物語の舞台は2つの大地
「ドラゴンクエストⅥ 幻の大地」は、ドラゴンクエスト6作目、天空3部作の3作目として発売された。
その最大の特徴は、サブタイトルにもなっている「幻の大地」の存在だ。
主人公は上の世界の住人であり、旅の途中で下の世界を知ることになる。
「ドラゴンクエストⅥ 幻の大地」の物語は、上の世界と下の世界を行き来しながら展開されていくのだ。
上の世界=夢の世界

ストーリーは上の世界のライフコッドという村からスタートだ。
ここで主人公は、とある用事で村を出ていくことになる。
そこでこの世界とは違う下の世界を発見し、それこそが「幻の大地」であることを知るのだ。
しかし、実は「幻の大地」こそが現実の世界。
主人公たちがいる上の世界は、現実の世界から生み出された夢の世界であることが明かされていく。
下の世界=現実の世界

「幻の大地」と呼ばれていた下の世界こそ現実の世界。
主人公たちは夢の世界に精神を分離させられていたため、現実の世界では「ゆめみのしずく」というアイテムを振りかけないと姿を見ることができないのだ。
夢の世界と現実の世界を行き来することで冒険が広がっていき、現実世界での出来事が夢の世界に影響を与えたりすることもある。
個性豊かなキャラクターたち
「ドラゴンクエストⅥ 幻の大地」では、個性豊かなキャラたちが躍動する。
固定の人間キャラ以外にもモンスターも仲間にすることができるので、誰をパーティから外すかで悩んだ人も多いだろう。
ここでは、人間のパーティメンバーたちを紹介していこう。
主人公

本作の主人公で、夢の世界のライフコッドに住む若者だ。
現実世界での正体はレイドック城の王子で、魔王ムドーに敗れたために精神を夢の世界に切り離されてしまった。
本作では、勇者になるためには多くの職業をマスターしなければならないのだが、主人公だけが勇者への道を大幅に短縮できるという特性を持っている。
ハッサン

現実世界のサンマリーノに住む大工の息子。
大工稼業を継ぐことを嫌って家を飛び出し、主人公とともに魔王ムドーに挑むことになった。
夢の世界ではレイドック城の兵士に志願して主人公と出会い、旅をすることになる。
ミレーユ

テリーの姉にして夢占い師グランマーズの弟子。
元々は悪政を敷いていたガンディーノ国の出身だった。
その美貌から国王に売られた後、皇后の嫉妬を買って奴隷の身分に落とされ、脱獄して生き延びてきたという波乱万丈な経歴の持ち主だ。
戦闘では混乱が効かないという特性を持っている。
バーバラ

バーバラはドラゴンクエスト6のストーリーにおける重要なキーパーソンだ。
魔法都市カルベローナに住んでいたが、大魔王デスタムーアに滅ぼされて精神だけの存在となった。
記憶喪失の状態でさまよっていたところで主人公たちと出会い、共に冒険していくことになる。
カルベローナやゼニスの城では彼女特有のイベントがあるため、ルイーダの酒場に預けることはできず、バシルーラも効かない。
チャモロ

ゲント族の少年でパーティの最年少。
パーティ加入時に所持しているゲントの杖はベホイミの効果があり、この杖にお世話になったプレイヤーも多いだろう。
テリー

ミレーユの弟にして伝説の剣を探して旅をする剣士。
主人公とはさまざまな場所で顔を合わすことになり、最強の剣士として大きなインパクトを残していく。
しかし、加入時期が遅いわりに初期レベルが低く、実際に仲間になるとあまり強くない・・・というよりむしろ弱い方で、「ドランゴ引換券」などと呼ばれることも多い不憫なキャラだ。
アモス

このアモスは条件次第で加入する仲間だ。
モンストルの町をモンスターから守っている戦士なのだが、夜な夜な町を襲っていたのは寝ている間にモンスターに変化していた彼自身だった。
その事実をアモス本人に告げるかどうかで彼の行く末が決まる。
ドランゴ

かつてテリーが退治したバトルレックス。
テリーを仲間にしている状態で話しかけると仲間になる。
仲間になった時点でテリーよりもはるかに能力が高いため、テリーが「ドランゴ引換券」と揶揄される一因となった。
自分探しのストーリー

「ドラゴンクエストⅥ 幻の大地」では、ムドーを倒すというのが当初の目的だ。
それを果たすと、その後のストーリーに明確な目的はない。
本当の自分を見つけるために世界中を自由に旅していくのだ。
始まりはムドーとの決戦から
ゲームを始めると、主人公・ハッサン・ミレーユの3人でムドーに挑むイベントが流れる。
実はこれは現実の世界で起こった出来事。
ここでムドーに精神を夢の世界へ運ばれてしまった主人公は夢の世界のライフコッドで目覚め、再びムドーを倒しに行くのだ。
ムドーとの戦い

ここではオープニングで流れた現実の世界での戦いと違い、チャモロが仲間になっている。
さらにバーバラもパーティにいるのだが、ムドーとの戦いの前になぜか離脱してしまう。
いざ、自分探しへ

ムドーを倒した後は自分自身を探す旅に出ることになる。
ここから先は決められた攻略順はなく、プレイヤーは自由に世界を回っていくのだ。
バーバラの正体は黄金のドラゴン?

この「ドラゴンクエストⅥ 幻の大地」では、作中で明確に語られていない部分が多いことも特徴だ。
たとえばムドーと戦う前にバーバラが離脱するシーンでは、なぜバーバラがパーティを離れたのか、ゲーム内では一切語られていない。
ファンの間では、ミレーユがオカリナを吹いて呼んだ金のドラゴンがバーバラの本来の姿であり、主人公たちをムドーの城へ運ぶためにバーバラがパーティから離脱したという説がまことしやかにささやかれていた。
しかし、この説は堀井雄二が「バーバラ=金のドラゴンという設定で作っていた時期もあった」と近年になって語ったこともあり、今では否定されている。
しかし、作中ではあえてそのことを曖昧にすることで、プレイヤーに想像の余地を残したとのことである。
発売から長い年月が経った今もこうしたストーリーの解釈が話題に上がることが、この作品の人気の証と言えるのではないだろうか。