心による行動だった。
結局、司馬や呉にとっては勝手な行動を取り、言うことを聞かずに酒浸りの使えない教祖でしかなかった。その後、教祖の座からは下ろされ、教団を追い出される。

インチキの「お手当て」儀式を行い、大量の電気を大病を患っている人に浴びせた!

教団の野外での活動行為に因縁をつけてきた男(寺島進)。呉(岸部一徳)が殴る蹴るで追い払う
司馬は教祖など誰にもなれると、和夫を二代目の教祖に仕立て上げる。
司馬に言いくるめられ、しぶしぶ教祖役を務める和夫だったが、徐々に教祖の自覚が出始め、断食を行ったり、先代の教祖同様にインチキである「お手当て」の儀式を、足の悪い教団関係者に対して行い、本当に治そうとするなどしていく。

滝に打たれる荒行も敢行した

あくどくてズル賢い司馬。和夫は少し覇気のない青年に見えたが・・・
だが、和夫の行う断食すらも金儲けのイベントにしようとする司馬。
他にも本来ありがたい筈の偶像物を、安価に大量生産し、信者に高値で売ろうとする。また、愛人と思われる教団関係者の女性の娘・朋子(国舞亜矢)にも手を出すなど、教団を私物化していた。
その一連の行為を信仰心の強い駒村は許せず、遂に司馬へ反抗する。
司馬が売り出そうとしていた偶像物のダンボールを全て燃やしてしまうのだ。
より司馬と険悪になっていく駒村だった。

司馬は朋子(国舞亜矢)にも手を出す
ある時、教団内の駒村の部屋から司馬の怒鳴り声が響き、騒然とする一同。
どうやら司馬は愛人の娘・朋子を使い、いわゆるハニートラップを仕掛けたようだった。
結局、信仰心があっても性欲に負け、女性と交わった駒村を激しく叱責する司馬。
駒村は呆然とするが、あまりにも侮辱され、ついに怒りが爆発する。
自分の部屋に戻った司馬を、ハサミを持って追いかける駒村。
しかし、駒村は司馬と争う内に、刺し殺されてしまう。
司馬もさすがに肩を落とし、刑務所行きを覚悟する。

映画 『教祖誕生』
司馬が警察に捕まった後は、教団No.2だった呉が教団を取り仕切っていこうとする。
本心では司馬が邪魔だったようで、徐々に自身が教団を動かしている実感を持ち始める。
が、まさに神になったかのような和夫は、淡々と彼を説き伏せ、教団から追い払う。
その後は「真の」教祖として教団を続けていくのであった。

すっかり教祖様になってしまった和夫だった

司馬は出所後、懲りずに初代教祖とまたインチキ宗教を始める・・・
作品データ
監督 天間敏宏
脚本 加藤祐司、田中秀子
公開 1993年
配給 東宝
時間 95分
出演 萩原聖人、ビートたけし、岸部一徳、玉置浩二、下條正巳等
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