【バルビーノ・ガルベス投手】積み上げた勝利数よりも重かった「あの1球」

【バルビーノ・ガルベス投手】積み上げた勝利数よりも重かった「あの1球」

斉藤・槙原・桑田の三本柱に衰えが見えた巨人のローテーションを支え、NPB在籍5年間で46勝を挙げた、ガルベス投手。彼が投じた「ある1球」は野球ファンの間でいつまでも残っている。だがそれは、マウンドから投じられたものではなかった…。


ガルベス投手入団の経緯

1996年の春季キャンプ。1人の外国人投手が入団テストを受けていた。後に彼が、斎藤・桑田・槙原の三本柱の穴を埋める活躍をする事も、そしてプロ野球史上に残る「あの1球」を投げる事になる事も、まだ誰も知らない…。

ガルベス選手の投球フォーム

入団の経緯から分かるように、ガルベス投手は入団当時、ガルベス投手はそれほど期待されていませんでした。(ただ、上の画像の様に舌を出して投げる独特な投球フォームに関して少し話題になっていましたが)

伝説の先発三本柱(斎藤・槙原・桑田投手)

この前年のシーズン「先発三本柱」の一角・桑田真澄投手が阪神戦で三塁線沿いに上がった小フライを捕球しようとした際に右肘を強打。側副靭帯断裂の重傷を負った事が主な原因となり、巨人は優勝を逃していました。当時の巨人は桑田投手に代わる先発投手が喉から手が出るほど欲しいチーム状況だったのです。

「メークドラマ」の立役者に

そうして開幕した1996年シーズン、ガルベス投手は先発の一角を勝ち取るものの、気性の荒さも目立ち、5月1日には下の動画の様な乱闘事件を起こしています。

ちなみにこの乱闘をきっかけに、ガルベス投手はこの年のオフ、日本酪農乳業協会のCMに出演。
「カルシウムブソク、シテイマセンカ?」という台詞で人気を博しました。

ガルベス投手が出演したCM

この96年の巨人のチーム状況に話を戻すと・・・今度はシーズン中に三本柱の一角、槙原投手が戦線離脱(終盤に復帰)。登板過多になった中継ぎ陣は崩壊…。と巨人はBクラスに沈んでいました。ところが、7月9日の対広島16回戦の2回に9連打のプロ野球タイ記録で勝つとチームは一気に加速します。最大11.5ゲーム差をひっくり返してのリーグ優勝。これは後に「メークドラマ」(長島監督の造語)と呼ばれます。

「メークドラマ」を達成して、リーグ優勝

この優勝に貢献したのは、打撃陣では仁志敏久・清水隆行選手のルーキーコンビ。本塁打王に1本差の2位と主軸として大活躍した松井秀喜選手。崩壊していた救援陣は途中加入のマリオ投手や日本ハムからFA移籍してきた河野博文投手・・・。と各ポジションの選手が奮起したのは勿論ですが、何といっても斎藤投手と共に16勝(6敗)を挙げて最多勝を獲得したガルベス投手の活躍なしには、この優勝はなかったと言えるでしょう。

96年の日本シリーズを振り返る

この年の日本シリーズ、巨人の相手は「がんばろう神戸」のキャッチフレーズを胸にパリーグを連覇したオリックスでした。この対戦の最大の注目は松井秀喜選手とイチロー選手の「直接対決」でした。

松井VSイチローが実現した96年の日本シリーズ

ただ、イチロー選手は第1戦で決勝本塁打を放つなど活躍したのに対し、松井選手は要所にリリーフ登板した野村投手に完全に抑えられた事も影響して、オリックスが4勝1敗で巨人を下します。

この年の日本シリーズの第2戦に登板して負け投手になっていますが、1年目からガルベス投手は三本柱の桑田投手の穴を生め、巨人の救世主的な大活躍を見せたと言えるでしょう。

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