【霧島】和製ヘラクレスと呼ばれる筋肉を誇った怪力無双の大関

【霧島】和製ヘラクレスと呼ばれる筋肉を誇った怪力無双の大関

甘い顔立ちで「相撲界のアラン・ドロン」と呼ばれ、ウエイトトレーニングで鍛え上げた筋肉美で「和製ヘラクレス」とも呼ばれた大関・霧島。遅咲きながら熱心な訓練で大関まで上り詰めた男の土俵人生を徹底解説。


怪力で大型力士をも吊り出した和製ヘラクレス、元大関『霧島』

本名:吉永一美(よしなが かずみ)
1959年4月3日生まれ
出身:鹿児島県姶良郡牧園町(現在の霧島市)
身長187cm、体重132kg
愛称:和製ヘラクレス、角界のアラン・ドロン
得意技:左四つ、寄り、吊り、出し投げ
生涯戦歴:754勝696敗40休(127場所)
幕内戦歴:518勝507敗40休(71場所)
優勝:幕内最高優勝1回
殊勲賞3回、敢闘賞1回、技能賞4回

霧島 一博(きりしま かずひろ)

『霧島』幼少期から入門まで

霧島は、鹿児島県で農家の長男として生まれた。
幼少時から体を鍛えるのが好きで、小学校では3年生の時から真冬でも頭から水をかぶって登校し、5年生からは重さ3kgもある鉄下駄を履いて坂道を上り下り、自転車のチューブで腕力を鍛えたという。

熱中したサッカーではFWを務め、中学校でも続けたかったがサッカー部が無いので野球部に所属し、 2年生で柔道部に所属した。
真面目で1日も休まず稽古して、中学3年生で姶良郡大会で優勝し鹿児島県大会に出場する活躍で鹿児島実業高校や鹿児島商工高校から熱心に勧誘された。
ラグビー選手を務める中学校の先輩から勧誘されてラグビーを始めようと思っていた時に君ヶ濱親方(元関脇・鶴ヶ嶺、後の井筒親方)の従弟に見出され、連絡を受けて訪ねて来た君ヶ浜から熱心に勧誘された。
しかし全く相撲に興味が無かったので最初は断わったものの、部屋見学だけでもと言われて両親と一緒に行くと雰囲気が良かったので母から勧められ、反対した父も折れたので君ヶ濱部屋に入門した。
両親には「ダメだったら帰ってこい」と言われ、気軽な気持ちでの入門だったという。

1975年3月場所に本名で初土俵、序二段時代の1976年5月場所後に故郷・鹿児島の霧島山にちなんで霧島へ改名した。

筋肉はあったが、ガリガリに痩せ手足が細くあばらの浮いた体で「割り箸」などと揶揄されることもあったという。

霧島は典型的な『そっぷ型』力士であった。
※『そっぷ』とは、相撲用語で筋肉質・比較的痩せ型の力士のこと。「そっぷ」とは本来オランダ語「soep」、つまり「スープ」の事であり、ダシを取った後の鶏ガラに例えてこう呼ばれる。

入門時は一般人と比べても痩せていた霧島

軽量ゆえに苦労した幕下・十両時代

三段目から始めたウェイトトレーニングと高蛋白食で次第に上位でも通じる筋肉質の体格を作り上げた。
出し投げで崩して素早く寄る、もしくは左四つからの豪快な吊りが得意であった。
また、足腰が強く鮮やかなうっちゃりを決めていた。

だが、軽量ゆえに速攻タイプの力士や突き押しの力士に苦戦し、出世は大きく遅れてしまう。
1982年5月場所で新十両を果たし、「やっと親孝行ができたかな」と思ったが1場所で幕下へ陥落。
「もうこれで終わりかな」と考えるほど落ち込んだという。

この頃でも霧島の体重は100Kg未満であった。
ごはんは最高でどんぶりに9杯食べたがなかなか体重が増えず、1Kgでも増えると嬉しかったと後に語っている。

新十両となった頃の霧島

幕下陥落のショックから立ち直るもすぐには成績は向上しなかった。
8場所後の1983年11月場所で再十両を果たすと十両を4場所で通過して、ようやく1984年7月場所翌入幕を果たした。

細身ではあるが、トレーニングによって培われた筋肉は見事に発達し、『和製ヘラクレス』や『角界のヘラクレス』とも呼ばれる。
幕下時代には同じく筋肉質である千代の富士になぞらえ『幕下の千代の富士』と言われることもあったという。

鍛え抜かれた霧島の肉体

勝ち越しと負け越しを繰り返した入幕以降

新入幕の7月場所では8勝7敗の成績だったが、この場所同時に新入幕を果たした小錦を下すほか、当時大関候補だった大乃国を鮮やかな下手出し投げで下すなどの内容の良さが評価され、新入幕で初の三賞となる敢闘賞を受賞。

しかし、入幕前からの課題は克服できず、上位陣相手には立ち合いであたり負けし、自分の形に持ち込めることは少なかった。

しばらくは8勝や9勝がやっと、上位になれば2桁負けなどで平幕を上下していた。
端正な顔立ちから女性を中心に人気が高く、1986年のパリ公演での紹介から『角界のアラン・ドロン』と呼ばれる。

1986年11月場所は前頭7枚目で初の2桁勝利となり、12勝3敗で技能賞を獲得し、翌1987年1月場所は新三役として小結を通り越して関脇に昇進するも3勝12敗に終わる。

その後も平幕を上下していたが、翌1988年9月場所では西前頭2枚目で5勝10敗の成績ながら横綱大乃国から初金星。
さらに翌11月場所では10勝5敗で2度目の技能賞を獲得し翌場所小結へ昇進する。

だが、小結へ昇進した1989年1月場所では、好調な上位陣に全く歯が立たず1勝14敗という無残な成績に終わってしまう。

屈辱をバネに徹底した肉体改造に着手。

1勝14敗の惨敗を払拭すべく霧島は鍛え方を徹底的に見直す。
ウエイトトレーニングによる肉体改造に取り組み、食事の量もそれまでの倍に。
さらに夫人特製のプロテインジュースも摂取するようになった。

あまりの過酷さに夜中に何度も目が覚めて、戻してしまうほどだったと後に霧島本人が語っている。

当時はまだ敬遠されることも多かったウエイトトレーニングを積極的に取り入れ、ベンチプレス200kg、スクワット300kg以上の体を作り上げた。

積極的に取り組んだウエイトトレーニング

プロテインに生卵20個、バナナ2本、ヨーグルト、蜂蜜を加えたもの。
これを一日あたり4リットル飲んでいたという。

特製プロテインジュースを飲み干す霧島

苦労の甲斐あり、体は見違えるように大きくなり、霧島の体重は110kg台から一気に130kg前後まで増加。
見事にビルドアップされた筋肉は、横綱・千代の富士に匹敵するとも言われた。

筋力トレーニングの効果について聞かれることも多いが、霧島は筋力トレーニングも大事だが日々の稽古が何よりも大事であると語っている。

剛腕が生み出すこだわりの『吊り出し』

関連するキーワード


相撲 霧島

関連する投稿


女子プロレスラーから相撲部屋の女将さんへ!二度の癌を乗り越えた【西脇充子】

女子プロレスラーから相撲部屋の女将さんへ!二度の癌を乗り越えた【西脇充子】

全日本女子プロレスの全盛期に堀田祐美子選手とのタッグチーム「ファイヤージェッツ」で活躍した西脇充子さん。引退後に経験した闘病生活や、人気力士の大関・魁皇との結婚についてまとめてみました。


曙太郎追悼!GAORA SPORTSで特別番組『GAORA名勝負集』『全日本プロレス激闘プレイバック』が放送決定!!

曙太郎追悼!GAORA SPORTSで特別番組『GAORA名勝負集』『全日本プロレス激闘プレイバック』が放送決定!!

GAORA SPORTSにて、今年4月に死去した曙太郎さんを追悼し、全日本プロレスやDRAGONGATEなどでの活躍を振り返る特別番組『追悼 曙太郎さん GAORA名勝負集』『追悼 曙太郎さん 全日本プロレス激闘プレイバック』が放送されます。


若貴、きんさんぎんさん、冬彦さん、ストⅡ…1992年(平成4年)を特集した『なつかしカタログ日本1992』が好評発売中!

若貴、きんさんぎんさん、冬彦さん、ストⅡ…1992年(平成4年)を特集した『なつかしカタログ日本1992』が好評発売中!

三栄より、1992年(平成4年)を特集した書籍『なつかしカタログ日本1992』が現在好評発売中となっています。価格は990円(税込)。


【追悼】2023年下半期、惜しくもこの世を去った著名人を振り返る

【追悼】2023年下半期、惜しくもこの世を去った著名人を振り返る

2023年下半期、今年も昭和を代表する多くのスターがお亡くなりになりました。寺沢武一さんなど、今年の下半期に亡くなった方々を振り返ります。


弟・貴乃花光司との因縁再び!?文化放送「おとなりさん」で花田虎上が放送作家に“エグい”相撲ドラマを要望!!

弟・貴乃花光司との因縁再び!?文化放送「おとなりさん」で花田虎上が放送作家に“エグい”相撲ドラマを要望!!

「おとなりさん」(文化放送)のゲストコーナー「10時のおとなりさん」の7月5日のゲストとして、第66代横綱若乃花・花田虎上が出演しました。放送作家・鈴木おさむに“新たな相撲ドラマ”を提案したほか、弟・貴乃花光司についても言及!


最新の投稿


永遠のミスターに会える!長嶋茂雄の栄光を辿る展覧会が日本橋で開催

永遠のミスターに会える!長嶋茂雄の栄光を辿る展覧会が日本橋で開催

日本橋高島屋S.C.にて、2026年3月18日より「長嶋茂雄 追悼展 ミスタージャイアンツ 不滅の背番号3」が開催されます。「ミスタープロ野球」として国民に愛された長嶋茂雄氏の栄光の軌跡を、120点を超える貴重な写真や映像、ゆかりの品々で振り返る初の展覧会。天覧試合でのサヨナラホームランから監督時代の苦闘、そして文化勲章受章に至るまで、不滅の輝きを放ち続けるレジェンドの魅力に迫ります。


プロレス界の「絶対王者」小橋建太がさつまいもアンバサダーに就任!幕張メッセで熱いチョップが炸裂!?

プロレス界の「絶対王者」小橋建太がさつまいもアンバサダーに就任!幕張メッセで熱いチョップが炸裂!?

日本最大級のさつまいもの祭典「冬のさつまいも博2026」の応援隊長を務める元プロレスラー・小橋建太氏が、正式に公式アンバサダーへ就任した。2026年2月11日から幕張メッセで開催される同イベントの初日には、小橋氏も登壇。トークショーに加え、来場者に「幸せを呼ぶチョップ」を見舞う特別企画も実施される。


プロジェクトEGGでMSXの名作アクションRPG『未来』が配信開始!空中戦と格闘アクションの融合

プロジェクトEGGでMSXの名作アクションRPG『未来』が配信開始!空中戦と格闘アクションの融合

レトロゲーム配信サービス「プロジェクトEGG」にて、1987年の名作アクションRPG『未来(MSX版)』の配信が開始された。空中でのシューティングと地下での格闘アクションを使い分けるユニークなシステムが特徴だ。高難度ながら中毒性の高い本作。燃料管理を駆使し、謎のソルジャーと共に広大な宇宙の運命を切り拓け。


鈴木みのる対談集『俺のダチ。2』発売!前田日明との禁断対談や武藤・ライガーら豪華13名が集結

鈴木みのる対談集『俺のダチ。2』発売!前田日明との禁断対談や武藤・ライガーら豪華13名が集結

“世界一性格の悪い男”ことプロレスラー・鈴木みのるの対談集第2弾が発売。武藤敬司や獣神サンダー・ライガーらレジェンドに加え、前田日明との禁断の邂逅も実現!格闘技界の重鎮から人気声優まで、彼の人生を変えた13人の「ダチ」との熱いストロング談義を凝縮した、ファン必読の決定版がここに誕生した。


史上初「宇宙の味」のねるねるねるね誕生!40周年記念フレーバーが2月16日発売、その正体とは?

史上初「宇宙の味」のねるねるねるね誕生!40周年記念フレーバーが2月16日発売、その正体とは?

1986年の誕生から40周年を迎える「ねるねるねるね」から、史上初となる「宇宙の味」が登場!ユーザーの声や宇宙飛行士・山崎直子さんの知見を活かし、宇宙に漂うラズベリーの香りを再現。色が変わる魔法のような体験と、惑星をイメージしたトッピングで、大人も子どもも楽しめる記念商品です。