音楽センスの塊、天才シンガーソングライター林田健司
一般的にはSMAPをはじめ、Kinki kids、タッキー&翼、関ジャニ∞など、ジャニーズ事務所所属アーティストへの楽曲提供で知られている林田健司。
軽快な16ビートをフィーチャーしたファンキーな楽曲を作り、ソングライターとして高い評価を受けている。
そのあまりに突出した楽曲制作スキルによって、作詞家・作曲家としての知名度が高い林田健司であるが、特徴な美声や歌唱力、さらに秀でたルックスによって自らも多くのファンに支持されているシンガーでもある。

林田健司(はやしだ けんじ)
デビュー当時の林田健司
1990年、中山美穂へ提供した『泣かない指輪』で作家デビュー。(作曲)
また、デビュー前だったがNHKの「みんなのうた」で自身が作曲した『遊園地』を歌っていた。
1991年7月25日、BMGビクターよりシングル『SHERRY』で歌手デビュー。
その甘いハイ・トーン・ヴォイスでヴォーカリストとして注目を集める。
1991年8月7日、デビューアルバム『RAPHLES(ラフレス)』発売。
アルバム名を『RAPHLES』と名付けたことについて、林田自身は初期のファンクラブ会報にて「若い頃、音楽活動を継続するかどうか悩んでいたとき、たまたまデパートの屋上にある100円占い機を試したところ『アナタノカイウン(開運)ノキーワードハRAPHLESデス』と書かれていたから」と述べている。
林田健司とSMAP、両者の運命を大きく変えた『$10(テンダラーズ)』
元々は『$10』は林田健司が1992年に発表したセカンドアルバム『Unbalance RAPHLES II』に収録されていた。
間違えられることが多いが、『$10』は「テンダラー」ではなく、「テンダラーズ」である。
SMAPメンバーだった森且行がコンサートのソロで『$10』を好んで歌っており、それがきっかけとなりSMAPがシングル曲としてリリースすることになったという。
(林田健司もコーラスとギターでSMAPシングルに参加している。)
デビューからポップなアイドルソングを歌うことが多かったSMAPだが、あまりヒット曲には恵まれず、10枚目シングル『$10』でイメージを変えてセクシーで大人な内容の楽曲を歌いCDセールスを伸ばすようになった。
SMAPメンバーの中居正広は後に林田健司との対談で、「あ、いい感じになってきたなぁって思ったのは$10からです」と感謝を述べ、林田は「(SMAPに)最初っから似合うと思ってました。」と語っている。
『$10』を皮切りにSMAPは『君色思い』、『KANSHAして』、『青いイナズマ』と林田からの楽曲提供が続いていき、林田健司の音楽的才能は業界に広く知れ渡っていった。
なお、林田健司がSMAPへ提供した最初の曲はこの『$10』であるが、実はそれ以前に「曲書いて」と頼まれ制作した曲があったがボツになってしまったと林田自身が明かしている。
林田健司がSMAPに提供した楽曲リスト
『青いイナズマ』が約81万枚の大ヒット曲になったが、以降SMAPへの楽曲提供は行われていない。
私自身が林田健司を大好きであることもあり、SMAPの楽曲は『$10』から『青いイナズマ』までの時期が一番好きである。
SMAPは2016年末をもって解散した。
林田は、Kinki kids、タッキー&翼、関ジャニ∞、ABC-Zなど、ジャニーズ事務所所属アーティストへの楽曲提供は続けており、関係値は良好だっただけに解散までにもう一曲SMAPへの提供を実現して欲しかった。
郷ひろみ・中森明菜などにも楽曲を提供している林田健司
SMAPを中心にジャニーズへの楽曲提供が印象として強い林田健司だが、実は郷ひろみ、中森明菜、中山美穂、杏子、MISIAなど男女問わず多くのアーティストへ楽曲を提供している。
疾走感のあるノリノリなポップスだけでなく、大人のミディアムバラードまで幅広い曲を制作できる才能を発揮。
アーティストに合わせ、様々なジャンルやテイストの音楽にトライしているが、どこかで古さや懐かしさとも異なる林田健司らしい『粋』な雰囲気を感じさせるところが共通している。
作曲は最初にある程度のイメージを固めて、サビからではなくイントロから作り始めるとのこと。
聴いて欲しい!シンガー林田健司セレクション
楽曲提供者として裏に隠れてしまいがちな林田健司が自身で歌った作品について、スポットライトを当ててみたい。
自身が歌う曲はブラック・テイストを感じさせるファンキーなものが多い。
ロックをやっていた頃に自分の作る曲の『薄っぺらさ』を感じてしまい、その原因は『リズムが足りないんだ』と気付いた。そこで、ロックっぽさを残しながら踊れる感じを追求し、築きあげたスタイルであると語っている。
「なんかリズムとっちゃう」「なんか楽しくなっちゃう」、そういう人間を動かすようなものを目指しているとのこと。
林田健司いわく、一言で表現すると『腰にグッとくる感じ』。
セクシーなハイトーンヴォイス、こぶしを効かせる豊かな歌唱力と表現力を持ち、林田健司はヴォーカリストとしても間違いなく超一流である。
跳ねるグルーヴを書かせたら右に出るものはいない作曲能力や、女性ファンを魅了する秀でたルックスと合わせ、天は林田健司に二物どころか三物も四物も与えてしまった。
だが、その実力ほどに『歌手・林田健司』の知名度は高くない。
「作っても凄い、歌っても凄い。なのになぜメジャーな存在ではないのか」という疑問が林田健司を知る多くの人に共通する意見である。
多くのアーティストに楽曲を提供した経験から、『ヒットするかどうかはタイミングと運で決まる』と林田健司は答えている。
きっと、才能を与えすぎたことに気付いた音楽の神様がその『タイミングと運』だけを林田健司から奪っていったのではないかと、私は密かに思っている。
歌手・林田健司を堪能できるベストアルバム
林田健司、2000年以降の活動
林田健司の妻で歌手の"Candee"こと高尾のぞみが1998年に劇症肝炎で急逝。
このことがきっかけで、2000年に休養宣言。
2001年、シングル『imaがよければいいんじゃない?』で活動再開。
ソロとしての活動のほかに、ユニット『東京コール・プロジェクト』(Kwenji Hayashida名義)や、ラテンファンクバンド『eroticao』ボーカル(KJ de la noche en estrellas名義)としても活動。
2009年7月に作家デビュー20周年を記念し、他アーティストへの提供曲によるセルフ・カヴァー・アルバム『WORKS』をリリース。
【林田健司「RE-WORKS」収録曲】
※カッコ内はオリジナル歌唱アーティスト。
01. イッツ マイ ソウル (関ジャニ∞)
02. 強引Love (郷 ひろみ)
03. 青いイナズマ (SMAP)
04. 落花流水 (中森 明菜)
05. スタミナ (ブラック・ビスケッツ)
06. ビロードの闇 (KinKi Kids)
07. 泣かない指輪 (中山 美穂)
08. Get or Loose (AAA)
09. Sa ら Sa (藤井 隆)
10. 夏模様 (KinKi Kids)
林田健司流 東日本大震災復興支援歌プロジェクト『 みんなの音がさね 』
『みんなの音がさね』とは、林田健司が投げ掛けたメロディーを会場に集まったみんなと一緒に更なるメロディーや歌詞を重ね合わせ、一曲の作品として完成させて、被災者の方々に直後みんなの気持ちの込もった音を届け、音楽の力、LIVEなどで元気を届けたい!という「想い」から始まった復興支援プロジェクト。
みんなの音がさね Official website
林田健司、現在の活動
2013年、沖縄の石垣島に移住。
石垣島をベースにしながら、全国各地でのイベントにも参加している。
「音楽を作りたい気持ちにさせてくれる」石垣島の海を窓から眺めながら作曲すると、都会にいた頃よりスムーズにできると語っている。
2015年3月11日、作家活動の25周年を記念し、他のアーティストに楽曲提供した作品をセルフカバーした『RE-WORKS』を発売。
【林田健司「RE-WORKS」収録曲】
※カッコ内はオリジナル歌唱アーティスト。
01. HOLIDAY(MISIA)
02. ANGEL'S VOICE(奥井雅美)
03. 泣かないで 僕のミュージック(関ジャニ∞)
04. 五四~いつ世の世まで~(夏川りみ)
05. TOKYO GIRL(荻野目洋子)
06.運命(東京女子流)
07. アトランティスの女神~Goddess of Love~(DIAMOND☆DOGS)
08. VICTORY(palet)
09. 時間旅行(タッキー&翼)
10. BAD FLOWER(東京女子流)
素晴らしい楽曲を作り続ける楽曲制作者、美しい声で胸に響く歌を届けるヴォーカリスト。
一人で二度おいしい、林田健司の活躍にまだまだ目が離せない。
Hayashida Kenji official site