西川のりお  それは高3の夏休み、同級生からの1本の電話で始まった。

西川のりお それは高3の夏休み、同級生からの1本の電話で始まった。

西川のりおの師匠は、なんと西川きよし。超マジメで超厳しいが一生ついていきたいきよし師と超メチャクチャで超面白い、でもついていけないやすし師。強烈な師匠に挟まれ、育まれた過激な弟子時代。


やがて横山やすしは運転手がつき、西川のりおは西川きよしの弟子に返り咲いた。
しかしその数日後、事件は起こった。
同じ絶対服従でも横山やすしとはあまりに違う教育環境に加え、西川きよしは
「今日も泊まるからな」
といって楽屋で連日、徹夜マージャンを行い、それが3日続いた後
「今日も泊まるからスーパーでパンツ買うてこい」
といわれたとき、西川のりおは無性に腹が立って
「家に帰れせて下さい」
いった瞬間
(いってはならない言葉をいってしまった)
と思ったが、後悔はなかった。
「何?
お前誰に向こうていうてんねん」
西川きよしは怒鳴った。
楽屋には芸人仲間もいたが目をむけるだけむいて
「イヤやったら帰れ。
辞めて帰れ!」
マージャンをしているその場で立って大声を出した。
西川のりおは下を向いたまま
「そしたら失礼します」
(ついに決定的な一言をいってしまった)
と思いながらもスカッとした気持ちで外へ出た。
すると横から
「俺も合わせてきたんやけど前からムカついとった。
通いやいうとったのに仕事やなしにマージャンするためになんで泊まらなアカンねん」
という声がして、みると田中がいた。
「一緒に入ったんや。
そやから辞めるときも一緒や」
西川のりおは涙がボロボロこぼれて止まらなかった。

辞めたことは家族にいわず、母親に
「今日は行かんでエエんか」
と聞かれると
「東京に仕事でいってはるから行かんでエエねん」
とウソをつきながら、弟子についている間、ずっと抱いていた願望、
「ゆっくり寝たい」
を果たした後は田中と喫茶店でたむろしてバカ話。
しかし3日もするとなにか心にポッカリ穴が開いたような気分になって
「何かが欠けてる」
と思った。
家で昼ご飯を食べているとき
「師匠、今日生放送で漫才やってはったで。
お前行かんでエエんか」
と母親にいわれたが無視して食べ続けた。
4日、5日と過ぎ、朝起きても何の目的もすることもない自分に焦り、喫茶店でも
「服の着替えくらい1人でやるわなあ」
「そやけどちょっと前まで俺らが手伝っとったから、その分しんどいやろな」
などと話すようになり、
「辞めてよかったという強がりは、かなり無理があると気づいた」
しかし師匠に口答えして破門になった身。
もう弟子に戻れないのは確かだった。

1週間くらい経った昼間、母親が
「のりお、師匠から電話や」
ウレシさとコワさが激しく入り乱れ、なかなか出られなかったが
「早よ、出んかいな」
といわれ、電話をとると
「家で追ったら退屈やろ」
という優しい声がした。
「すいませんでした」
「もうエエから。
あったことは忘れたるから、明日から来たらエエからな」
「ありがとうございます」
西川のりおは電話の前で頭を下げた。
その後、田中も師匠から電話があったと電話をしてきた。

「ヨッシャ、お前らも頑張れ。
俺も頑張る」
西川きよしはめいいっぱい目をむいて両手を握った。
「君らおらんかったらさみしいやないか、エエ。
北村君には、また車の運転してもらわなアカンし」
女性用ガードルをつけた横山やすしがいうと
「運転で無茶苦茶なことやらされたら必ずオレにいえよ」
「ホンマ、キー坊は警察よりキツいやろ」
「何いうてんねん。
警察が黙ってても俺が黙ってへんからな」
数ヵ月後、横山やすしは、タクシーの運転手を殴って逮捕され、約2年間謹慎処分。
西川のりおは
「そのとき俺が運転してたらなあ」
と思ったが、どうしようもなかった。

その後、田中と「淀公一・公二」というコンビでデビューしたが、1年で解散。
田中は、すぐに芸能界を辞めて会社勤めを開始。
西川のりおは、横山エンタツ・花菱アチャコの「横」、中田ダイマル・ラケットの「中」に因み、新コンビ「横中バック・ケース」を結成。
自作のアカペラソング「漫才は楽しいな」を歌ったり、緞帳にぶら下がってはそれを引きずり下ろしたり、センターマイクにかじりついてカバーをを噛みちぎり、
「そんなことしたら感電するで」
と相方のケースにツッコまれ、
「俺はもうシビレとるんじゃ!」
クイズネタで無茶苦茶な問題を出し
「なんの関係があるんや」
と相方がいうと
「その答えを待ってたんや!」
といって、その顔面を往復ビンタ。
芸人仲間には
「スゴイ」
といわれたが、客には全くウケなかった。
神戸の松竹座に出ているとき、ウケないので相方、ケースを舞台から客席に投げ落とし、過去イチ、ウケたが、ケースは足を骨折。
ケースの入院中、勝手に次の相方を探し、元B&Bの上方よしおと「西川のりお・上方よしお」を結成。
漫才ブーム乗って、師匠やすし・きよし、ツービート、紳助竜助らと共にブラウン管を賑わし、その後、始まった「俺たちひょうきん族」では独特の暴走キャラでなくてはならない存在となった。
強烈な師匠に抑圧されていたお笑い暴走機関車は覚醒し始めた。

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