男なら、この美しいオープニングを見ずして死ねるか!スコセッシ&デ・ニーロ、究極のボクシング映画『レイジング・ブル』

男なら、この美しいオープニングを見ずして死ねるか!スコセッシ&デ・ニーロ、究極のボクシング映画『レイジング・ブル』

ロバート・デ・ニーロとマーティン・スコセッシの名コンビによる、究極のボクシング映画である。まずボクシングシーンが強烈だ。いつもながらデ・ニーロの理不尽なキレかたにも凄味がある。そしてなによりも、オープニングが素晴らしい。男なら、これを見ずして死ねないだろうと思えるほどの出色の出来だ(もちろん女性も!)。まさに観る人の人生の想いが投影できる“オープニング”である。是非!


マーティン・スコセッシとの名コンビで数々の名作を!

1973年の『ミーン・ストリート』でスコセッシと初顔合わせしたデ・ニーロはジョニー・ボーイ役で出演。ちなみに、デ・ニーロはブライアン・デ・パルマ監督にスコセッシを紹介されている。

1976年には、今も世界中の映画ファンを虜にして離さないアメリカン・ニューシネマ最後期の名作『タクシードライバー』に主演。都会の孤独の中で精神に異常をきたし、自己の存在を知らしめるために暴走するタクシードライバーを演じた。デ・ニーロはアカデミー主演男優賞にノミネートされている。

以後、 1977年の『ニューヨーク・ニューヨーク』、1980年の『レイジング・ブル』 、1983年の『キング・オブ・コメディ』 、1990年の『グッドフェローズ』、1991年の『ケープ・フィアー』、1995年の『カジノ』 と20年に渡ってスコセッシ作品の主演を務めている。スコセッシは、デ・ニーロを“ボブ”と呼び、とにかくその演技に絶対的な信頼をおいていた。“スケールの大きい俳優”で共演者を凌駕してしまう力強さがあると語っている。

『タクシードライバー』のポスター、カッコよすぎます。
誰もが“男は孤独なんだ”と悟ったポスターだ。

60歳を超えてからも数多くの映画に出演!とにかく尽きないその情熱に脱帽。

若い頃にすでにスーパースターになってしまった俳優は、歳のとり方が難しい。昔、スターでも50歳を過ぎると、見る影もない人は多い。しかし、デ・ニーロは関係ない。ずっと映画に出続け、輝きを放っている。主演、脇役に関係なくだ。もちろん、脇役でも圧倒的な存在感でどうしても目立ってしまうが、それは逆に主役の俳優が頑張ればいいだけのこと。とにかく、演技に対する情熱は衰えることはない。

2012年の『世界にひとつのプレイブック』(アカデミー賞助演男優賞ノミネート)、2013年の『マラヴィータ』(スコセッシ製作総指揮)、2015年の『マイ・インターン』(アン・ハサウェイとのダブル主演)が個人的にはおすすめ。硬軟なんでもできる演技力の幅も魅力といえるだろう。

『世界にひとつのプレイブック』では、ギャンブル好きの気のいい親父を好演。

『マイインターン』のデ・ニーロを観て、あんな良い歳のとり方をしたいと思った中年男性は多かったのではなかろうか。

でも、アカデミー賞受賞が2度って少なくない?

ロバート・デ・ニーロのアカデミー賞受賞は2回だけ。ノミネート7度中2度の受賞だ。はっきり言って少ないと思う。なんにしても、『タクシー・ドライバー』で受賞していないのがどうも腑に落ちない。

●アカデミー賞受賞はこの2作品!
1975年 助演男優賞 『ゴッドファーザー PART II』
1981年 主演男優賞 『レイジング・ブル』

●受賞できずのノミネートは・・・
1977年 主演男優賞 『タクシードライバー』
1979年 主演男優賞 『ディア・ハンター』
1991年 主演男優賞 『レナードの朝』
1992年 主演男優賞 『ケープ・フィアー』
2013年 助演男優賞 『世界にひとつのプレイブック』

本当に、デ・ニーロはスゴイ俳優だと思う。この横顔の美しさと危うさは、手の付けようがない。コッポラやスコセッシが惚れ込んだのもわかる。1975年、『ゴッドファーザー PART II』 でのデ・ニーロ。

マーティン・スコセッシ監督、起死回生の『レイジングブル』

スコセッシにとって、『レイジングブル』はまさに起死回生、自己再生の作品。制作直前の2年半は、1976年に公開された『ニューヨーク・ニューヨーク』の評判が芳しくなく、そのせいで気分はうつ状態の悲惨な状況、まさにどん底だった。体調がすぐれずに入院してたところに見舞いに来たデ・ニーロに勧められて『レイジングブル』の制作を決めたという。

なお、『レイジングブル』撮影中の1979年、スコセッシは、ロベルト・ロッセリーニとイングリット・バーグマンの娘イザベラ・ロッセリーニと結婚している。転んでもただでは起きないとはこのことを言う。スコセッシは、5回も結婚している。忙しい人だ。

スコセッシ本人はかなりフォトジェニックである。俳優と言われてもつい信じてしまう何とも言えない雰囲気をもっている。

リング上でデ・ニーロを指導するスコセッシ。だいぶ風貌は暑苦しいが・・・。

ちなみに、『タクシードライバー』にタクシーの客として自ら出演したスコセッシがコレ。その強烈なインパクトは、イギリスの映画監督マイケル・パウエルに「悪魔のような客を演じてるものすごい俳優は誰なんだ?」と言わしめたほど。暑苦しい風貌も悪くない!?

スコセッシ、念願のアカデミー賞監督賞への道!

スコセッシはとにかくアカデミー賞監督賞の受賞が遠かった。1963年に初監督作品を世に送り出してから実に約40年もかかっているのだ。受賞した作品は、2006年のレオナルド・ディカプリオ主演の『ディパーテッド』。じつに6度目のノミネートでの受賞だ。

とはいえ、それまで無冠だったわけではない。1985年の『アフター・アワーズ』でカンヌ国際映画祭の監督賞、1990年の『グッドフェローズ』でヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞。ちなみに、ゴールドデングローブ賞監督賞は3度も受賞している。

すっかり白髪のスコセッシだが、人気者のディカプリオ(中央)やマット・デイモン(右)に負けない存在感がある。『ディパーテッド』は、アカデミー賞監督賞のほか、作品賞、脚色賞、編集賞を受賞している。

『グッドフェローズ』では、ジョーペシ(右)がアカデミー賞助演男優賞を獲得している。

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