【スター選手の引退試合・ヤクルト編】(若松勉・尾花高夫・池山隆寛)

【スター選手の引退試合・ヤクルト編】(若松勉・尾花高夫・池山隆寛)

スター選手の引退試合、現役最後の試合をまとめています。ここではヤクルトスワローズを支えた若松勉、尾花高夫、池山隆寛選手の引退試合を紹介します。毎年何百人というプロ野球選手が入団し、そして引退していきます。「私、引退します」と言ってプロ野球生活に別れを告げられる選手はほんの一握り、更に言えばこの様な「引退試合」「引退セレモニー」を行える選手などはごく一部。そんな特別な選手の特別な試合をどうぞご覧ください


【若松勉】ヤクルト一筋の小さな大打者

社会人野球「電電北海道」を経て1970年のドラフト3位でヤクルトアトムズに入団した若松勉選手。本人は社会人5年間を経てもプロ入りの声がかからなかったことと、公称168cmという小さな体の為、プロでやっていく自信はなかったと言います。ですが、プロ入りする以前から若松の素質に目をつけていた中西太ヘッド兼打撃コーチとのマンツーマントレーニングで猛練習を積み重ねた若松勉選手は1年目からレフトのレギュラーを獲得。。規定打席不足ながら112試合に出場して打率3割を記録。2年目の1972年には打率.329、リーグ2位の20盗塁という成績を残して首位打者を獲得。3年目は全試合出場を果たし、リーグ5位の打率.312で3年連続で3割を獲得するなど一気にリーグを代表する選手となっていきました。

毎年の様に3割を突破し、個人としての記録は残していたのですが、それに対して当時のヤクルトはBクラスの常連でした。しかし、1977年に若松選手が2度目の首位打者を獲得するなど大活躍した事もあり、ヤクルトは2位に躍進。そして翌1978年には若松勉選手は大杉勝男選手、チャーリー・マニエル選手らと共に強力クリーンナップを形成。リーグ2位の打率.341を記録するなど活躍し、チームは開幕から129試合連続得点という記録を打ち立ててヤクルトは球団創設初のリーグ優勝。若松選手はセ・リーグMVPに選ばれました。続く、阪急ブレーブスとの日本シリーズで、若松選手は第5戦に本塁打を放って勝利に貢献。シリーズ第7戦までもつれた対決はヤクルトが勝利し、初の日本一。若松選手は日本シリーズの優秀選手賞を獲得しました。

コンスタントに三割以上の好成績を残してきた若松選手は1985年10月9日の対阪神戦で史上21人目となる通算2000本安打を達成します。1986年からコーチ兼任。腰痛の影響もあって守備につくことが難しくなった若松選手は、晩年代打の切り札として活躍。通算代打成績は打率.349(258打数90安打)12本塁打70打点という驚異的な成績を残しています。

ヤクルト一筋19年、42歳まで現役を全うした若松選手は1989年に現役引退。その通算打率.31918は歴代2位であり、日本人選手としては歴代最高記録となっています。(4000打数以上が対象、NPBの最高記録はレロン・リーの.320)。首位打者:2回 (1972年、1977年)2173安打
また、若松選手が着用していた背番号1をその後着用したのが、下記の池山隆寛選手。その後岩村明憲選手・青木宣親選手・山田哲人選手と受け継がれていったところからヤクルトスワローズにとって特別な番号となっています。

現役引退後にヤクルトの打撃コーチや二軍監督を務めた若松さん。選手意で実直な人柄から選手からの人望も厚勝ったと言います。そして1999年からは監督に就任。2001年にはチームを日本一に導いています。リーグ優勝・日本一達成の時に監督インタビューで語った「ファンの皆様、おめでとうございます」というスピーチは今もスワローズファンの心に残る名スピーチとなり、2015年に真中監督の下でリーグ優勝を果たした時もこの名言が使われたのです。

【尾花高夫】ヤクルト低迷期 を支えたエース

社会人の新日本製鐵堺硬式野球部を経て、ドラフト4位でヤクルトスワローズに入団した尾花投手。尾花投手が入団した1978年シーズン、ヤクルトスワローズは球団史上初のリーグ優勝・そして日本一を達成するのですが、尾花選手自身は7試合に出場し、1勝0敗に終わり「優勝を経験した」とは言い難い成績でした。この年をピークに、ヤクルトは次第にチーム順位を下げていく、いわば長い「暗黒時代」に突入していきます。そんな苦しいチーム状況の中で、尾花選手はチームのエースとして活躍。1982年〜1985年まで4年連続2桁勝利を達成するのです。

先発投手としての起用が主でしたが「2203イニング連続押し出し四球無し」という記録が示すように、制球力に優れていたことから、リリーフとして登板することもありました。また、尾花選手は1988年には開幕投手として巨人との開幕戦に先発。このシーズンから使用が開始された東京ドームでのプロ野球公式戦勝利投手第一号となっています。
1991年に現役を引退。通算112勝135敗29セーブと負け数が先行しているのは、チーム状況により援護を得られなかった事とも無関係ではないと言われています。また、皮肉なことに、尾花高夫さんが引退した翌1992年、野村克也監督の「ID野球」が浸透したヤクルトスワローズはリーグ優勝を達成しています。

引退後は、下記の様に様々な球団で投手コーチを歴任した尾花さん。

【尾花高夫 コーチ歴】
千葉ロッテマリーンズ (1995 - 1996)
ヤクルトスワローズ (1997 - 1998)
※1997年リーグ優勝・日本一に貢献
福岡ダイエーホークス、福岡ソフトバンクホークス (1999 - 2005)
※5度のシーズン1位、3度のリーグ優勝、2度の日本一に貢献
読売ジャイアンツ (2006 - 2009)
※2007年~2009年のリーグ3連覇に貢献

尾花高夫さん(横浜監督時代)

その手腕を高く評価された尾花さんは2009年シーズン終了後、横浜ベイスターズの監督就任を要請されます。この時、まだ巨人のコーチとしての契約が残っていたものの、球団間の交渉を経て2010年シーズンから横浜の監督に就任。『アナライジング・ベースボール(分析野球)』のスローガンを掲げて、采配を振いますが、結果は2年連続最下位。責任を取る形で辞任します。その後2013年から巨人の二軍投手総合コーチに就任。2016年からは巨人の一軍投手コーチに就任して後輩の指導に当たっています。

【池山隆寛】ヤクルトの黄金期を支えた「ブンブン丸」

池山隆寛選手は、尼崎市立尼崎高等学校を経て、1983年度ドラフト会議にてヤクルトスワローズから2位指名を受けて入団。入団2年目から守備固めなどで出場を続け、1987年シーズンでは127試合に出場し、ショートのポジションを獲得します。1988年に31本塁打を放ったのを皮切りに5年連続でホームラン30本以上を記録します。(1982年34本、1983年31本、1984年32本、1985年30本)1990年には打率.303・31本塁打・97打点という記録を残し、ショートとしては史上初の「3割30本」を記録します。この様に池山選手がリーグを代表する選手となっていきましたが、チームは1978年以来、長くリーグ優勝から遠ざかっていました。

関連する投稿


【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

プロ野球選手が引退後、タレントとして新たな道を歩むケースは数多く見られます。その中には、俳優業にまで進出し、映画やドラマで活躍する人も少なくありません。今回は筆者の独断と偏見に基づき、人気ドラマに出演した元プロ野球選手の中から、特に印象に残っている面々をご紹介します。


「ニューモモコ」グランプリに選ばれCM、グラビアで活躍した『古川恵実子』!!!

「ニューモモコ」グランプリに選ばれCM、グラビアで活躍した『古川恵実子』!!!

1992年にニューモモコグランプリに選ばれCM、グラビアで活動されていた古川恵実子さん。2010年3月頃まではラジオDJを担当されていましたが、以降メディアで見かけなくなりました。気になりまとめてみました。


田村正和主演のドラマ「さよなら、小津先生 」の名子役『池田 貴尉』!!

田村正和主演のドラマ「さよなら、小津先生 」の名子役『池田 貴尉』!!

数々の作品で名子役ぶりを発揮した池田貴尉さんこの方も引退されています。懐かしく思いまとめてみました。


ドラマ「女王の教室」では6年3組の児童・山下健太役を演じた『西原信裕』!!

ドラマ「女王の教室」では6年3組の児童・山下健太役を演じた『西原信裕』!!

天海祐希さん主演の学園ドラマ「女王の教室」では山下 健太役でレギュラー出演され2018年頃まで芸能活動をされていました。懐かしく思いまとめてみました。


ドラマ「 テツワン探偵ロボタック」で雪柳カケル 役を演じた『村上悦也』!!

ドラマ「 テツワン探偵ロボタック」で雪柳カケル 役を演じた『村上悦也』!!

1998年3月から放送された特撮ドラマ「テツワン探偵ロボタック」で雪柳カケル 役で子役デビューした村上悦也さん。実はドラマ2作で芸能界を引退されています。懐かしく思いまとめてみました。


最新の投稿


プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

プロレス界の歴史が動く今こそ読むべき一冊! 『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』2025年12月18日(木)発売!

新日本プロレスの“100年に一人の逸材”棚橋弘至氏による著書『ようこそ、プロレスの世界へ 棚橋弘至のプロレス観戦入門』が2025年12月18日にKADOKAWAより発売されます。引退が迫る棚橋氏が、26年の現役生活で培った視点から、プロレスの魅力、技の奥義、名勝負の裏側を徹底解説。ビギナーの素朴な疑問にも明快に答え、プロレス観戦をさらに面白くする「令和の観戦バイブル」です。


ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

ウルトラふろく200点以上を一挙収録!『学年誌 ウルトラふろく大全』発売

小学館クリエイティブは、ウルトラマンシリーズ60周年、『小学一年生』100周年の節目に『学年誌 ウルトラふろく大全』を11月28日に発売しました。『ウルトラQ』から『ウルトラマン80』までの学年誌・幼児誌のウルトラふろく200点以上を網羅的に掲載。組み立て済み写真や当時の記事も収録し、ふろく全盛時代の熱気を再現します。特典として、1970年の人気ふろく「ウルトラかいじゅう大パノラマ」を復刻し同梱。


伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体 UWF40周年記念イベント“無限大記念日”開催!

伝説のプロレス団体『UWF(ユニバーサル・レスリング・フェデレーション)』が、設立40周年を記念し、特別イベント「無限大記念日」を書泉ブックタワー(東京・秋葉原)にて開催します(2025年12月24日~2026年1月12日)。第1次UWFの貴重な試合映像や控室、オフショットなど、4,000枚以上のアーカイブから厳選された写真が展示されます。復刻グッズや開催記念商品も販売され、当時の熱狂が蘇ります。


グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

グラニフ×『幽☆遊☆白書』初コラボ実現!幽助、蔵馬、飛影など全21アイテム登場

株式会社グラニフは、TVアニメ『幽☆遊☆白書』との初コラボレーションアイテム全21種類を、2025年12月2日(火)より国内店舗および公式オンラインストアで販売開始します。主人公の浦飯幽助をはじめ、桑原、蔵馬、飛影のメインキャラクターに加え、戸愚呂、コエンマなど欠かせないキャラクターをデザイン。11月26日より先行予約も開始され、ファン必見のラインナップです。


全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

全長20cmの迫力!1/18スケール『国産名車コレクション』創刊

アシェット・コレクションズ・ジャパンは、隔週刊『1/18 エクストラスケール 国産名車コレクション』を2026年1月7日に創刊します。全長約20cm、1/18スケールのダイキャスト製で、日本の自動車史を彩る名車を精巧に再現。ボディラインやエンジンルーム、インパネなどの細部ディテールにこだわった「エクストラ」なコレクション体験を提供し、マガジンでは名車の開発秘話や技術を深掘りします。