【社台の優等生】ダンスインザダーク

【社台の優等生】ダンスインザダーク

「武豊」・・・。当時、最年少最速でJRA1000勝を達成、日本人騎手として初海外G1制覇等々、多くの栄冠と「天才」の名を手にしていた。しかし、そんな彼にも唯一届かないタイトルと言われていたのが、「日本ダービー」だった。そんな天才が日本ダービー制覇を強く意識した馬、それが「ダンスインザダーク」。ここでは天才武豊と社台の優等生ダンスインザダークのクラシックへの挑戦を追う。


ダンスインザダーク

父 サンデーサイレンス 母 ダンシングキィ

父は13年連続でリーディングサイアーとなった社台ファームの大種牡馬
母ダンシングキィはアメリカから日本へ輸入された。
ダンスインザダークの他にダンスパートナー、エアダブリン、ダンスインザムードなど一線級の馬を多数輩出した名牝

デビュー前

ダンスインザダークは1993年6月に生まれた。一般に競走馬は4月、遅くとも5月に生まれる馬が多く、遅生まれであった。しかし、管理調教師の橋口調教師によると、生まれた年の秋くらいには「大物感」を感じたと語っている。そして、その後3歳の秋に天才武豊騎手が社台ファームで乗った際にその乗り味にほれ込み、橋口調教師に騎乗を懇願した。

当歳の時からクラシックを意識していた橋口調教師は翌年の日本ダービーを逆算したローテーションを組んだ。そんなダンスインザダークのデビュー戦は12月の芝1600m戦だった。1番人気に押されたがレースでは若さを見せ、常に内側に斜行するのを武騎手が修正しながら、も最後は楽に差し切るという大物感たっぷりのレースぶりで初戦を飾る。

二戦目は当初の予定通り、ラジオたんぱ杯三歳Sに出走した。一番人気は同じサンデーサイレンス産駒のイシノサンデーだった。ダンスインザダークは二番人気に支持される。好位から直線に向き前を捕らえようとするが、ロイヤルタッチ・イシノサンデーに突き放された三着だった。ちなみに勝ったロイヤルタッチは新馬で武豊が騎乗し勝利していた馬であったが、ダンスインザダークを選んでいた。

明けて四歳となった初戦は二月のきさらぎ賞だった。全走のラジオたんぱ杯で負けたロイヤルタッチも出走しており、このレースでもロイヤルタッチの末脚に屈し二着となった。
もどかしいレースが続いていたが、次走皐月賞トライアル弥生賞では成長を見せ、イシノサンデーをやぶり勝利した。管理していた橋口調教師は後に、「遅生まれで成長が遅かったが、弥生賞のレースを見て今まで対戦してきたライバルたちには負けないと確信した」と語っている。
弥生賞のレースぶりが評価されダンスインザダークは皐月賞の有力候補の一角となった。

まさかの回避

この年の4歳は「バブルガムフェロー」「イシノサンデー」「ロイヤルタッチ」そして「ダンスインザダーク」の4頭を「サンデー四天王」と呼びライバル関係が形成されていた。しかし、朝日杯3歳ステークスを制し、3歳チャンピオンになったバブルガムフェローが怪我で戦線離脱していた。

弥生賞の勝利で手応えを感じていた、ダンスインザダーク陣営だったが、本番直前に熱発を発症し皐月賞は回避する事になった。

大目標 日本ダービー

前哨戦プリンシパルS

熱発により皐月賞を回避し、そのまま日本ダービーへ直行のプランもあったが、回復が早かったため、たたき台としてプリンシパルSを使うことになった。そのプリンシパルSでは、直線に持ったまま突入し、武騎手が少し仕掛けただけで鋭く反応しまったく追うことなく持ったままでの完勝劇を見せ、さらに成長した姿を見せた。

衝撃の結末

前哨戦を完勝し、さらに体調を上げ挑んだ大目標日本ダービー。管理している橋口調教師は、「これだけ自信をもってダービーに送り出せる馬は二度といない」と周辺に語るほど体調に自信があった。鞍上の武豊騎手も同じ気持であった。武騎手はこれまでに7回日本ダービーに挑戦したが、ナリタタイシンの3着が最高だった。当時他のレースは勝ててもダービーだけは勝てないと言われていた。
レースはサクラスピードオーが引っ張るレース展開。ダンスインザダークは4番手の好位でじっと我慢。4コーナーを回り、先頭を早々と射程圏内にいれ直線半ばで先頭へ、そのまま押し切るかと思われたラスト100mで後ろからきた、キャリア三戦のフサイチコンコルドの一世一代の大駆けに合い、二着と敗れた。10回やれば9回は勝てるはずの相手だったが、皐月賞とは違う不運に泣かされた。
レース後、騎乗していた武騎手も「嘘だろう!?」っと驚いたと語っている。
この敗戦を受け、海外遠征のプランもあったが休養へ入る事となった。

ダンスインザダーク主戦騎手武豊

日本競馬界において頂点の競走として位置付けられている東京優駿(日本ダービー)では5勝を挙げており、歴代最多。 初めての東京優駿(日本ダービー)騎乗は1988年(昭和63年)のコスモアンバー(16着)。以後、1989年にタニノジュリアス(10着)、1990年にハクタイセイ(5着)、1991年にシンホリスキー(19着)、1993年にナリタタイシン(3着)、1994年にフジノマッケンオー(4着)、1995年にオースミベスト(8着)、1996年にダンスインザダーク(2着)、1997年にランニングゲイル(5着)。デビューから実に9回の挑戦を繰り返すも勝利を記録することはできなかった。勝利を逃し続けるうちに周囲では「武豊はダービーだけは勝てない」というジンクスが形成されるまでにいたった。武自身は感情に流されずコントロールするのもプロフェッショナルとして必要な素養であると考えていた為、表面上は何気ない風に装ってはいたが、内心では「余計なお世話や」と歯噛みするような思いであったという。 1998年(平成10年)のスペシャルウィークで東京優駿(日本ダービー)を初めて勝利[7]。17万人の観衆によって埋め尽くされた東京競馬場では「ユタカ」コールが沸き起こり、何度もガッツポーズした。武自身は後でビデオを見た時に恥ずかしくなったという。武はこの瞬間を「それまでの人生で、最大、最高の瞬間」と振り返る。 その後も1999年のアドマイヤベガ、2002年のタニノギムレット、2005年のディープインパクト、2013年のキズナで東京優駿(日本ダービー)を優勝、通算5回の優勝歴がある。なお、ディープインパクトとキズナは親子であり、親子ともに騎乗して東京優駿(日本ダービー)を優勝した騎手は武のみである。 武はダービー制覇への思いについて以下のように語っている。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A6%E8%B1%8A

武豊 - Wikipedia

さらなる成長を見せる秋

京都新聞杯

秋のクラシック最終戦菊花賞に向け、京都新聞杯から始動した。
休み明けではあったが、春からのライバルロイヤルタッチ・イシノサンデーらを退け勝利している。

最後の1冠 菊花賞

前哨戦を勝ち、1番人気で迎えたクラシック最後の一冠菊花賞。皐月賞を熱発で回避、ダービーは一世一代の大駆けと決して満足のいく結果でない陣営は、最後の菊花賞制覇に燃えていた。
レースを中団で進めていたダンスインザダークと武騎手だったが、勝負どころの3コーナー過ぎで先行集団から下がってきた馬に進路を阻まれ動けなくなり、直線では後方集団まで下がってしまう。絶望的な位置に見られたが鞍上の絶妙な手綱さばきで空いたインを突き、直線半ばで徐々に外に出し差し切るという、見ごたえのあるレースで最後の一冠を制覇した。よほど会心のレースであったのか普段冷静な武騎手もゴール板後、大きくガッポーズをした。最後の3ハロンは長距離戦では破格の33秒8というタイムであった。橋口調教師も「並みの騎手であれば3着どまりであった、今回は武騎手だからこそ勝てた」っと称賛している。

引退そして種牡馬へ

菊花賞圧勝の翌日、屈腱炎発症がわかりわずか8戦のキャリアで引退。種牡馬となった。

おわりに

兄弟に活躍馬が多く、血統もよい。ダンスインザダークは優等生という言葉がぴったりな名馬だ。遅生まれでもあり、菊花賞後も現役を続けていればどんな名馬になっていたのだろうか・・。ついそんな想像をしてしますほど菊花賞の衝撃は強かった。近年では、活躍している産駒も少なくなっているが、是非その強さを受け継ぐ産駒が出てくることを願うばかりだ。

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