卵の卸価格が3か月ぶりに下降!優等生と言われた卵の歴史とは?

卵の卸価格が3か月ぶりに下降!優等生と言われた卵の歴史とは?

どんなに物価が高騰しても長年変わらぬ低価格を守ってくれて、物価の優等生と呼ばれた卵ですが、鳥インフルの影響などで販売価格が高騰しました。高栄養で低価格…まさに庶民の味方の味方だった卵の高騰に日本中の食卓が影響を受けました。そんな卵が3か月ぶりに下降に転じたそうです。長年お世話になってきた卵にはどんな歴史があるのでしょうか?そこで今回は日本における卵の歴史についてご紹介します。


日本で最初に文献に登場した卵

まずは日本における卵の歴史からご紹介します。
平安時代に書かれた「日本霊異記」という文献に卵の記述がみられます。

日本霊異記
正式名称:『日本国現報善悪霊異記』(にほんこくげんほうぜんあくりょういき)
成立年:弘仁13年(822年)の説あり
著者:景戒(奈良右京の薬師寺の僧)

内容:実話ではないけれど、当時の世相を知る事が出来る話が多く、性愛を扱った物もあります。
この日本霊異記における卵の記述は「鳥の卵を食べると悪いこと(祟り)が起きる」という物なので、卵を食べることはタブーとされていました。

仏教で教えられる殺生は、人間を殺すだけではありません。
人間以外の生き物も殺せば殺生罪です。
具体的には、例え食べる為であっても、牛や豚などの動物や鳥、魚はもちろん、蚊やゴキブリ、クモなどの虫も殺してはいけません。
そのため、鳥が産んだ卵を食べることも殺生とされたのでした。

仏教伝来以前は食べられていたのかどうか、文章が残っていないのでわかりませんが、基本的に近代まで日本では卵を食べる文化は無かったと考えられています。

西洋文化の伝来で卵解禁

そんな殺生による卵食を解禁させたのは、1543年の西洋文化の伝来だったとされています。
カステラなどの南蛮菓子や卵料理が広まり、「卵は生き物ではないから殺生にならない」
という解釈が普及していきました。

確かに卵は有精卵で、しかも孵化させなければヒヨコにはなりませんから、生き物ではないかもしれませんね。

カステラなど、南蛮菓子が広まっていきます。

江戸時代になると、卵売りも出現しより身近になっていきますが、庶民には高級品でした。
「ふわふわ卵」なる卵料理も流行しています。
溶き卵に調味しただしを、卵の3分の1から2倍くらい加えて、厚手の鍋に入れ弱火で加熱させて、ふんわりと固めた物だったと考えられていました。
炒り卵のような物ですね。
ネーミングが可愛いです。
1795年には「万宝料理秘密箱 卵百珍」という料理本も刊行されました。
このうちなんと、107種が現代訳されて、クックパットでも公開されています。

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普段家庭で作る卵料理は、目玉焼きに卵焼きにオムレツに茶碗蒸しくらいですが、江戸時代に既にこんなにレシピがあったのですね。
美味しそうな卵料理ばかりで、試してみたいです。
明治維新以降に牛鍋屋が流行し始めると、大阪では牛肉に生卵を付けて食べるようになったと言われていました。

明治以降、生卵も食べるようになっていったようですね。
ただ誰でも食べれるようにはなっておらず、太平洋戦争後しばらくまで、卵は高級品でした。

一般家庭に卵が常備されるようになったのは、昭和30年代に入ってからです。
食生活の欧米化で、「タンパク質が足りないよ」というスローガンのもと卵がもてはやされ、一気に広がっていきました。

フライパンの普及によって、朝食の定番「目玉焼き」がどこの家庭でも食べられるようになっていきます。

価格の優等生と言われる卵ですが、実際にはどのくらい価格が変わっていないのでしょうか?

昭和40年~平成25年までの約40年間に1㎏あたり120円しか値上がりしていなかったそうです。
そして2023年6月の東京地区でのMサイズ1キロ当たりの、6月の平均価格は349円で、5月と比べて1円安くなりました。

高いと言われていましたが、それでも平成25年より9円上がっただけなのですね…。
鶏卵農家さんの努力には、心から感謝したいです。

まとめ

今回は「卵の卸価格が3か月ぶりに下降!優等生と言われた卵の歴史とは?」についてご紹介しました。
昭和30年頃から一般家庭でも食べられるようになった卵。
美味しくて栄養価も高く、日本人の食を支えてくれています。
心から感謝したいですね!

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