ドラフト外入団・雑草【西本聖】の”怪物・江川”との因縁

ドラフト外入団・雑草【西本聖】の”怪物・江川”との因縁

巨人という同じチームでライバル関係にあった西本聖と江川卓。高校時代、無名の投手から沢村賞投手となった西本と怪物だった江川。同じチームにエースは二人並び立たない。果たしてそうだったのだろうか?


江川との出会い

西本が江川と初めて出会ったのは、松山商業高校時代だった。江川は甲子園にも出場しており、全国的にも注目を集めていた。西本は実際にナマの江川を目の当たりにして、驚きよりも感激をしたと語っている。西本が江川に対しての意識が芽生えたのはこの時からであった。

ドラフト外で巨人へ入団 ドラフト1位は定岡正二

1974年のドラフト会議で、巨人が1位指名をしたのは鹿児島実業の定岡正二だった。定岡は3年生の時エースとして原辰徳がいた東海大相模を延長15回の末破り、鹿児島県勢で初となる甲子園ベスト4を果たしていた。甘いマスクと実力もともない女子中高生のアイドルだった。

松山商業の西本は、エースとなった3年生の県予選で、南海へドラフト1位で入団した南宇和の藤田学と投げ合い0−2で敗れ、甲子園出場はできなかった。
西本はドラフト外で巨人へ入団したが、投手としてでなく内野手へ転向という見方もされていた。

ひな壇中央には定岡が座り、後列に西本がうつむきかげんに立っている。

同期入団のドラフト1位の定岡をライバルとしていたが、西本は入団3年目の77年にプロ入り初勝利をあげこの年8勝をした。対して定岡は、80年に初勝利をあげるまでは長らく2軍暮らしが続いていた。

江川入団

江川卓は、78年11月22日開催のドラフト会議前日の21日に、巨人と電撃契約を結んだ。いわゆる「空白の1日」である。しかし、ドラフト会議では阪神が江川を1位指名し交渉権を獲得した。この問題はこじれにこじれたが、金子コミッショナーの要望により、79年の1月31日に、江川は阪神と一旦契約を結んだ上で巨人へトレードする形をとり、巨人へ移籍することになった。このトレードの相手が小林繁だった。

1981年 ダブルエース

日本シリーズでは、西本は第2戦に投げ、2安打1失点の完投勝利。第5戦では13安打を打たれながらも、シュート攻めで4つのダブルプレーを打たせ完封勝利を収めた。

江川の5冠王と西本の沢村賞

西本聖
34試合 14完投 3完封 18勝12敗 257 2/3回 126奪三振 勝率.600 防御率2.59

江川卓
31試合 20完投 7完封 20勝6敗 240 1/3回 221奪三振 勝率.769 防御率2.29

江川卓は、最多勝、最優秀防御率、最多奪三振、最高勝率、最多完封の投手5冠王に輝き、シーズン終了後にはMVP、ベストナインを受賞した。
しかし、沢村賞は西本が獲得し、このことが物議を醸した。

この問題を受け、翌82年に、沢村賞の選考基準が作成され、記者投票から元プロ野球投手による「選考委員会」により選出されるように改められた。

1983年 日本シリーズ

第1戦の巨人先発は江川。1回に1失点、2回に5点を奪われノックアウト。巨人は江川で初戦を落とした。

第2戦は西本。西本は81年の日本シリーズ第5戦に続く2試合連続の完封勝利。

第3戦は槙原寛己。9回裏に中畑清のサヨナラヒットで巨人2勝目。

第4戦は再び江川。江川は6回まで投げ、6回裏に江川自らタイムリーヒットを放ちリードするが、リリーフの加藤が打たれ逆転負け。

第5戦は再び西本。西本は2失点をするものの完投。巨人は9回裏にクルーズがサヨナラ3ランホーマーを放ち、巨人が日本一に王手をかける。西本のシリーズ2勝目。

第6戦は槙原。しかし、舞台裏では大きな決断が下されていた。第7戦は順番でいけば江川が先発のはずだが、この試合を落とした場合の最終戦の先発を告げられていたのは、西本だった。

試合は、8回裏を終わって、2対1と西武がリードし、最終回を迎えていた。

9回裏、西本は1死満塁のピンチを招き、石毛宏典の内野安打で同点にされ延長戦に突入。

10回裏からは江川が登板した。しかし、すでに心が冷えていた江川は、2本のヒットを打たれツーアウト1、2塁から金森栄治にサヨナラヒットを打たれてしまった。

ライバルを失った西本

関連する投稿


永遠のミスターに会える!長嶋茂雄の栄光を辿る展覧会が日本橋で開催

永遠のミスターに会える!長嶋茂雄の栄光を辿る展覧会が日本橋で開催

日本橋高島屋S.C.にて、2026年3月18日より「長嶋茂雄 追悼展 ミスタージャイアンツ 不滅の背番号3」が開催されます。「ミスタープロ野球」として国民に愛された長嶋茂雄氏の栄光の軌跡を、120点を超える貴重な写真や映像、ゆかりの品々で振り返る初の展覧会。天覧試合でのサヨナラホームランから監督時代の苦闘、そして文化勲章受章に至るまで、不滅の輝きを放ち続けるレジェンドの魅力に迫ります。


赤ヘル黄金期の伝説が神保町に!髙橋慶彦氏のトーク&サイン会開催、昭和カープの“ヤバい”秘話も解禁

赤ヘル黄金期の伝説が神保町に!髙橋慶彦氏のトーク&サイン会開催、昭和カープの“ヤバい”秘話も解禁

広島東洋カープの黄金期を支えたレジェンド、髙橋慶彦氏の自伝『赤き球団の魂 髙橋慶彦』の発売を記念し、1月29日に神保町・書泉グランデでイベント開催が決定!昭和プロ野球の衝撃的な裏話や、スパルタ指導の真相などが語られる本書。当日はトークショーやサイン会も行われ、ファン必見の一夜となりそうです。


【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

【野球選手から俳優!?】板東、長嶋、イチロー・・・人気ドラマに出演した元プロ野球選手!

プロ野球選手が引退後、タレントとして新たな道を歩むケースは数多く見られます。その中には、俳優業にまで進出し、映画やドラマで活躍する人も少なくありません。今回は筆者の独断と偏見に基づき、人気ドラマに出演した元プロ野球選手の中から、特に印象に残っている面々をご紹介します。


緊急刊行!長嶋茂雄さんの追悼特集号『NumberPLUS 長嶋茂雄』(仮)が6月26日に発売決定!!

緊急刊行!長嶋茂雄さんの追悼特集号『NumberPLUS 長嶋茂雄』(仮)が6月26日に発売決定!!

6月3日に長嶋茂雄さんが89歳で死去したのを受け、文藝春秋が刊行するスポーツ総合誌『Sports Graphic Number』より、「ミスタープロ野球」としてファンに愛された国民的スーパースターである長嶋さんの功績をたたえた追悼特集号『NumberPLUS 長嶋茂雄』(仮)の発売が決定しました。


【訃報】巨人軍終身名誉監督・長嶋茂雄さん死去。3月には大谷翔平との“対決”が話題に

【訃報】巨人軍終身名誉監督・長嶋茂雄さん死去。3月には大谷翔平との“対決”が話題に

プロ野球界における伝説的存在“ミスタープロ野球”こと長嶋茂雄(ながしま しげお)さんが3日、肺炎のため東京都内の病院で亡くなっていたことが明らかとなりました。89歳でした。


最新の投稿


昭和100年を祝う夜!グランドプリンスホテル広島でTEPPANの歌謡ライブ&打ち上げ花火が開催決定

昭和100年を祝う夜!グランドプリンスホテル広島でTEPPANの歌謡ライブ&打ち上げ花火が開催決定

2026年5月5日、グランドプリンスホテル広島にて「昭和100年」を記念したスペシャルイベントが開催される。広島発の4人組ボーカルグループ「TEPPAN」による昭和歌謡ライブに加え、夜空を彩る打ち上げ花火も予定。ライブ観覧は無料。さらにホテル上層階のレストランではCD付きの特別ディナープランも登場する。


樋屋奇応丸の倉庫から幻の音源発見!デューク・エイセスが歌う昭和のCMソングが高音質で蘇る

樋屋奇応丸の倉庫から幻の音源発見!デューク・エイセスが歌う昭和のCMソングが高音質で蘇る

「ひや・きおーがん」のフレーズで親しまれる樋屋製薬の社内倉庫から、長らく歌唱者不明だった過去のCMソング音源が発見された。調査の結果、昭和を代表するコーラスグループ「デューク・エイセス」による歌唱と判明。当時のクリアな歌声を再現した「高音質版」が公開され、昭和歌謡ファンを中心に大きな話題を呼んでいる。


福岡の食のテーマパーク「直方がんだ びっくり市」が50周年!大盛況で幕を閉じた「半世紀祭」をレポ

福岡の食のテーマパーク「直方がんだ びっくり市」が50周年!大盛況で幕を閉じた「半世紀祭」をレポ

1976年の創業から50周年を迎えた福岡県直方市の「直方がんだ びっくり市」にて、2026年4月17日から19日までアニバーサリーイベント「半世紀祭」が開催された。銘柄牛が50%OFFになる「肉袋」や名物セールの復活、地元ヒーローの参戦など、半世紀の感謝を込めた熱気あふれる3日間の模様を振り返る。


『メタルスラッグ』シリーズ30周年記念プロジェクト始動!新作開発や特設サイト、記念映像が一挙公開

『メタルスラッグ』シリーズ30周年記念プロジェクト始動!新作開発や特設サイト、記念映像が一挙公開

アクションゲームの金字塔『メタルスラッグ』が2026年4月19日に誕生30周年を迎えた。株式会社SNKはこれを記念し、シリーズの再燃・リブートを掲げた記念プロジェクトを始動。新作ゲームの開発を含む多彩な企画の推進や、歴史を振り返る記念映像の公開、特設サイトの開設など、世界中のファンへ向けた展開が始まる。


山下達郎ソロ・デビュー50周年記念!JOURNAL STANDARDとコラボした限定Tシャツが発売

山下達郎ソロ・デビュー50周年記念!JOURNAL STANDARDとコラボした限定Tシャツが発売

ソロ・デビュー50周年を迎えた音楽界のレジェンド・山下達郎とJOURNAL STANDARDが特別なコラボレーションを実現。1stアルバム『CIRCUS TOWN』収録の名曲「WINDY LADY」をテーマにしたTEEがリリースされる。音楽史に刻まれた名盤の空気感を纏える、ファン垂涎の記念アイテムが登場だ。