先ずは角川映画から少しおさらいしよう

角川映画
角川映画 - Wikipedia
40代の私には角川映画と言えば「おぉ~」とうなってしまう程映画の代名詞である。
何ていうかドラマなら大映ドラマ、そして映画なら角川映画もしくはホイチョイ映画みたいな感じ。
この里見八犬伝が公開された1983年前後の角川映画の作品の題名を聞いただけで、同じ30代後半~50年代の方であれば「懐かしいな」とか「あの頃は良かったな」とか思い出を巡らせることであろう。
今と違い一家に一台?いや今は数台のパソコンの現在。そして一人一台のスマートフォンの時代でもはなく映画を観ると言うことはは映画館に行くか、明日からまた学校か・・・・と落ち込む日曜夜9:00からの日曜映画劇場でくらいしか映画を楽しむことは出来なかったのであるから。
今の私が43才新潟の片田舎であるこの土地で小学校高学年でやっと自宅にビデオデッキなるものが流行りだし、レンタルビデオ店が軒を連ねるようになった時代である。
映画は手軽に見る物ではなく、気持ちを高揚させる娯楽であった。
角川映画 (企業) - Wikipedia
里見八犬伝とは?

あらすじは?
草食男子という言葉の無かった時代(笑)
この映画に出てくる男子はとにかく強くてかっこいい!見た目と言うか芯がしっかりしていて自分の意思を強く持っているのである。
肌の色は焼けていて、自己陶酔ではなく戦うために鍛えた肉体美。
特に真田宏之演じる親兵衛は今また見返してもドキドキと胸が高鳴るほどたまらない。荒々しさの中に強さと優しさがあり、抱かれたいとアラフォー女なら思ってしまうかもしれない・・・・
もうこの年になると20代の女子とは違い相手役の薬師丸ひろ子にやきもちなんて焼きやしない。逆にその若さと美貌は無いとこの年になればわかっているので、映画を観てストレス発散になるのである。
ビールを飲んでプハ~旨い!と言うように、映画を観てイヤ~いいなあの時代!となるだけ。
ストーリー時にはロミオとジュリエットの様な敵通しの恋物語にはなるが、嬉しいことに純愛が最後には勝利をおさめハッピーエンドで終わる物語である。
その中に大きなテーマとして愛があるのかもしれない。愛されず愛することを知らずに生きてきたもの、生まれてきた宿命の中でもがくもの、尽き行く命と宿命と戦うもの、許されない愛へと引き込まれるもの。
多種多様の愛のかたちが描かれているのではないであろうか。
登場人物を掘り下げてみる
静姫 - 薬師丸ひろ子

薬師丸ひろ子
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静姫役の薬師丸ひろ子。
冒頭追手から逃れるために姫の格好ではなく「男の子風」に変装するシーンがある。男の子で逃げるシーンは私は好きである。この格好で親兵衛と出会うのだがそこはキュンと来る。そしてそこからまだ可愛いだけの姫としての気持ちと、使命を果たすためへと強い姫へとかわって行く様子は、見る側も引き込まれ応援してしまう。
ラストでは無事姫への座へ変わるのだが、冒頭シーンでの何も知らないただ清いだけの可愛い姫とは違い自分の意思を持つ強い姫へと成長して行くのである。
犬江親兵衛(仁) - 真田広之

真田宏之
ユータチン 赤い翼さんはTwitterを使っています: "真田広之さん、54歳の誕生日おめでとうございま〜す🎉🎉🎉( 大好きな映画「里見八犬伝」「たそがれ清兵衛」) http://t.co/Hd6Fy7ArxH"
やはりこの映画何と言っても真田宏之!アクションシーンといい、殺陣といい最高である。特に映画の背景が時代物だけに乗馬シーンがとても多い。その乗馬での演技やアクションを愉しめるのは日本の時代物の醍醐味かなと。
そして身のこなしすべてが綺麗なのである。所作が美しい!人に担がれている姿さえ美しい。見ていて本当にうっとりする。付け焼刃ではないアクションは最高のエンターテイメントと言えるかもしれない。
この役どころでは静姫と恋に落ちるのであるが、ラブシーンがなかなか長い(笑)見ているこっちが照れてしまう。そんなところも見どころかもしれない。
犬坂毛野(礼) - 志穂美悦子

志穂美悦子
今では皆さんもご存知のように長渕剛さんの奥様。私はこの志保美悦子の映画「二代目はクリスチャン」が大好きなのである。
この映画でもジャパンアクションクラブである彼女の切れの良いアクションを楽しめるのはもちろん、同性としてきれいだな~と素直に思う。
役としては生まれてから天涯孤独で誰にも愛されずそして愛することもなく生きてきた女を演じている。その女が里見の使命である珠を持ち自分の命と引き換えにでもその使命を果たすと言う役柄である。静姫と親兵衛と同様、恋に落ちた相手が敵でありその相手(妖之介 - 萩原流行)と最後は共に討死する結末を迎える。
もし敵ではなく出会っていたら・・・・と思わせるシーンである。
玉梓 - 夏木マリ

夏木マリ
薬師丸ひろ子&真田弘之の角川映画『里見八犬伝』 |
さてもう一人の主役と言ってもいい程の存在感を放っているのが夏木マリ。この映画を久々に見たのだが思った感想は「お変わりなく美しい」である。そしてこの役こそ妖艶な美しさと言えるかもしれない。
この映画では永遠の命と若さを保つために夏木マリこと玉梓が血の池の様な入浴シーンがある。ヌードシーンでもあるのだがエロい!いい!よく女優のヌードシーンなどの褒め言葉で「エロとかではなく美しい」とか「かっこいい」とか表現されることがあるが、この映画の夏木マリはエロい!美しい!そしてかっこいい!のである。
今でも第一線で活躍する女優夏木マリ。今でこそおばあちゃん役なども増えたが、さすが昭和の大女優であるおばあちゃん役でも美しい女性役でも申し分なく演じているのは拍手である。そして何が凄いってこの映画は1983年公開だということ。私は当時10才、あれから33年前の夏木マリの姿がこれである。最初に言った『お変わりなく美しい』という言葉の重みが伝わると思う。
他キャストも豪華!
この他にも盛り沢山なキャスト陣だが、楽しみの一つとして是非映画のエンドロールまでじっくり味わっていただきたいのである。その時は無名であった俳優の名前があるかもしれませんよ?
なんせ33年前ですからね~
監督はあの深作欣二

深作欣二
映画でもテレビドラマでも数多くの作品がある深作欣二監督。
映画でもテレビドラマでも数多くの作品がある深作欣二監督。脚本を手掛ける事も多くこの里見八犬伝では監督と脚本も手掛けている。
私より少し上の年代の方なら仁義なき戦いシリーズが有名かもしれない。同じ年代同性の方なら蒲田行進曲、火宅の人、バトル・ロワイアルシリーズなど。
テレビドラマならGメン'75 、柳生一族の陰謀 など懐かしい作品がずらっとある。
原作は「新・里見八犬伝」
原作は鎌田敏夫の『新・里見八犬伝』であるが、この物語は南総里見八犬伝を翻案したものである。

新・里見八犬伝
数十年ぶりにまた観て思うこと
漠然とこの映画は面白かったと言う記憶しかなく、若い頃の記憶はまた美化されることも多くでもそんな気持ちも吹っ飛ぶほど33年ぶりに面白かったに尽きる。
粗を探そうと思えばそこで楽しみも減るし、特撮がどうとかこうとかはどうでもいいと思えるほどいい映画である。
私たちが生きてきた40年、色々な技術が進歩もしたがあの頃にしか味わえない独特な世界感はシミジミと「あの時代」に生まれてよかったなと思えるのかもしれない。
でもこうして手軽に昔の作品を観る事が出来るようになったのも、時代の流れだとすればそれはそれで素晴らしいのかもしれないな。