大原麗子
大原麗子のイメージは1980年から1990年まで放送されたサントリーレッドのCMが代表しているんじゃないでしょうかね。
お茶の間の大原麗子のイメージはこれだ!主演した映画よりもテレビドラマよりも印象が強い。こういうと、本人はご不満かと思いますが、これこそが代表作といって良いかと思います。
で、ホントに、これが何度見てもイイんですよね。
さぁ、何度も見てください。カワイイですよねぇ。「やっぱりこれが代表作だよねぇ」の思いを強くしますね。
とはいえ、映画にドラマにと多くの作品に出演していた大原麗子。CMが代表作と言われると不本意でしょう。もちろん素晴らしい作品があります。テレビドラマであれば圧倒的に「雑居時代」でしょう。「春日局」もあります。
そして、映画。映画の代表作はどの作品になるのでしょうか?意外なことに映画での主演作品は僅か3作品しかないんですよね。
網走番外地シリーズ
大原麗子は1965年に東映へ入社したその年、主演ではないものの「孤独の賭け」をはじめとして、実に8本もの映画に出演しています。そのうちのひとつが「網走番外地 北海篇」です。
大原麗子と網走番外地。「すこし愛して、ながーく愛して」のイメージからすると、なんかミスマッチな印象ですが、初期の出演作品を知れば、そんなことはありません。初期の大原麗子の役は酒場のホステスやパンスケ役ばかりなんですよ。これは、まぁ、なんというか、時代ですよねぇ。

網走番外地 北海篇
1965年の「網走番外地 北海篇」に出演した時の大原麗子は18歳です。若いっ!
で、大原麗子の人気が出始めたのは1966年の映画「網走番外地 荒野の対決」からとされています。なので、大変尊敬していたようですが、大原麗子にとって高倉健は恩人といってよい存在だったのでしょうね。
網走番外地シリーズには「北海篇」の他にも、荒野の対決(1966年)、南国の対決(1966年)、大雪原の対決(1966年)、決斗零下30度(1967年)と、実に5作品も出演しているんですよ。
主演3作品
大原麗子の映画での主演作品が僅か3作品しかないというのは意外ですよね。しかし更に意外なのが、記念すべき主演第一作目です。
主演第一作目は1968年の「㊙トルコ風呂」。これは…意外としか言いようがありませんよね。いくら時代といってもですねぇ。

㊙トルコ風呂
「㊙トルコ風呂」は記念すべき初主演作品でありながらも、その存在をなかったことにされているという不運の作品でもあります。まぁ、タイトルからしてねぇ、イメージ壊れちゃいますもんね。
その代わりといってはなんですが、実はこの映画、相手役の梅宮辰夫がいい仕事をしています。辰兄は役者としての何かを掴んだのでしょう。代表作となる「不良番長 シリーズ」もこの年から始まっています!
そして主演二作目は1970年の「三匹の牝蜂」だ。もう意外な感じはしませんね。またか!といった感じです。やっぱり!とも思います。
ポスターのコピーにある「やさぐれ姐ちゃん」とはもちろん「すこし愛して、ながーく愛して」の我らが大原麗子です!

三匹の牝蜂
三匹の牝蜂 - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画
大原麗子はもちろん美しい。ミニスカート姿にも感激する。しかし、なんだかなぁの思いもあったりする作品ではあります。
そんな中、特出しているのは挿入歌で、和田アキ子が唄う「女王蜂のフーガ」はちょっとした聴きものです。
そして主演三作品目、1983年の「セカンド・ラブ」。やっときたぁという感じの作品です。監督は女性映画の名手と謳われる東陽一。

セカンド・ラブ
この作品で多くの人が期待したのは大原麗子のヌードだったろうと思われるのですが、熱烈なファンの多くはヌードに反対。「大原麗子がヌードになる」の報に抗議の手紙が殺到したらしいです。チッ、余計なことを。
もっとも、既にサントリーCM「すこし愛して、ながーく愛して」が始まっていましたから仕方のない事でもあったのでしょう。
男はつらいよ 噂の寅次郎
「セカンド・ラブ」と前後して大原麗子は「男はつらいよ」のマドンナ役を2度演じています。最初の1本が1978年の「男はつらいよ 噂の寅次郎」で、やはり大原麗子は勝気でありながらも清楚な役というのが似合いますよね。

男はつらいよ 噂の寅次郎
因みに2013年3月に行われたYahoo!JAPAN調査によるマドンナ人気ランキング『「男はつらいよ」あなたが選ぶ歴代最高のマドンナは?』では、浅丘ルリ子、吉永小百合に次いで大原麗子は堂々の第3位に輝いています。
やっぱり大原麗子はマドンナ役が似合いますよね。マドンナという言葉の響きがピッタリですもんね。因みに当時大原麗子は32歳。1984年には「男はつらいよ 寅次郎真実一路」で2度目のマドンナ役を演じているのですが、その時が38歳です。
居酒屋兆治
最期にもう一本どうしてもご紹介したい映画があります!降旗康男監督、高倉健主演により1983年11月12日に公開された映画「居酒屋兆治」。これは山口瞳原作の同名の小説を映画化したもので、大原麗子はヒロインを演じています。

居酒屋兆治
1981年のヒット映画「駅STATION」と同じく監督・降旗康男、撮影・木村大作、主演・高倉健のトリオで製作された「居酒屋兆治」は実に味わい深い佳作となっています。
気心知れたスタッフという事で高倉健はいつになくいい味を出していますし、そこに絡む大原麗子は素晴らしいです。
主演であろうと、なかろうと、やはりヒロイン役が似合いますねぇ。
大原麗子は高倉健のことを生涯尊敬していたそうで、1992年にNHKのテレビドラマ「チロルの挽歌」で高倉健の妻役(ヒロイン)として高倉と共演し、ギャラクシー賞奨励賞を受賞しているのですが、この作品を「生涯の代表作」と自負していたのだそうですよ。