高校野球史に残る大逆転試合~平成3年夏~沖縄水産対大阪桐蔭

高校野球史に残る大逆転試合~平成3年夏~沖縄水産対大阪桐蔭

高校野球史に残る大逆転試合をいくつか紹介しています。ここでは、平成3年夏の大会。沖縄水産対大阪桐蔭戦をとりあげます。当時春夏通じて優勝のなかった沖縄勢。2年続けて決勝に進出した沖縄水産高校に立ちはだかったのは創部4年目で甲子園初出場した大阪桐蔭高校。沖縄の悲願達成か?地元大阪代表の優勝か?満員の観衆の前で大熱戦が展開されます。


沖縄と甲子園

「ハイサイおじさん」のリズムに合わせて、鳴り響く指笛…。母校や出身校など関係なく、県民を挙げて代表校を応援する…というのはどこの県でもある事ですが、その「熱」が一番強いのは沖縄県代表だと言われています。それには理由があります。歴史的事由により、長く甲子園に出場する事すら認められなかった沖縄県代表でしたが、1958年、第40回記念大会で戦後初の沖縄代表として首里高校が参加。1回戦で敦賀(福井)に0-3で敗れたものの、大観衆はその善戦を称えました。
甲子園で敗戦したチームが甲子園の土を詰めて持ち帰るのですが、ここで「事件」が起こります。選手たちが持ち帰った甲子園の土が「外国の土は持ち帰ってはならない」とする「植物防疫法」に触れるとして那覇港で海に捨てられたのです。当時沖縄はまだアメリカの占領下にある「外国」だったのです。

甲子園の小石で…

この「悲劇」を伝え聞いた日本航空の客室乗務員の女性が、甲子園の小石を40個近く集め首里高校に届けます。検疫法にひっかかるのは、土のみで石は含まれませんでした。この時贈られた小石は野球場を模したモニュメント「友愛の碑」として、現在も首里高校の校内に飾られています。

「友愛の碑」(首里高校)

1972年に沖縄は本土に復帰するのですが、この首里高校の事件がきっかけの一つとなり、沖縄返還運動は全国的に広がりを見せていったと言われています。沖縄の人たちにとって、こういう事もあり甲子園というのは特別な場所だったのです。

沖縄勢初の決勝戦進出

1963年夏には、首里高校が沖縄勢の甲子園初勝利を挙げたものの「本土」の高校とは力の差が大きく、沖縄県勢が甲子園で優勝するというのはまだまだはるか遠い事でしたが、栽弘義監督率いる豊見城高校が1976年夏、77年夏、78年夏と3年連続でベスト8に進出するなど、徐々にその差は詰まっていき、興南高校。栽弘義監督が新たに監督を務めた沖縄水産高校が全国でも強豪チームとして名が知られる様になっていきます。そして第72回全国高等学校野球選手権大会(1990年)で、沖縄水産高校が甲子園大会で初めて沖縄県勢として決勝に進出します。この時の対戦相手は、名門・天理高校でした。

試合は、終始沖縄水産が押し気味に展開しながらも、天理高校が4回表に犠牲フライで得点。結果的にこの1点が決勝点となり、0-1とわずか1点差で敗れ、沖縄水産高校の全国制覇はなりませんでした。

沖縄水産・2年連続決勝進出

「沖縄の悲願」が達成されるのはまだまだ先かと思われましたが、第73回全国高等学校野球選手権大会(1991年)でも沖縄水産は快進撃を見せ、決勝戦まで勝ち上がります。2年連続の決勝戦進出に「今度こそ」と盛り上がり、決勝戦は平日にも関わらず、沖縄県から多数の島民が甲子園に応援に詰めかけたのです。

栽弘義監督

沖縄水産と対戦したのは大阪桐蔭高校。今では中村剛也、西岡剛、中田翔、浅村栄斗、藤浪晋太郎…といったプロ野球選手を多数輩出する強豪校ですが、この当時は甲子園に初出場した創部4年目の新設校でした。ただ、初出場と言ってもそこは、激戦の大阪の代表校。その実力は確かなもので、右サイドスローの和田選手、140キロ超右腕の背尾選手 の2枚看板と荻原選手 を中心に大会ナンバーワンの打撃力を有し、準々決勝で帝京高校、準決勝で星稜高校といった名門校を次々と撃破しての決勝進出でした。

ひじが折れても…

試合は壮絶な打ち合いとなります。1回裏、大阪桐蔭が2点を先制。沖縄水産も2回に1点を返すと、さらに3回には大量5点を奪い、4回終了時点では6-4と沖縄水産がリードしていました。

しかし、5回裏、玉山選手のセカンドゴロを2塁手がエラー。このミスに乗じて大阪桐蔭は犠打、萩原選手の右前安打で満塁。ここで沢村選手が走者一掃の2塁打を放ち、同点に追いつくと、そこから一気にたたみかけます。白石選手のショートゴロの間に沢村選手が生還。勝ち越しに成功すると、足立選手、和田選手の連続タイムリーも生まれ、この回一挙6得点をあげます。

沖縄水産も、8回に1点を返したのですが、反撃もここまで。試合は13-8で、またも沖縄水産は準優勝に終わったのです。

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