黒柳朝    トットちゃんの母、チョッちゃん

黒柳朝 トットちゃんの母、チョッちゃん

黒柳徹子の母、黒柳朝。バイオリニストの黒柳守綱に略奪、監禁されて結婚。戦争、夫の徴兵、300機のB29による東京大空襲、疎開、焼け野原となった東京で遭った寸借詐欺、黒柳徹子の結婚詐欺、どんなときでも自分らしく生きたチョッちゃんのエピソード。


夏の夕方、急に雨が振り出したので25歳の黒柳朝が洗濯物を取り込もうとあわてて外に出ると、近所で道路工事していた青年が家のひさしの下で雨宿りをしていた。
一瞬ためらったが、いいことはせずにいられない、しなければ気が済まない黒柳朝は、玄関に入れ、乾いたタオルを渡し、さらに遠慮する青年の背中をふいてあげた。
そしてお茶とお汁粉と漬物をお盆のに乗せて出し
「雨が止むまでいてくださいね。
私は用がありますから」
といって台所で料理。
しばらくして雨が止むと青年はお礼をいって帰っていった。
帰宅した黒柳守綱に話すと、激怒された。
「人間の心なんていつ変になるかわからないんだから、そんなことは知らんふりしておけばよい」
数年後、小包が届き、差出人は名前の知らない人だった。
中には
「あの日、雨宿りさせていただいた温かいもてなしは一生忘れません。
田舎から出稼ぎに出て、夜学で勉強し、今は月給をもらう身になりました。
渡る世間に鬼はないと聞いたことがありますが、本当に鬼ばかりでないことを知り、頑張る力が出ました。
心ばかりのお礼の気持ちを受け取ってください」
という手紙と100枚くらいのハガキが入っていた。

黒柳守綱のバイオリンの生徒の父親が軽井沢に別荘を持っていて、
「よかったら子供さんと一緒にひと夏を過ごしませんか?」
といわれ、黒柳家は10日間ほど当地に滞在することになった。
別荘からは浅間山がみえ、敷地の外れに底の石がみえる澄んだ小川が流れていた。
ある日、庭から小鳥のピイピイという鳴き声がして、みると木の下に5㎝くらいの黒いひな鳥が落ちていた。
黒柳朝が手のひらに乗せると、いっそうピイピイと鳴いたので頭や背中を優しくなでた
「私にとっては魚釣りで大きな魚を釣り上げたときと同じ感じで、とてもうれしい獲物でした」
子供たちも大喜びで、何を食べさせようかと大騒ぎ。
潰したゆで卵の黄身をつまようじで口に入れようとしたが、なかなか食べてくれない。
鮭の缶詰の身を混ぜたりしているうちにだんだん食べ出した。

家の中で自由に歩かせ、まだ飛べない小鳥が可愛くて仕方ない。
数日経って、外の空気を当ててあげた方がいいと大きなザルの上に石を置いて屋外に出してあげた。
東京に帰る日の朝、居場所を探し当てた親鳥が、木の上から合図を送っている。
小鳥もザルの中でピイピイと鳴いて跳ねていた。
しかし黒柳朝は、小鳥を東京に持って帰って育てたかった。
黒柳守綱は
「ママがそうしたいなら・・・」
といったが、小学生の二男、紀明は
「ママ、来てみているのは、きっとお母さんだよ。
小鳥はお母さんのところに行きたがってピイピイ鳴いてるんだよ」
黒柳朝は、
「だってもうエサも食べるようになったし大丈夫よ」
といって、小鳥を帽子の中に入れ、帰ろうとしたが、紀明に
「ママ、自分の子供が人に連れていかれるお母さんの気持ちがわからないの?
外に出して置いていきなさい」
といわれ、しぶしぶ少し離れた草むらに小鳥を置いた。
すぐに母鳥が来て、連れていかれ、黒柳朝はワアワアと泣いた。

そんな二男、紀明が大きくなってくると、黒柳朝の悩みは
「小さな頃のようになんでも話してくれない」
「自分で産んで育てた子供なのに思春期を過ぎると求められるのは食べること、洗濯、お小遣いだけ・・・」
そんな中、電話がかかってきたり 、手紙が配達されてくると気になって仕方がない。
特に女の子のからの手紙なら中を読みたくて、
「しっかりとくっついた封を湯気で開けてやろうかとヤカンをみ、ダメなのはわかっていてもすぐには渡さず、未練がましく預かり、翌日に机の上に置いた」
その後、渡した手紙が開いた状態で置いてないか部屋を捜索。
女の子から電話がかかってくると取り次ぎたくなく、一瞬、居留守を使おうと思うが、すぐにバレてしまうことを悟り、仕方なく息子につないだ。

1951年、「財団法人日本交響楽団」がNHKの支援を受けることになり「NHK交響楽団」に改称。
1953年、中高と映画少女だった黒柳徹子が、オペラ「トスカ」を観て
「歌手になりたい」
と思い、東洋音楽大学(現:東京音楽大学)へ。
「弟子入りという感じで・・・」
日本人として初めてニューヨークのメトロポリタン歌劇場で演出を行った青山圭男の仕事場について回ったが、
「向いていない」
と自覚。
「音楽評論家はどうだろう?」
とも思ったが、
「私、シューベルトの「未完成交響曲」とチャイコフスキーの「悲愴」を聴いても、どっちがどっちかわかないのよね。
子供のころから毎日、聴きすぎて。
それで諦めました」
そして
「子供に上手に絵本を読んでやれるお母さんになりたい」
と思い、NHK放送劇団の俳優募集に応募。
持参するべき履歴書を郵送してしまったり、筆記試験の会場を間違えて遅刻し、問題がわからず答案用紙の裏まで自分の長所を書いたり、面接で
「親にいったらこんなみっともない仕事と・・・」
「こういう世界は騙す人が多いから気をつけろと・・・」
などといったりしながら、約6,000人中13人の合格者の1人に。

翌年の日本のテレビ放送開始に向けて養成を受け、テレビ放送が始まると通行人などに駆り出されたが
「個性が邪魔!」
個性、引っ込めて!」
といわれて役を降ろされ、ラジオドラマでも
「日本語がヘン」
憂鬱な気持ちで作家の家に通い、レッスンを受けていたが、作家の娘が引きこもっていると聞くと部屋にいき、
「あーら、お嬢様でいらっしゃいますか?
オホホホホ。
私、黒柳徹子と申します」
と挨拶。
娘は
「まわりが明るくなってパアッとお花畑が広がったようだった」
という。

「大人で子供の声が出せる人」
という募集要件をみてラジオドラマ「ヤン坊 ニン坊 トン坊」のオーディションを受けた黒柳徹子は、合格し、トン坊役でブレイク。
テレビドラマ「お父さんの季節」で渥美清の妻役になったり、「紅白歌合戦」で初司会をしたり、NHK女優第1号として活躍。
20代後半、テレビとラジオのレギュラーが週10本となり、睡眠時間3時間という日々が続き、過労で1ヵ月入院。
禁止されていたテレビをみる許可が下りるとハラハラしながら自分が出ていた番組をチェック。
しかし何事もなかったのように別の人に代わっていて、渥美清の妻役も
「実家に帰っている」
とされていた。
演技を学ぶためにNHKを退社し、文学座付属演劇研究所の3期生に。
同期に宮本信子や江守徹がいたが、2人とも18歳。
この頃のことを聞かれると黒柳徹子は、
「私は少し年上でしたけど・・・」
といっているが、10歳上の28歳だった。

黒柳徹子にはたくさんお見合い話があり、3回お見合いをしたが、人生で最初に結婚を考えたのは3回目の相手の脳外科医。
とてもいい人で、相手の母親にも気に入ってもらい、さらに相手の父親は
「正直いうとお見合い相手よりお父様のほうが私の趣味でした」
ほとんど結婚する運びになり、黒柳朝は黒柳徹子に
「お嫁に行ったらもうあげられないから」
といってコートを4枚もプレゼント。
その中の1枚は薄いピンク色で襟にファーがついており、黒柳徹子はすごく気に入り、毎日着た。
もうすぐ結納という時期、仕事場で作曲家に
「結婚したら、その相手とずっと一緒に暮らすわけだから、何か1つ嫌なとこがあったらやめておいたほうがいいね」
といわれた黒柳徹子は、
「えー、そうか」
と思い、考えてみると相手の歩き方が気に入らないことに気づいた。
さらに
「お見合い結婚って結婚した後に恋愛すればいいっていうけれど、もし結婚式場を出たところで『うわあ、この人と結婚したい!』と思えるような人と出会っちゃたらどうなるんだろう」
と思い、結婚は取りやめ。
黒柳徹子に
「私、やめる」
といわれた黒柳朝は、あっさり
「そうね。
そのほうがいいわね」
しかしその後、黒柳徹子がピンクのコートを着る度に
「結婚詐欺!」
といった。

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