テクモ版キャプテン翼の5作品目
「キャプテン翼Ⅴ 覇者の称号カンピオーネ」は、1994年にテクモから発売されたスーパーファミコン用ソフトだ。
前作、「キャプテン翼Ⅳ プロのライバルたち」の続編にあたり、翼がブラジルのサンパウロからイタリアのレッチェに移籍した後のストーリーが展開されていく。
1994年12月9日発売。セリエA、アジアカップ、ワールドトーナメントの各パートに分かれるほか、日向、若林、シュナイダーなどの人気キャラのサブストーリーも存在する。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%B3%E7%BF%BC_(%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0)#.E3.82.B9.E3.83.BC.E3.83.91.E3.83.BC.E3.83.95.E3.82.A1.E3.83.9F.E3.82.B3.E3.83.B3キャプテン翼 (ゲーム) - Wikipedia
原作のワールドユース編の影響を受けた作品

キャプテン翼ワールドユース編
実はこの年から、原作の続編である「キャプテン翼ワールドユース編」が週刊少年ジャンプで復活した。
その結果、これまでのテクモ版「キャプテン翼」では原作無印のその後のストーリーをテクモが独自に描いていたため、原作との間に齟齬が生じてしまったのだ。
そのため、このゲームでは前作までのテクモ版を踏襲しつつも、原作の「キャプテン翼ワールドユース編」との兼ね合いを意識したような作りになっている。
ゲームシステム大幅変更
「キャプテン翼Ⅴ 覇者の称号カンピオーネ」では、ユーザーインターフェイスが大きく変更されたために戸惑う人も多かったかもしれない。
百聞は一見にしかず。
過去作と画像を比較してみよう。

これが前作までの基本的な試合画面。
次が今作での試合画面である。

従来の「キャプテン翼」では画面下半分に表示された擬似的なフィールド上のマーカーを動かすことで進行していたが、今作ではキャラそのものを動かすようになった。
ウイイレなどの一般的なサッカーゲームのようになったわけである。
また、過去作ではタックルなどを選択すると攻撃側と守備側の対決シーンが表示されていたが、今作ではフィールド画面上で選手がそのままタックルやパスカットの動きをするようになっている。
そのため、試合がかなりスピーディーに展開されるぞ。
テクモ版「キャプテン翼」らしさはそのまま

一方で、必殺技を選択した際の演出は従来通りだ。
新旧織り交ぜた新しいキャプテン翼が展開されていく。
過去作のオリジナルキャラが大リストラ!

これまでのテクモ版では、原作には登場しないオリジナルの外国人キャラが多数登場してきた。
しかし、漫画の「キャプテン翼ワールドユース編」が始まった影響で、そのオリジナルキャラたちの多くが今作では登場しなくなっている。
原作との整合性に苦慮した結果なのだろう。
『キャプテン翼 ワールドユース編』として連載が再開された影響で、前作までに展開されていたゲームオリジナルの要素(選手・必殺技など)が大幅に改変・削除されている。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%97%E3%83%86%E3%83%B3%E7%BF%BC_(%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0)#.E3.82.B9.E3.83.BC.E3.83.91.E3.83.BC.E3.83.95.E3.82.A1.E3.83.9F.E3.82.B3.E3.83.B3キャプテン翼 (ゲーム) - Wikipedia
選手名がカルロスからサンターナに

選手の改変で代表的なのは、ブラジル代表のカルロス・サンターナだ。
「キャプテン翼Ⅱ」で初登場して以来、彼はずっとカルロスという名前で翼のライバルとして立ちはだかってきた。
しかし、漫画の「ワールドユース編」ではサンターナという名前で呼ばれていたため、今作からはサンターナという表記に変更された。
前作まで金髪だった見た目も、原作に合わせてダークブラウンの髪になっている。
ちなみに、カルロス・サンターナはゲームのオリジナルキャラではなく、1986年に放映された劇場版アニメで先行登場したキャラだ。
過去作のラスボス級が不参加&弱体化

過去作のⅡからⅣまでに登場してきたラスボスたちも、今作では多くが未登場または弱体化されている。
Ⅱでスーパーストライカーと呼ばれ圧倒的な存在感を発揮していたコインブラも、今作では引退を考えるほどの重大な怪我を負い、試合には一切出場しない。
Ⅲで日本を苦しめたドイツ代表は、カペロマン、メッツァ、ボブルセン、フライハイトなど、必殺技持ちの強キャラたちが軒並み削除された。
Ⅳでストーリー上の重要な役割を担い、分岐ルートによっては最後の敵となっていたストラットも、今作では必殺技のメガゾーンシュートがさほどの脅威ではなくなり、かなり弱体化されてしまったのだ。
スター軍団だったブラジルが・・・

スタメン11人中10人が必殺技持ちというタレントの宝庫・ブラジル代表が、Ⅴになると大半が初めて名前を見る新キャラに入れ替わっている。
おなじみの選手はゲルティスくらいで、ネイやザガロ、サンタマリアにディウセウといったⅡから皆勤で参加してきたキャラがほとんど登場しない。
これは、このゲームが発売された時点では原作の「ワールドユース編」に今後描かれるであろうブラジル代表選手がまだ登場していなかったため、ゲームオリジナルのキャラを入れて原作の世界観を壊してしまわないための措置だったと思われる。
伝説のチーム「カンピオーネ」

そんな「キャプテン翼Ⅴ 覇者の称号カンピオーネ」では、サブタイトルにもなっているカンピオーネというチームが全日本のライバルとして登場する。
カンピオーネとは、イタリア語でチャンピオンの意味。
このゲームでは、世界中から一流の選手だけを集めた精鋭軍団の名前となっている。
新田くんがラスボス!?

そのカンピオーネに、なんと日本から新田くんが選抜されているのだ。
新田くんと言えば、原作の無印でも翼に対してライバル心をむき出しにし、静岡県大会の決勝戦ではノートラップランニングボレー隼シュートを完成させて南葛中を苦しめてきた。
代表レベルになると目立った活躍ができなかった新田くんだが、その天性の才能をカンピオーネのジョアン監督に見出され、最後の敵になって立ちはだかるのだ。
ジョアン監督の最高傑作・アルシオン
カンピオーネの最大の強敵は、MFのアルシオンだ。
数々の必殺技を繰り出す彼は、ジョアン監督の最高傑作と呼ばれている。
必殺シュートを放つ時のかけ声は「くだけちれ!」。
もはやサッカーの試合とは思えない。
最後にチームワークの力を思い知る
ジョアン監督は世界中から最高の技術を持った選手たちを集め、カンピオーネを結成した。
しかし、それは個々の能力に頼った個人技だけのサッカーだ。
全日本に思わぬ苦戦を強いられたアルシオンたちは、最後にチームワークを見せることになる。
チームワークを覚えた最強のサッカー軍団に、翼たち全日本は勝つことができるのだろうか。
最後の作品となった「キャプテン翼Ⅴ 覇者の称号カンピオーネ」
この「キャプテン翼Ⅴ 覇者の称号カンピオーネ」では、それまで築き上げてきたテクモ版のオリジナルキャラやストーリーが連載開始した原作の「キャプテン翼ワールドユース編」にそぐわない部分がどうしても出てきてしまっていた。
そうした部分を抱えつつも、一本の物語として見事に完結させているストーリーはさすがである。
しかし、原作が復活したことで、これまでテクモが独自に作ってきたキャプテン翼のストーリーは正史として存在しえなくなってしまったのも事実である。
テクモ版「キャプテン翼」はこれが最後の作品となってしまったが、原作とともに語り継がれるべき名作として、ファンの記憶には残り続けるだろう。