【1985年・阪神】完投できない先発陣なのに優勝!? 強力な打撃陣と安定のリリーフ陣

【1985年・阪神】完投できない先発陣なのに優勝!? 強力な打撃陣と安定のリリーフ陣

2023年、18年ぶりのリーグ優勝を果たした阪神タイガース。防御率2.66の投手陣は、優勝への大きな原動力でした。一方、同じ優勝でも、1985年優勝時の防御率はなんと4.16。しかも、先発投手の完投試合数は15試合で、リーグ最下位でした。そんな先発陣を支えたのは!? 当時の投手陣を振り返ります。


1985年の阪神の投手成績

1985年の阪神タイガース投手陣の成績を見てみましょう。

主な先発投手の成績

まずは、主な先発投手の成績です。

選手名 登板 先発 完投 完封 防御率
ゲイル 33 33 4 2 13 8 4.30
池田 32 23 3 1 9 6 4.45
中田 31 20 4 1 12 5 4.23
仲田 25 17 1 1 3 4 4.38
伊藤 25 16 3 0 5 5 4.51

防御率が全員4点台。規定投球回数に達したチームのエース、ゲイル、池田までもが4点台です。因みに、他チームのエースを見ると、小松(中日)が2.65、斎藤(巨人)が2.96、遠藤(大洋)が3.15、北別府(広島)が3.57と、2〜3点台の成績を残しています。



勝ち頭ゲイル13勝先発登板数の33試合セ・リーグ最多です。ところが、完投したのは33試合中わずか4試合。因みに、遠藤(大洋)は28試合に先発し16試合で完投、小松(中日)は25試合に先発し14試合で完投しています。当時は、チームのエースは先発して完投するのが普通の時代で、ゲイルの完投率の低さは当時としては異常です。



チーム全体で見ても、完投試合数はわずか15試合セ・リーグでダントツの最下位です。



以下は、チームごとの完投試合数。



1. 広島 37完投

2. 巨人 26完投

3. 大洋 25完投

4. 中日 45完投

5. ヤクルト 28完投

6. 阪神 15完投




防御率が4点台で、完投できない先発陣にも関わらず、なぜリーグ優勝できたのでしょうか。その要因は、リリーフ陣と打撃陣にあります。

主なリリーフ投手の成績

次は、主なリリーフ投手の成績です。

選手名 登板 先発 S 防御率
中西 63 0 11 3 19 2.67
福間 58 4 8 5 1 4.05
山本和 33 0 5 6 11 2.70

最初に驚くのは、中西の勝利数。一度も先発登板していないのに、二桁勝利の11勝です。(エースの池田は23試合に先発して9勝。)登板63試合と19セーブはセ・リーグ最多で、最優秀救援投手のタイトルを獲得しています。



次に、3人の防御率。いずれも主な先発陣を上回っており中西、山本和に至っては2点台です。登板試合数もリーグ随一で、中西、福間はそれぞれリーグ1位と3位。



以下は、登板試合数のランキングです(50試合以上)。



1. 中西(阪神) 63試合

2. 鹿取(巨人) 60試合

3. 福間(阪神) 58試合

4. 斉藤(大洋) 55試合



先発が打たれてもリリーフが抑える。同点や劣勢で登板しても猛虎打線が逆転してリリーフに勝ち星がつく。成績の数字からも、その傾向が見て取れます。

1985年の阪神投手陣を象徴する試合

では、1985年の阪神投手陣を象徴するような試合を、いくつか見てみましょう。

[4月14日] 楽勝ムードが9回裏に大ピンチ→ゲイルは完投逃すも勝利投手に

4月14日広島戦先発はゲイル。初回に2点、3回に1点を失うもその後は0点に抑える好投を見せます。一方、打線は8回に勝ち越し、9回にダメ押しの得点を挙げ、8対3と楽勝ムードです。



9回裏、5点を追いかける広島の攻撃。点差があるので、ゲイルは続投します。しかし、これが大誤算。山中に2ランホームランを打たれるなど、あれよあれよという間に1点差にまで詰め寄られます。最後は、山本和がなんとか抑えて、8対7で辛勝。阪神のシーズン初勝利となりました。優勝への第一歩となった試合です。

[5月6日] 猛虎打線が23安打18得点→池田が6失点完投

5月6日中日戦先発は池田。池田はこの年3度の完投を記録していますが、そのうちの一つがこの試合です。序盤から猛虎打線が爆発し、楽勝ペース。4回を終わって9対0で、池田は余裕を持って完投を目指します。



打線はその後さらに爆発し、最終的には23安打18得点。池田は、6失点を喫する乱調ぶりでしたが、交代を告げられることはなく、最後まで投げきり18対6で完投勝利を収めました。池田はむしろ打撃の方が絶好調で、この日は野手顔負けの3打数3安打。打率は.455に達し、自身で投げて打って勝った試合となりました。

[5月22日] 猛虎打線が7点差を大逆転→リリーフの中西が勝利投手に

5月22日広島戦の先発は野村収。初回にいきなり5点を失い2回KO、3回表を終わって0対7広島のワンサイドゲームとなります。



ところが、この年の猛虎打線はここからがすごい。ホームランの連発で、バースが14号、15号、掛布が10号、11号とバース、掛布のアベック2ホームラン。さらには、真弓11号、岡田9号も飛び出し、最終的には13対8で広島を圧倒しました。この日の勝ち投手は、チームが逆転した8回に1/3イニングだけ投げた中西。打線が後半逆転してリリーフに勝利がつく、典型的な試合となりました。

[7月26日] 猛虎打線が5点差を逆転→福間・中西の必勝リレー

7月26日大洋戦の先発はゲイル。ゲイルは、1回表にいきなり5点を失いKO。1回を終了して0対5で、2回表に佐藤秀、3回表に工藤とつなぎます。その間、打線は2回裏に2点、3回裏に3点を挙げ、あっという間に同点に。すると、4回表からはすかさず福間を投入します。



打線は4回裏にも追加点を挙げ、ついに7対5逆転。6回途中まで福間が投げ、最後は中西が締めて、安定の必勝リレーで勝利を収めました。勝利投手は福間セーブは中西です。

[8月22日] 猛虎打線が21安打16得点→先発の中田が6失点完投

8月22日大洋戦先発は中田。この日は、5月6日中日戦のデジャブーのような試合となりました。前半戦はリリーフが多かった中田ですが、この時期は主に先発で登板しています。



5回を終わって5対1と阪神がリード。さらに、6回表には猛虎打線が大爆発し9得点を挙げ、14対1と楽勝ムードになります。一方、中田は続投しますが、6回裏に4失点、9回裏にも1失点で、最終スコアは16対6。最終的に猛虎打線は21安打16得点を記録し、中田は6失点ながら完投勝利を収めました。



リリーフへの負担が大きかったこの年は、大量点差がついた時には、先発が投げ切って、リリーフを温存するのが得策だったのかもしれません。

日本シリーズでは西武相手にまさかの好投

ここまでは先発陣を支えるリリーフ陣と打撃陣という話でしたが、日本シリーズでは、一転して先発陣が覚醒します。



第1戦は、池田がいきなり完封勝利



第2戦と第6戦は、ゲイルがいずれも勝利し2勝。特に、第6戦は3失点完投で胴上げ投手になっています。



第4戦は、地味ながら、伊藤が7回途中まで2失点と好投。勝ちには結びつかなかったものの接戦に持ち込みました。



残る1勝は第5戦で、福間のロングリリーフで勝利。中西の登板は、わずか1試合でした。それだけ先発が活躍したシリーズと言えるでしょう。



1985年の最後は、先発投手陣が頼もしい活躍で有終の美を飾り、阪神ファンにとって最高の一年となったことでしょう。

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